元サーカスのデュオ・2VOICE、美しいコーラスと夫婦円満の秘訣
INTERVIEW

元サーカスのデュオ・2VOICE、美しいコーラスと夫婦円満の秘訣


記者:桂 伸也

撮影:

掲載:18年04月03日

読了時間:約16分

世代をつなぐ活動をしていきたい

――映画の印象の部分に話が戻りますが、改めて「おみおくり」というテーマについて、ご自身に何か印象に残ったところはありましたでしょうか? 例えば映画に関してもそうですが、ご自身の実体験みたいなところなどとダブるようなところも…?

叶 央介 映画の例と並べられるかどうかは分かりませんが…例えばうちは、母が早くに亡くなってみんなで見送った時に、まだ家に母の遺体が布団に入ってる状態の時に、みんなで遺体を囲んで記念撮影を撮ったことがあるんです(笑)。それが順ちゃんにとっては、不思議な光景だったらしかったけど…(笑)。

原 順子 いや、本当にビックリしました(笑)。最初は えーっ!? いいのかしら? って思って。みんなでピース! でポーズとって撮影したりとか、本当に(笑)。

――それはなかなか衝撃的ですね(笑)。

原 順子 でも確かに“そうか、これもいいかな”と思いました。亡くなられたお母様は、とても明るいことが好きな方でしたし。だからきっと本人も喜んでいたと思います。

叶 央介 まあ、とにかく明るく送ってあげたかったんですよ。でも本当に人の最期を、どれだけ愛情をもって送ってあげられるかということは、すごく大切なことだと思う。その意味ではとても大事なことだと改めて思いましたね、映画を拝見して。

原 順子 オーシャンのおじさんが亡くなった時に、見送りの場で死装束を皆で着せる時があったんですけど、そこで最後のぬくもりを感じるんですよね、その人のその時に。“冷たいけど、これでお別れなんだ、これが最後のぬくもりなんだ”と思いながら。

 その時は納棺師の方ではなく、お坊さんの方がやってくれたと思いますが、それも何か区切りがつくんです、自分の中に。それはすごく印象に残っています。

映画「おみおくり」場面写真(C)2018「おみおくり」製作委員会

――ちょっと失礼な質問かもしれませんが、例えばお二人が見送る、あるいは見送られる際には、どのような御希望がありますでしょうか?

叶 央介 それは、なかなか想像できないところでもありますが…まあでも一応僕が先に行くことはないようにしたいと思うし、送ってあげたいと。

原 順子 やっぱり、できればオーシャンと一緒に。だけど、きっとなかなかそういうわけにも…でも、みんなで歌を歌ってもらいたいですね。

叶 央介 去年の12月頃に、とても仲良くしていただいた方が、急に亡くなったことがあったんです。すごく家族を大切にする方で、その方の告別式に僕たちも参列したんですけど、ずっとサーカスの「家族写真」という、家族をテーマにした曲と「You~60歳のラブソング~」を会場に流していただいていました。

 この方は、亡くなる前に最後そういう風に送ってほしいということを言ってたということらしいんですが、自分たちの歌が、こういう風にいろんな方の心に届いていたというのがその時にわかって…嬉しがっちゃいけない場所なんだけど、でも歌を歌ってきて良かったなと、本当に思いましたね。

原 順子 嬉しかったですね。だから私たちは、そこでしばらく帰れなくて、皆さんが帰った後も二人でずっと居ました。

――それはすごく温かいエピソードでしたね。それと同じように、歌を歌い続けるというのも大事なことですね。

叶 央介 そう。だから自分の歌が、いろんな形で人に届いているのは、自分たちにとっても幸せなことだと思うんです。

原 順子 本当。そう思います。

――これからは、やっぱり二人で活動を続けられると思います。先程もアルバムも出したいというお話をおうかがいしましたし、いろんなところでライブも行われると期待したいと思いますが、今後どのような活動をしていきたいと思いますか?

原 順子 まだ2VOICEになってからは、本当に新人ですし…だけどまずはこの自分たちの、今のこのテンポ感で音楽と関わっていたいと思っています。私は個人的にはすごくそう思うんです。焦ることなくというか、焦られない、焦ることはできないので(笑)。

叶 央介 まあ、まだ1年半ですからね。2VOICEとしては…でも、世代をつなぐという感じで、若手と一緒にやっていきたいという思いもあります。去年の夏も若手のグループと一緒にハモってみたりとか、そんなことをしたステージがあったんですけど、その子たちのファンの若いお客さんたちが来て、“こういう大人がいるんだったら、自分たちも頑張ろう”と思ってもらえるような存在になりたい。

世代を超えるというか、全ての世代に共通した曲というものが、今はだんだんなくなってきちゃっていると思うんです。でももう一度、そんな時代が来るといいのにという願いも込めて、若手世代と一緒にやってみたいという夢はあります。

原 順子 ここ1、2年くらいで思いましたが、若い子たちのハーモニーグループにも、素敵な子がいっぱいいます。だからそういうコラボもできたらいいと思っています。

――気になるグループはいますか?

叶 央介 Unlimited toneという3人組は良いいですね。彼らとは3回ほどジョイントしましたが、3人でのハーモニーもうまいし、一人ひとりソロをとってもうまい。まあ若手というか、もう中堅くらいの域に入りつつありますが。

原 順子 でも私たちにとってみると、息子や娘みたいな年齢ですから(笑)

――そういう風な見え方だと、また同業という感じより、何か面白い味が出そうですね。

原 順子 そうなんです。最近はみんな可愛いんですよね(笑)。みんな自分たちの子供のようで、本当に頑張ってほしい。今はこういう音楽状況だけど、私たちはすごく幸せな時代に音楽を奏でてこられたなと思っています。今は本当に厳しいから、若い子たちは本当に大変だと思うし。発表する場もなかなかない時代ですから。だからみんなが、イーブンに自分たちの曲を発表できるような、そんな場所があるといいのに…。

――なかなか厳しい時代ですね。

叶 央介 本当にそうですよね。でも例えばネットなんかは僕たちの時代にはなかったものですから、これから若い子は上手に使って、そういうものを活躍していくのかもしれないですけどね。

――そうですね。ではそういう将来の展望にも、お二人の今後の活躍にも期待したいと思います。本日はありがとうございました。

原 順子、叶 央介 ありがとうございました。

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