瞬間を刻んでいるのがライブ、田口 淳之介が解説する演出の裏側
INTERVIEW

瞬間を刻んでいるのがライブ、田口 淳之介が解説する演出の裏側


記者:桂泉晴名

撮影:

掲載:18年06月06日

読了時間:約14分

ダンサーパートは袖で見ていて感極まるものがあった

田口 淳之介(撮影=冨田味我)

――今ツアーは「Moments」という4人のダンサーさんが参加されていますが、すべて10代だそうですね。

 活動を開始してから今までは、それこそ日本でもトップクラスのダンサーの皆さんについていただいていたので、僕自身すごく吸収するものがあったし、クオリティーの高いものを提示できたのかなと思っていたんです。でもこのタイミングで何か新しい風を入れたい気持ちもあったし、フレッシュで若い子をフックアップしたかったので、「今回は若手でいきたいんです」と要請したら、たまたま全員10代だったんですよ(笑)。

――ステージでは4人とも大人っぽく見えたので驚きました。

 彼らにとって、今回はバックダンサーとして参加した初めてのツアーなんです。もちろん個々にダンス経験は14年以上、全員それぞれやってきてはいるんですけれども、しっかりとしたツアーというのは初めてだったので。僕自身何か教えていくつもりではいたんです。でも振付などを作っている時に、彼らのジェネレーションが持っているものに対してすごく新鮮に感じて。逆に教わる部分も多かったというか。振り付け自体も彼らに任せたりして、それを僕が手直しして取り入れたりという機会も結構あったんですよ。サポートしてくれるというよりも、一人のちゃんとしたプロとして一緒に仕事ができたと感じましたね。

――彼らに任せた振付はどのあたりでしょうか?

 結構ありますよ。7曲目の「Follow」にいく前のダンスパートだったり。その次の「GOEMON (feat.HIFANA&KIRA)」は女子が出ていたので、「こういうテイストで、こういう振り付けを作ってきて」と言って、実際に持ってきたものを「ここをこう変えて、ああ変えて」と指示をしたり、本当に随所にありますよね。

――前回アルバムのインタビューをしたときに、「若いアーティストをフックアップしたい」とおっしゃっていたので、今回10代のダンサーが参加していると聞いて、ダンサーさんの方もやっているんだなと思いました。

 自分ができることはそういう経験をさせてあげることだと思っているので。自分自身も若い時からいろいろな経験をさせてもらった。だからこそ、経験というものは早くした方がいいと感じますし。ステージ上で見ていても、彼らの顔がすごく生き生きして。さらにダンサーパートのときも、お客さんの反応がすごく温かくて。僕も袖で見ていて感極まるものがあって「ああ、よかったな」と思いました。この一体感をお客さんが作り上げてくれて、彼ら自身もたぶん心に火がついたと思うし。キャストもそうですけど、スタッフも会場のお客さんも、ひとつになってこのライブができていると改めて感じました。あとはZeppに来たことがある人にとっては、ステージの形状自体も一風変わった形状ででべそがついているとか、あまり今までにないような試みもしたので、新鮮なものは見せられたのかなと思っています。

――前半はダンサーとのパフォーマンスの熱を伝えたい、と。

 そうですね。やはり盛り上がってナンボだと思うので、最初はちょっとアッパーな『QI』とかも入れて。いかに盛り上がってもらえるか、パズルのように組み立てては崩し、また組み立てて…と作ってきました。

――アグレッシブな前半を終えて、その後に収録されている「約束のHappy Birthday」は、お客さんと作り上げた曲だそうですが。

 去年11月のファンミーティングの時に初めて発表した曲だったんですけど、まだ音源化されてないにも関わらず、ツアーを経て東京のラストではお客さん自身が歌ってくれたのがすごくうれしかったです。そうやってつねに僕のこと、僕の楽曲のことを思ってくださっているファンがいることに、すごく温かいものを感じましたね。

――そしてもう一つ前半の見せ場は、田口さんがギターを弾いたスピッツのカバー「スパイダー」と「DIMENSIONS」に収録されている「CRIMSON」のパートですよね。

 今までファンミーティングではアコースティックの弾き語りでしっとりとしたものを歌ったんですけれど、アルバムの中の「CRIMSON」という曲がギターで疾走感のある曲だったので、そのままギターで披露したいなと考えました。ただやはりギターを出して、1曲で終わりだと自分の中では物足りなさを感じてしまうので。ギターでちゃんと聴かせられる楽曲をカバーしようと考えるなかで、ぱっとスピッツさんが浮かんだんです。「スパイダー」は本当に有名な曲でご存じの方も多かったし、ノリもいい曲だったので、やっていてすごく気持ちいい瞬間でしたね。

――とくに「CRIMSON」のギターは熱いです。

 弾いていると、本当に曲の世界観に入れるような気がするんですよ。夏のじわっとくる熱さや恋の思い出とか。そういうものが、自転車をこぐような疾走感の中で展開されていく。ギターのストローク自体もすごく走っている感じがします。

――ファンの方々の声はいかがでしたか?

 まず「僕の歌声が好き」と言ってくださる方が本当に多いのでうれしいです。もっともっと練習して、しっかり自信を持ってお聴かせできるように努力します。

――ご自身のボーカルの特徴については、どのようにとらえていますか?

 いい意味でキャラクターだけど、悪い意味でクセと言いますか。もちろんキャラクターがあってこそだと思うんですね。だからそこは生かしつつも、聴いた時にやりすぎだなと思うことがないように、ちゃんと自分が納得いったものを音源化していきたいなと思います。

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