シンガーソングライターの清水翔太が24日に、通算24枚目となるシングル「Good Life」をリリースする。昨年はアルバム『FLY』をリリースし、8月には日本武道館や大阪城ホールを含む全国ツアー『Shota Shimizu Live Tour 2017 “FLY"』も大盛況のうちに成功させた。デビュー10周年イヤーの集大成としてリリースされる「Good Life」。辛い時期もあったという、この10年を綴ったと言っても過言ではないこの曲に込められた想いや、今の清水翔太の音楽に対する考えに迫った。【取材=村上順一】
歌詞の意味は歌詞以上にはない
——早速ですが、雑誌やYouTubeの動画などで自宅スタジオの機材を拝見させて頂きました。凄い機材の量ですね。現在はさらに充実しているのでは?
全然ですよ。自分ではそんなに大した事はないかなと。
——SNSでは「機材にお金は惜しまない」という様なつぶやきもありましたけど?
確かに惜しまないつもりです。買いたい機材は沢山ありますけど、お金が足りないです(笑)。
——機材は高価ですからね…。最近はどのように音楽は聴いていますか。
基本的にはサブスクリプションでプレイリストを組んだり、海外の新しい曲を聴く時はYouTubeを使うことが多いです。
——今時ですね。さて、2016年の『PROUD』は自分のやりたい事を出したアルバムで、昨年リリースの『FLY』はもっとわかりやすくした、という事仰っていました。そういった流れは、今回の「Good Life」にも受け継がれていますか。
『PROUD』も100パーセント自分が良いと思えるものかというと、ちょっと違うところもあります。どうしても自分が好きな事をやると(シーンから)遠ざかっててしまって。まず日本語が楽曲に合わないんです。でも、英語も喋れないので、日本語で歌いたくないという話ではないですけど。だからその時点で、日本語に合う楽曲を作っていきます。なので、1番ナチュラルな音作りかというと、そうではなかったなと。
歌詞についても『PROUD』で好きな事をやってみましたが、ほぼ理解されなかったですから(笑)。考察される事すらなくて。でも「まあ、そうだよな」と受け入れて、ある程度わかりやすい方向を『FLY』で提示しました。その延長線上に「Good Life」も確かにあります。歌詞の意味は歌詞以上にはないですから。
——とは言いつつも、『PROUD』の時みたいに考察すれば、裏テーマの様なものが実はあったり?
これがまた本当にないんですよ。基本的に1回やって駄目だった事は僕はしないので。結局「自分の作品が考察されるほどのものではない」という事ですから。それが虚しくなったというか、ある程度の評価やセールスが伴わないと深く掘り下げてもらう事すらないと思うんです。なので、今やるべき事はそういう事じゃないなと。
——でも、ネットで検索すると、音楽評論家が清水さんの音楽を考察した記事もありました。
それだけ語るべきものがあるという事だから嬉しいです。嬉しいんですけど、世間がそうなるのが一番良いと思います。「僕はあの作品聴いてこう思った」という様な。ある程度音楽のアンテナを張っている人たちがそれをやっても、当然としか思えないですし。自分の音楽で沢山の人を巻き込んでいくのが最終的な目標ですけど、まだまだ難しいですね。
曲のテーマだったり、言っている事をキャッチーに振っていけばいくほど、バズ要素は出てくると思います。「My Boo」もそうですよね。逆にそれが難しくなればなるほど、バズ要素が減っていく。でも深さの部分もなるべく沢山の人に伝えて「これはどうなっているんだろう?」、「清水翔太は何を考えているんだろう?」という広がり方をさせていきたい気持ちがあります。
——ケンドリック・ラマー(米ラッパー)のリリックがSNSで考察される様な動きが海外ではあります。それは日本と海外のリスナーの土壌が異なるという側面もあるのかもしれません。
そうですね。それを狙って、企みを持って詞を書いてもスルーされてしまう。「結局どこにも届いていない」という現象が起きるので、優先順位として「届く」という事がまず大事だなと感じています。