映像が浮かぶような言葉を、蓮花 解釈を深め自分なりに表現
INTERVIEW

映像が浮かぶような言葉を、蓮花 解釈を深め自分なりに表現


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年05月30日

読了時間:約9分

 女性シンガーソングライターの蓮花が5月30日に、4thシングル「金魚涙。」をリリース。2015年にニンテンドー3DSソフト『ファイアーエムブレムif』のテーマ曲「if〜ひとり思う〜」でデビュー。切なさと癒しを持った歌声で人気を集める。今作「金魚涙。」は、アニメ『信長の忍び〜姉川・石山篇』の主題歌で、『信長の忍び』シリーズとのタイアップは、配信シングル「徒桜」、3rdシングル「白雪」に続いて3度目。「戦地における人間の、さまざまな感情を描いた」という今作。戦国の世にひしめく様々な感情をどう歌詞に落とし込んだのか。そして、なぜ「金魚涙。」というタイトルを付けたのか。そして、句点の意味とは。その秘密に迫った。【取材=榑林史章】

金魚=赤、涙=青のイメージ

「金魚涙。」ジャケ写

――「金魚涙。」は、アニメ『信長の忍び〜姉川・石山篇』の主題歌。戦国時代が舞台のアニメなので、和のテイストもある切ない楽曲になっていますね。

 ストーリーに沿いながら、今この瞬間を大切にしていきたい、生きていってほしいという願いを込めて言葉を紡いでいきました。アニメを観たときに、絵は可愛くてちょっとコミカルな部分があるんですけど、戦国時代の姉川の戦いを描いているので、人をあやめるシーンもたくさん出てきて。きっと裏側では泣いているんじゃないかと、キャラクターたちの心情がすごく伝わってきたんです。

 信長が戦地に向かうときは目が赤く血走って心を赤く染めていただろうし、正室の帰蝶(きちょう)も本心では信長が戦地に行ってほしくないけど、それを言うことはできないでいるのだろうな、と。それで歌詞には、<抑えきれぬ感情は我らを赤く染めてゆく>とか<言葉は裏腹>と出てきます。アニメを観たときのインスピレーションと曲を聴いたときのインスピレーションなど、いろいろなものからインスパイアを受けながら完成した曲です。

――歌詞に出てくる<赤く染めてゆく>というフレーズの赤は、血とか情熱や燃える炎のようなイメージがありますよね?

 建物が燃えている炎の赤もあるし、戦いの様子のなかでは、赤という色が強烈ですよね。そんな中で、生と死が揺れ動いているのが戦乱の世で、それをこの曲で描きたいと思いました。

――タイトルで、「金魚」と「涙」という言葉の組み合わせたのは、何からインスパイアを受けたのですか?

 「金魚涙。」というタイトルは、以前から使いたいと温めていたんです。今回の曲を聴いて和を感じて、「この曲になら合うんじゃないか」と思って、そこから歌詞を書いていきました。

――金魚と一緒に写っているジャケット写真やビジュアルのイメージも、最初からあったのですか?

 はい。金魚は赤のイメージで、青は涙を表しています。ジャケット写真は、金魚の入った水槽ごしに私を撮っていただいたもので、合成ではありません。この金魚も、撮影をするためにスタッフさんに飼っていただいて、今も事務所で元気に泳いでいます(笑)。

 子どものころに金魚すくいに行くと、ブルーの子供用プールのなかに金魚が泳いでいるじゃないですか。“青”のなかに“赤”が泳いでいる様子が、すごく美しいコントラストだと子どもながらに思っていたんですね。この曲を作っているときも、そのことを思い出していました。

 火(赤)と水(青)は、決して交わることはありませんが、たとえば絵の具で赤と青を混ぜている途中段階では、明るいところもあったり暗いところもあったり、場所によって濃淡が違っていて。きっと人の複雑な心模様も、同じなんじゃないかと思いました。つまり「金魚涙。」という言葉で、人間のさまざまな感情を表現できるんじゃないかと思ったのもあります。

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