映像が浮かぶような言葉を、蓮花 解釈を深め自分なりに表現
INTERVIEW

映像が浮かぶような言葉を、蓮花 解釈を深め自分なりに表現


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年05月30日

読了時間:約9分

自然の雨音が落ち着く

――「金魚涙。」は、アニメが放送されて、反響も大きかったそうですね。

 はい。驚いたのは、今はSNSの時代なのに、お手紙をいただくことが多いことです。10代〜20代の女性が多いのですが、男性の方も送ってくださっていて。ある男性は「悲しく切ない曲だと思ったら、聴き終わって晴れやかな澄んだ気持ちになりました」と、書いてくださって。私自身、聴き終わったあとに、少しでも気持ちが明るくなってほしいと思って作っているので、この手紙を読んで「伝わっているんだな」と感じて、とても嬉しくなりました。毎日葛藤しながら頑張っている方の力になりたいと思って曲を作り、みなさんからのそうした声が、私にとっての力になって、またいい曲を書いたりライブなどで返していきたい。そのやりとりが、とても美しい絆を生んでくれていると思います。

――曲の歌詞も、ある種の手紙と言えますね。

 はい。曲と言う形を介して、お返事を書いているようなところもありますね。その意味では、どんなタイアップの曲であっても、最終的には前向きな気持ちになってもらえるものを心がけています。

 今回の「金魚涙。」も、戦乱の世のとても切なく激しい気持ちを描きながら、それだけで終わらないように、明るい気持ちを残せるように歌いました。タイトルに「涙」とついていますけど、涙は悲しいものだけじゃなく、頑張って明日に向かって進もうとするときの涙は、とても美しいと思うし。歌詞の最後に<一雫。>と書いているのですが、一雫の涙がピリオドとなって、そこからまた新しい物語が紡がれていくことをイメージしています。

――「金魚涙。」には、最後に「。」が付いていますが、どんな意味を込めているのですか?

 「金魚涙。」の「。」は、涙の粒に見えたらいいなと思って付けました。

 私は本を読むことが好きで、いろいろな本を読んでいるのですが、小説家さんによって「ここに“、”を付けるんだ!」と驚くこともあって。句読点や記号の付け方に、小説家さんの個性が表れているので、それに刺激を受けている部分もあります。曲を聴くだけじゃなくて、歌詞カードを見たときに「これは何を表しているんだろう?」と、考える楽しみを感じてほしいと思っています。

――カップリング曲の「Rainy Day…」には、「…」が。

 これは、気持ちを伝えたいのに伝えられないもどかしさや、自分の自信のなさの表れですね。いざ相手を目の前にしたら、言いたいことも言えなくなってしまう、自分への苛立ちもあります。歌詞は恋愛に例えていますが、恋愛に限らず、大切な人に感謝の気持ちを伝えたいけどなかなか言えないとか、好きな相手に気持ちを伝えられないことはたくさんあって。この曲を通して、そんな人の背中を少しでも押せたらと思って作りました。

――曲の冒頭に雨音が入っていたり、歌詞には<あなたの傘になりたい>というフレーズが出てきたりしますが、そもそも“雨”が、お好きなんですか?

 すごく好きです。最初の雨音も、私がどうしても入れたくて、お願いして入れていただきました。

 自然の音は、人工的なものではないので、すごく落ち着くんです。私は、特に水に関係した音が好きなようで、雨とか海とか、金魚の水槽の音もそうですね。雨の音が入っただけのCDとか、海のさざ波の音が入っているだけのCDも持っています。

――雨って、ジメジメした嫌なものですけどね。

 それが嬉しくて楽しいものと感じるのは、きっと幼少期の経験が、自分の中に大きく残っているのだと思います。子どものときは、長靴を買ってもらって、それが嬉しくて雨の日が楽しみだったし。傘をささずにカッパを着て、耳に飛び込んで来る雨の音や、水たまりのチャプチャプした音が楽しかった記憶があります。きっとそういう経験が染みついているのだと思います。それに、雨宿りで出会ったりとか、傘を忘れて相合い傘をするとか、傘ひとつで始まる恋愛もあります。雨に救われるじゃないけど、そういう場面はドラマでも映画でもたくさんありますしね。

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