夢は行動しなければ無と一緒、高橋優 歌は矜持ではなく生き甲斐
INTERVIEW

夢は行動しなければ無と一緒、高橋優 歌は矜持ではなく生き甲斐


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年06月08日

読了時間:約15分

幸せは自分にとって都合の良いもの

――今作では「僕の幸せ」という曲も収録されていて、幸せというテーマもありますが、高橋さんとっての幸せとはどういうものだと思いますか?

 幸せは自分にとって都合の良いものだと思います。例えば自分が美味しいと思うものが目の前にあって、自分が良いと思う景色が目の前に広がっていればそれが幸せだと思います。自分が良いと思うもの、だから全員違うと思うんです。

――そういうものを探しても良い?

 探すというか、身をよじって手を伸ばしてまでそれを掴まなきゃ駄目だと思います。

――高橋さんもそうやって幸せを掴んできた?

 よく幸せとかって偽善とかの話になってきたりもするんですけど、例えば僕の楽曲を聴いてくれた人が笑顔になっているのを見るのが僕は幸せなんです。でもそれを話するときに「あなたの笑顔が僕の幸せ」って言ったらめっちゃ嘘くさいじゃないですか?

――そこが偽善になってきたりということですね。

 もっと言わせてもらえば、僕の幸せは僕だけが笑っていても幸せにはならないんです。僕が今この現場で牛丼を出されて僕だけが「美味い!」と食べてまわりの人がよだれ垂らしているとしたら、僕はどう考えたって美味しいけど幸せではなくて。だから自分が心底美味いと思って食べるために「あなたも食べて」ということなんです。

 僕が幸せになるために「あなたもちゃんと笑ってよ」という押しつけを色んな人にしています。僕は絶対に幸せになりたい、自分にとって都合の良い景色が見たい、でもそのためには僕一人では絶対に叶えられないんです。だから相手の幸せを見つけようとしています。

――自分だけでは本当の幸せではないんですね。

 それを本当に求めるのであれば、最新の工夫をしなければいけないと思います。相手を喜ばせるってめちゃくちゃ難しいですから。「こいつにはこれをやっておけば幸せだ」と言ってそればっかり出して喜んでもらえるとは限らないじゃないですか? だから凄く顔色を伺うし…。その人が本当に笑ってもらうためには同じ曲ばかり歌っていても駄目だし。それで「お客さんのためにやっているんですね、優しいですね」と言われたら、「優しいというか、僕が欲しいものを探しているだけなんですよ」と。それをエゴだと言われたら「確かに」と思うし。「偽善だよ」と言われたら「うん。偽善です」でいいと思います。

 幸せになってから「幸せは探さないべきだ」という悟りを開いている方もいらっしゃるんでしょうけど、僕はそんなに出来た人間ではないからそんな立派なことは言えない…。絶対に貪欲に幸せをゲットした方がいいし、その幸せのために必要なものは全部やった方がいいと思います。やれるだけのことはやりつくして、絶対に幸せになった方がいいと思います。

――「僕の幸せ」は『ガラスの地球を救え!』プロジェクトテーマソングですが、そことはどうリンクさせようと考えたりしたのでしょうか?

 プロジェクトに携わっている方々と何度もお話させて頂いた中で、例えばガラスの地球だから「環境」ということを曲の中に入れたり、「節水」「節電」という言葉を曲の中に入れるという案も僕の中にちょっとありました。「電気消せ」という歌も面白いかなと思ったんですけど(笑)。

 自分一人でガツガツ食べるのが幸せではないという話を先ほどしたのですが、例えばそこに自分の息子がいたらその息子が大きくなるために「僕は3割でいいからあとの7割を食べな」という風にした方が僕自身は幸せかもしれない。その食べ物が「水」なのか「空気」なのか「オゾン」なのか「原子力の放射能」なのかわからないけど、それを考えていくと、僕の幸せ、君が笑ってくれることというのは、環境の話にもちょっと繋がる部分があるんじゃないかと思いました。

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