絵本の短編集のような感じ、edda さらに広がった独自の世界観
INTERVIEW

絵本の短編集のような感じ、edda さらに広がった独自の世界観


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年05月23日

読了時間:約11分

私が歌えるのか? プレッシャーを感じた

──「ダルトン」は、Coccoさんの作詞作曲。eddaさんの世界を表現するには歌詞が大事で、そこも他アーティストさんにお任せするのは、不安ではありませんでしたか?

 昨年ライブを観させていただいたのですが、Coccoさんは日常的な言葉を使っていらっしゃって、音選びも自分とはまったく違います。でも作っていらっしゃる世界観がダークで、どこか私も同じようなところにいるのかなと共感しました。だから作っていただくものに対する不安は、まったくありませんでした。送っていただいたデモは、Coccoさんご自身が歌っていらっしゃって。声の小さな震えとかもそのまま入っていて、当たり前だけどCoccoさんにぴったりの曲だと思ったんです。このままリリースしてもいいくらいのクオリティでした。それを私が歌っていいのか? 私に歌えるのか? 私がどう表現したらいいのか? その部分でプレッシャーを感じました。

──『ダルトン』というのも名前ですか?

 分子のいちばん小さな単位のことらしいですけど、歌うにあたっては、ダルトンという主人公を想定した私なりの解釈をして歌っています。映画『シザーハンズ』のイメージです。歌詞に<この腕が癒えたなら>と出てくるのですが、ダルトンが傷つけてしまった相手の傷が癒えたならと解釈すると、歌詞の気持ちも腑に落ちたので、そういったイメージで歌っています。

──シンガーに徹したわけですけど、歌う際にはどんなことを意識しましたか?

 私が曲を作るときに意識をするのは、悲しいことでも悲しい顔をしないとか、怖いことを怖い雰囲気で言わないということ。悲しいことでも、あっけらかんとした顔で言われるから、余計に悲しかったり奥行きが生まれると思っています。「ダルトン」は歌詞がもの悲しくて曲がダークなので、逆に声はあっけらかんとして歌おうと意識しました。悲しいところに重きをおいていない声でうたおうと。さらっと、乾いた感じで歌うイメージでしたね。

 詞曲の両方を提供いただいて歌ったのが初めてだったので、本当に難しかったのですが、そのなかでもeddaの物語表現は、見失わずにできたと思います。その点では新しい経験を積むことができました。

──4曲目には、1990年のヒット曲で、たまの「さよなら人類」をカバーしていて。

 はい。今回はカバーを1曲入れようという案が出て、いろんな候補曲を出し合ったんですけど、なかなかいい曲が出てこなくて。ちょうど並行して「グールック」の打ち合わせをしていたときだったので、detune.の郷さんにも聞いたら、出てきたのが“たま”さんだったんです。私はたまさんを知らなかったんですけど、帰って調べて聴いたらめちゃめちゃ良くてハマってしまって。それでカバーは「さよなら人類」にしましょうって決まりました。

──歌詞の世界観も含め、もともとファンタジー感のある曲なので、結果的にeddaさんにはすごく合っていますね。

 先ほど、悲しいことを悲しく言わない、おどけて言うくらいのほうが悲しく聴こえると話しましたが、それを私が生まれる前からやっているバンドがいたことが衝撃でしたね。私がやりたいことを、すごく味を濃くしてやっているような感じで、ものすごく共感したし魅力を感じました。

──最後に<着いた〜>と叫んでいる幼い声は、eddaさんの声ですか?

 いえ、あれはアレンジャーさんのマネージャーさんのお子さんの声です。どうしても子どもの声が欲しくて、録ってきていただいて使いました。

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