元サーカスのデュオ・2VOICE、美しいコーラスと夫婦円満の秘訣
INTERVIEW

元サーカスのデュオ・2VOICE、美しいコーラスと夫婦円満の秘訣


記者:桂 伸也

撮影:

掲載:18年04月03日

読了時間:約16分

サーカスは、いろんなものを与えてくれた。そして新しい道へ

――原さんと叶さんは、そのサーカスを2013年に一度区切りとして離れ、新たにいろんな活動を進められる中で、お二人でのグループ活動をおこなわれているということがありますが、これはサーカスから離れた時点で2VOICEとしての活動がスタートしたという格好だったのでしょうか?

叶 央介 いや、その時はまだJ&Oというユニット名としての活動だけでした。でも思いとしては本当に自分たちで、一から何か自分たちの音楽を構築してみたいと思って。それで事務所も離れて、二人で会社を起こし、デモテープを作って現在の事務所に売り込みに行ったんです、ギターを持って(笑)。

原 順子 そう。サーカスを離れる時には、お姉ちゃん(叶 正子)とお兄ちゃん(叶 高)に、“もう後半戦は、自分たちの好きなことをやりたいんだけど”とお願いをしたんです。やっぱり4人のハーモニーを作るのは、とっても手間暇がかかることですし。

するとお姉ちゃんはちょっと考え込んだけど、“でもまあ順ちゃんたちのやりたいことなんだったら、チャレンジしてみればいいよ”と言って背中を押してくれました。それではということで、新しいことを始める方向に。やりたいことは、それこそ山のようにありますし。そこでまずは、曲を作ろうよということで、曲を作りました。

叶 央介 それで、この曲が出来上がりました。これができた時には、僕自身も「これはちょっと面白いことになるかもしれない」という気がしたんです。二人ならでは、二人にしか歌えない歌だと。だからこれは絶対いいと思い、事務所に売り込みに行きました。

 すると社長が「じゃあ、みんなの前で歌ってみろ」ということになって(笑)。その結果、会社の人をみんな集めて、その前に立って二人で歌い、事務所のほうでお世話になることに決定しました。それが2015年の終わりぐらいだったかな。

2VOICE

――ではその以前にやられたJ&Oというユニット名は、どちらかというと本当にサーカスの別のプロジェクトとして、歌を歌うというところにスポットを当てたものだったのでしょうか?

叶 央介 そんな格好ですね。どちらかというと、順子の声をメインにするコンセプトのユニットでした。それが2VOICEになると、わりと僕の声と順子の声がイーブンな関係になって、二人ならではのハーモニーが作れるようになりました。

原 順子 そんなところから、事務所の皆さんと名前を考えた時に、「それぞれの二つの声が、一つになって聴こえるように」という思いを込めて、敢えて“2VOICES”ではなく“2VOICE”という名前にしようと決めました。

――そのような経緯でしたか。一方で、2013年に二人で何か新しいことをやるという話になった時に、具体的に作ろうと考えたイメージみたいなものがあったのでしょうか?

叶 央介 いや、どちらかというとまだ探していた感じですね。二人でJ&Oとしてのライブ活動をやっていたし。このユニットの活動は、サーカスと並行しながら5年くらいやっていましたし。

原 順子 でも、ずっと探していたんだと思います。何か今になってみるとそう思いますね。さっきもオーシャン(叶央介のニックネーム)が言ったけど、私は60歳になったら歌ってないと思っていました。で、その歳を過ぎてから、新しいことを始めてみたいなって。

――それは、サーカスで培った経験があったことも影響しているのでしょうか?

