DEENが10日に、東京・日本武道館でデビュー25周年を記念したワンマンライブ『25th Anniversary DEEN LIVE JOY Special 日本武道館 2018』をおこなった。93年に「このまま君だけを奪い去りたい」でデビューし、数多くのヒット曲を輩出してきた同グループが、メドレー含む全40曲というベストヒットといった選曲で25周年を鮮やかに彩った。24年間活動を共にしてきた田川伸治(Gt)がこの日で脱退。田川も新プロジェクトを始動させると話し、池森秀一(Vo)と山根公路(Key)も新生DEENとして新たな旅路への船出となったステージだった。その模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

夢の時間を最後まで...

池森秀一

 ステージには紗幕が包み込み、ほんのりと青い光が内側から灯っていた。中の様子は見えないがこれから始まるステージをイメージしながら期待感と高揚感は高まっていく。開演時刻になりスクリーンに25年間を振り返るようにジャケ写などのアートワークが次々と流れていく。ブルーのライトが天井を照らしドラムのカウントから「翼を広げて」でライブの幕は開けた。紗幕越しに1コーラスを演奏。2コーラス目に突入すると同時にその幕が落ち大歓声が巻き起こった。感慨深い表情を見せる池森は、ラストのサビを立ちすくみ25年の歴史を噛みしめているようだった。

 田川のファンキーなカッティングが印象的なイントロの「Memories」。まさに記憶を呼び覚ますような鮮烈なサウンドは時代を感じさせない普遍性を放っていた。「武道館での夢の時間を最後まで楽しんで行ってください」と池森の言葉に続き「Teenage dream」へ。夢の中へ導いてくれるようなバラードナンバーで武道館を包み込んでいく。

 「JUST ONE」を皮切りにここからノンストップで6曲を演奏。山根の叙情的なピアノ、田川のアコギの音色、メロウなナンバーでの憂いを帯びた池森の歌声は、映画を見ているかのようなストーリーを紡ぎ出す。ただただゆっくりと時間が経っていくような贅沢な時間。そこに解き放たれたのは「MY LOVE」。壮大なスケール感のサウンド、そして、DEENによる大きな愛で武道館を満たしていった。

 山根はショルダーキーボードにチェンジし、花道を通り3人はセンターステージへ。「Power of Love」では<ラララ〜♪>と一体感のあるシンガロングで武道館を彩っていく。そして、常夏の楽園へと導いた「太陽と花びら」、躍動感のあるグルーヴが体を揺さぶった「レールのない空へ」、「千回恋心!」とアップチューンで扇情させていく。「歌になろう」では、歌詞に合わせて手話のように動きでも観客とともにメッセージを紡いでいく。<世界をひとつにつなげる さあ 歌になろう>と多幸感あふれる空間を作り出して行った

 ここで、スクリーンに過去に開催された「47都道府県ツアー2017 ~Triangle 絆 ~」の様子が映し出された。2007年のキリスト品川教会から「ONE DAY」、2012年の日本橋三井ホールでの「Shining so Beautiful」、2017年の愛媛・松山市民会館から「Memories」、徳島・脇町劇場オデオン座から「サマーソング」とダイジェストで振り返る。「47都道府県ツアーで築いた絆は宝物です」と「Smile Blue」へと繋がった。コバルトブルーのライトが武道館に広がる。そして、池森の情感を込めたアカペラが観客の心を引き寄せた「心から君が好き ~マリアージュ~」へ。ミラーボールに反射した無数の光は星空のようだ。

大好きな音楽とともに皆さんと歩んでいければ...

DENN

 「遠い空で」、「永遠をあずけてくれ」など珠玉のナンバーを次々と披露していく。観客もその歌声と演奏にうっとりと聴き入る姿も見られた。心に寄り添ってくれる、隙間をそっと埋めてくれるようだ。「ダイヤモンド」では情熱的なサウンドに乗り、アクティブなグルーヴを感じながら軽快なステップを見せる池森。一足早く夏を運んできた「SUNSHINE ON SUMMER TIME」と幅広いジャンル、25年の成せるバラエティーに富んだセットリストで魅了していく。

 「STRONG SOUL」では<HEY!>のコールに合わせ、金と銀のテープが25周年を祝福するかのように盛大に武道館を舞った。観客もビートに合わせ左右に腕を揺らす光景はまさに絶景。そのまま「瞳そらさないで」を披露し、観客へ感謝を告げる。「僕らが新たな旅へ出たいという感謝を込めて」と最新曲「Journey」へと紡がれた。聴くものひとり一人、それぞれの情景を映し出すかのような歌と演奏、そして、武道館全員でのシンガロングが広がり、本編を終了した。

 武道館一丸となったアンコールに応え、再びメンバーがステージに登場。1曲目は「キズナ」。山根、田川もボーカルを取りそれぞれの想いを歌へと昇華していく。そして、田川のトレモロアームを使用した、繊細なタッチから出てくるサウンドに酔いしれた「未来のために」、山根もギターにチェンジしツインギターで「ひとりじゃない」とヒットソングを立て続けに披露。

 「君が僕を忘れないように 僕が君をおぼえている」では手に持ったタオルを回転させ会場が一体となっていく。池森のシャウトに呼応するかのように観客の声も高まっていった。エンディングでは池森は持っていたタオルを客席に投げ入れるパフォーマンスも。

 「沢山の奇跡が重なって今日を迎えました。これからも沢山の奇跡が起こるように大好きな音楽とともに皆さんと歩んでいければ」とラストはミリオンセールスを記録した1stシングル「このまま君だけを奪い去りたい」を届ける。感謝を込めて、全身全霊の歌と演奏は多くの人の体に刻み込まれていくよう。全てはこの曲から始まり、DEENとファンを繋げた最重要ナンバーは絆を感じさせた。

 最高の空間が広がるなか、この日で脱退する田川は「24年間お世話になりました、DEENという素晴らしいプロジェクトの一員として成長させていただきまして、素晴らしい歌声と、唯一無二の詞の世界観のなかで24年間やらせて頂いたことを光栄に思っています。これからはソロプロジェクト第2章に持っている力を注ぎ込みたい」と自身も新たな旅を続けることを告げた。

 「3人は前へ前へ進んでいこうと思います。デビュー時に戻ったつもりで頑張っていきたい」と決意を述べ、『25th Anniversary DEEN LIVE JOY Special 日本武道館 2018』は大団円を迎えた。

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