悔しい想いをバネに、あゆみくりかまき ここから始まる大逆襲
INTERVIEW

悔しい想いをバネに、あゆみくりかまき ここから始まる大逆襲


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年03月29日

読了時間:約13分

 3人組アイドルパンクDJユニットのあゆみくりかまきが3月28日に、ニューアルバム『大逆襲』をリリース。2015年にシングル「鮭鮭鮭」でメジャーデビュー。デビュー当初は熊の姿だったが、2016年から“熊仙人”の命令で人間の姿で活動。「2017年中に武道館公演を発表できなければ熊には戻れない」という試練を与えられたが乗り越えられず、人間として改めて武道館を目指すことを決意し活動している。本作には、BiSやBiSHなどを手がける松隈ケンタ、SCAFUL KINGの4106xxx、TENGU BOYとしても活動する井上ジョーなど多彩なアーティストが楽曲を提供。ロックの熱さと前を向き続ける力強いメッセージの詰まったアルバムになった。「悔しい想いをバネにして、ここから大逆襲を始めたい」とタイトルに込めた想いを語る3人。まきは「自分たちが自分たちの音楽を愛さなかったら、届くものも届かない」と言い、音楽が好きであるということを改めて実感した様子。そんな彼女たちが今作やライブを通して伝えたいこととは?【取材・撮影=榑林史章】

音楽が好きな気持ちが大前提

——2ndアルバム『大逆襲』がリリースされますが、どのような気持ちでしょうか。

あゆみくりかまき

まき 素直にうれしいです。応援してくださるみなさんがいるから、こうしてアルバムを出せるわけですし、それは活動しながら身にしみて感じています。今の自分たちの決意表明となるようなアルバムができたと思います。

くりか ここから流れを変えたいですね。そういう1枚になると信じているし、絶対にそうしたいと思っているので、気合いいっぱいです。

あゆみ 今回のアルバムは新曲もたくさん入っているし、いろんなプロデューサーさんとタッグを組ませていただいているので、音楽的にも幅が広がったし、新しいあゆくまを見せられるんじゃないかなと思います。

——今作の『大逆襲』は、前作『あゆみくりかまきがやって来る!クマァ!クマァ!クマァ!』よりロック色が濃く、メッセージ性の強いアルバムだと思います。みんなと一緒に突き進むんだという、力強い意志が、どの曲からも感じられました。

くりか ありがとうございます。ほんまにあゆくまの曲は、どの曲もメッセージ性が強いと思っています。だからこそ、その気持ちが一番伝わる流れで、曲順も考えました。

——タイトルからも、「ここから大逆襲を始めるんだ!」という意気込みが感じられます。

まき このタイトルは、昨年末に渋谷クアトロでおこなったワンマンライブで、私が発したMCがヒントになりました。あの日は会場の一体感がいつも以上にすごかったし、その日にいたるまで紆余曲折があった中で、改めて“またぎ”(ファンの呼称)のみんなと「もっと上にいきたい」と純粋に思ったんです。そこから大逆襲という言葉が自然と頭に浮かんできて、「今度のアルバムで大逆襲します!」というMCになりました。その時にまたぎのみんなが、「ウォーッ!」ってすごく盛り上がってくれて。

 実は…アルバムのタイトルは、他にもいろいろ考えていたんです。『全世界が泣いたこのアルバム』とか『時すでにお寿司』とか(笑)。でも、クアトロのワンマンが終わった時に、3人で話し合って「これしかないよな」って満場一致で決まりました。今のあゆくまにとって、一番ふさわしいタイトルになったんじゃないかなと思っています。

——前作からの2年は、激動の期間でしたね。熊の姿から人間の姿で活動することになったり、試練が与えられたり。イナズマロックフェスには、2年連続台風で出演がおじゃんになったりと…三歩進んでは二歩下がるみたいな。

まき ほんとにそうですよね。

あゆみ うしろを振り返れば、後悔することはたくさんあります。「何であの時ああしなかったんだろう?」とか。でも以前のライブ映像を観返すと、今のほうが成長できていると実感するし、今は前しか向かないようにしています。と言うか、前しか見えていません!

くりか この約2年は、ずっと熊に戻ることを目標に走ってきて。昨年末に熊には戻れないと決まった時は、「この2年は何やったんやろう?」と、思ってしまったことも正直ありました。でも今は、改めて武道館という目標を掲げてやっているし、ここからもっと飛躍するための2年間だったと前向きに捉えています。

——辞めようかと思うこともあったと思いますが、それでも前を向けたのは、またぎの応援があったから?

まき それもあるし、でも一番は「音楽が大好き」という気持ちが大前提にあったと思います。あゆくまの音楽で、自分自身も救われることが本当に多かったし、私だけじゃなくて、もっとたくさんの人を助けられたらいいなとも思うし。まずは自分たちが自分たちの音楽を愛さなかったら、届くものも届かないと思うので、そのことを実感することができたのは、すごく大きかったです。

——アルバムの1曲目に収録の「残像フラッシュバック」は、アッパーのロックチューンで、BiSやBiSHのプロデュースでも知られる松隈ケンタさんの楽曲ですね。

まき 以前から松隈さんに書いて欲しいとみんなで話していて、念願叶ってついに作っていただきました。松隈イズムがありながら、あゆくまらしさもしっかり前面に出ている曲になりましたね。

くりか 松隈さんとは、レコーディングの時にいろいろお話をさせていただいたんですけど、まずどういうイメージで歌うかを話して。くりかは、「怖い人に立ち向かう気持ちで歌ってほしい」と言われました。怖い人とワーワーやってるみたいな(笑)。

——怖い人って、どんな人をイメージしたんですか?

くりか 頬に傷があって、ちょっと浅黒くて体の大きな人がいっぱいおる様子をイメージしました(笑)。

あゆみ それぞれディレクションが違っていて、あゆみは、怖い人とは言われなかったです。ブースに入っても何も言われず「はい歌って。はいもう1回。はいもう1回」という感じで、10回くらい連続で歌って。疲れてクタクタになったところで、「じゃあ本番を録ろうか」って。あゆみは、音程とかリズムとか考え過ぎてしまうことが多いんですけど、そういうのは関係なしに“心からの叫び”を録りたいからということで、何も考えられないくらいクタクタにさせたみたいです。

——そういうディレクションからも、松隈イズムを感じますね。

くりか くりかも最初は音程が気になったり、松隈さんとの制作は初めてやったから緊張もしたし、上手く歌おうと意識しすぎていて。それを打破するための、「怖い人と戦うイメージ」というディレクションだったんやと思います。

まき 私の時は、ライブでお客さんが盛り上がっている映像を見せられて、「こういうイメージだ」と言われて。すごくイメージが浮かびやすくて、歌いやすかったです。

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