JUJUの2月21日にリリースされる、通算7枚目となるニューアルバム『I』の全曲最速先行試聴会が、1月23日に都内某所でおこなわれた。先日の積雪が残るなか約200人のファンが会場に集まった。試聴会にはJUJU本人もサプライズ登場し、24日リリースの新曲「東京」(映画「祈りの幕が下りる時」主題歌)など2曲を歌唱し、参加者を歓喜させた。【取材=村上順一】

 今作は小田和正や平井堅、小林武史など超大物プロデューサーから若手クリエイターまで幅広い人選から構成されたアルバムで全13曲を収録。そのイベントのもようを以下にレポートする。

 会場にはジャジーな楽曲で落ち着きのある空間を作り出していた。徐々に会場の席が埋まっていく。参加者の多くは女性。試聴会が始まる前から、歌詞がプリントされた冊子を見つめる参加者たちの姿があった。

 予定通り試聴会が開始。アルバムはノスタルジックな気持ちにさせるナンバーから、体を動かしたくなる楽曲までバラエティに富んでいる。全体を通して丁寧に録音されているのが伝わってくる音像、バラードなどオケの音数が少ない楽曲はJUJUの息遣いまでとがしっかりと感じられる。お手軽ではないプロの技が随所に感じられる作品になっていた。

 多種多様なクリエイターを起用したにも関わらず、アルバムを通しての統一感は流石と言わざるを得ない。それは、JUJUのもつ歌の個性が接着剤として機能しているからだ。

 アルバム曲を全て余すことなく堪能したところで、まさかのサプライズが。JUJU本人がステージに登場し、昨年リリースされた「いいわけ」をアコースティック編成で披露。ギターに石成正人、キーボードに草間信一という豪華メンバー。観衆も手拍子で参加し、JUJUの生歌を聴きいっていた。

 ここで、JUJUが今作への想いを話してくれた。「いろんなものに流されそうだなと思う日があった。この情報過多とも言える現代において、自分ありきで常にいたい。楽しいことも悲しいことも、全てに関して自分の決断で掴み取って来たから今までの自分がある。きっと、いらないことなんて一つもなかったと思います。これから先の未来も自分をしっかり持って、“自己の再構築、再確認ができたらいいなと思い『I』にしました」と、タイトルに込められた思いを述べた。

 このあと、参加者からの質問にも答えた。今作の中で新しい気づきがあった曲に、JUJU本人が“衝撃作”と話した、平井堅が作詞作曲の「かわいそうだよね(with HITSUJI)」をあげた。誰もが抱えもつ心の闇の部分と向き合って歌入れをし、過去2作品あったという、歌入れが泣きそうで出来ない楽曲の3曲目に、新しく仲間入りしたと明かした。そして、「小田さんが小田さんである所以がわかりました」と、横で付きっ切りだったという小田和正とのレコーディング秘話などで盛り上がった。

 そして、もう1曲24日にリリースされたシングル「東京」をプレゼント。表現力豊かに、聴くものの感情に触れてくる歌声。JUJU本人も楽曲の世界観に深く入り込んでいるかのような表情を見せていたのも印象的だった。観衆もじっくりとその歌声を浴びるように堪能。

 しかし、まだこれでイベントは終わりではなかった。ラストに「東京」のミュージック・ビデオを大スクリーンで鑑賞。涙腺を刺激する楽曲と父と娘のすれ違いを描いた切ないストーリーの相乗効果に、涙を流す参加者の姿も見られ、充実したイベントの幕は閉じた。

 自分を見失いそうになった時、このアルバムはきっと各々の道しるべになってくれると確信出来る内容に仕上がっていた。そして、JUJUのアイデンティティが存分に堪能できるアルバムだと言えよう。

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