原 順子 そうですね。今までずっとサーカスでやってきたことがあるから、本当に引き出しがいっぱいあって、そんなものが逆に二人になった時にもポンと出てくるのは、ありがたいことだと思います。サーカスでは本当に小学校の唱歌のようなものからクラシカルのようなもの、ジャズとか、ジャンルを超えて歌ってきましたから。それはもう自分たちの財産だと思います。

叶 央介 僕もそう思います。実際に二人でレコーディングすることになって、作業が進んでいくに従って、「サーカスって、本当に自分たちにいろんなものをくれたんだ」ということを実感しましたし。

原 順子 それがあるから今の自分もあるし、あとはやっぱり二十歳の頃は想像できなかったけど、この年齢ならではのテンポ感というものがあるんです。わたしたち2人の話を人が聞いていると、寝ちゃうくらいのんびりしてるんです(笑)。だけど、自分たちのこのテンポで仕事ができているのは、幸せなことだなと思うんです。

――なるほど。この「You~120歳のラブソング~」は、もともと原さんのほうで曲を作られ、そこからテーマを叶さんの方に渡し、歌詞作りをゆだねられたということですが、この「You」というテーマが浮かんだ経緯をおうかがいできますか?

原 順子 やっぱり60歳の時に、一番一緒にそばにいる人の存在を歌にしてもいいのではという思いがあって、そのキーワードにメロディーがすぐ浮かんできたんです。すぐできちゃったんです、それほど苦労もなく。これでオーシャンに「これを作りたいんだけど」と渡すと、オーシャンもすぐ作ってくれました。

――何か運命的でもありますね。この曲は、2VOICEとしては大きな意味を持つ楽曲になりましたね。

原 順子 本当に。この曲が、何か自分たちの扉を開いてくれました。一つのタイミングみたいなものだと思います。

――歌い方がストレートなのに、すごく印象的なハーモニーだなと感じました。

叶 央介 僕らは、順子の声がわりと低いので、僕が高めの音でハーモニーを歌うので、男女のデュオとしては、ちょっと特色があると思っているんです、ひょっとしたら2VOICEならではの音ができてるのではないかと。

原 順子 そう。普通は女性の方が、ハーモニーは上に聴こえるんですけど、私たちの場合は私が低い方で、オーシャンの男声の方が高いんです。

――なるほど。改めて意識するとユニークなところではありますね。しかし120歳というキーワードがずっと気になっているところではありますが(笑)。これはお二人の年齢を足して“120歳”ということですね。

原 順子 そうなんです。でも本当に、120歳まで歌えれば歌いたいですね(笑)。

叶 央介 でも“120歳のラブソング”って、順ちゃんの発想なんですよ。これは1回聞いたら絶対忘れないんじゃないか?って(笑)。忘れないでしょ?

――いや本当に忘れられないですね。これが今後、例えば150歳とか…(笑)。

叶 央介 もちろん。まあ今年が124歳で、今とりあえず最初の目標が…。

原 順子 140歳(笑)でも、そんなこと言っていたら、すぐですよ! ビックリしちゃいますもん。このスピードで行ったら、あっという間に70歳なんて来ちゃう(笑)。だから早く自分がやりたいことを、どんどんやって行けたらいいなと、今は思っています。

叶 央介 でもまあ70歳で歌ってる人って、今はいっぱいいますもんね。

――確かに。意外に若い人より70代の方のほうがお元気そうに見える時も(笑)。

原 順子 この間、ばんば(ひろふみ)さんのラジオに出演させていただいたんですが、ばんばさんから「60歳というのは、1回そこで人間は終わりなんだよ。だから“ありがとう”という思いを伝えるために、赤いものを着るんだ」って言っていただいたんです。さらに「そこから先はおまけなんだから、好きなことをやればいいよ。だから二人でいろんなことをやったら?」っておっしゃっていただきました。

――嬉しい格言ですね。“おまけ”というよりは、今この曲を出されたことで、何か新しいスタートを迎えたという感じもありますよね。

叶 央介 僕らもそう思っています。ちょうど普通の勤めをしている友人なんかも、会社勤めを終えてこれから新しい人生をどうしよう? という感じ。みんな一緒だと思うんです。僕らは124歳ぐらいで、次のアルバムを出したいと思っています、もう一枚くらい。

――どのようなものを書きたいと考えられているのでしょう? イメージはありますか?

叶 央介 クリスマスアルバムをやりたいな、なんて考えているんです。

――クリスマスアルバムですか。それはいい雰囲気の楽曲が期待できそうですね。期待したいです!

原 順子 二人でね。ロマンティックで大人が聴いて楽しめる、そんなクリスマスの曲があったらいいねと、今皆さんとお話をしてるところです。

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