日本と世界の違い、ナオトにとって音楽とは
――昨年夏の仙台でのフェスに出演された際のMCで、旅に出られてJ-POPの良さを改めて感じたと話していました。東京五輪に向けて日本の文化が見直されているなかで、世界に誇れる日本の音楽は何だと思いますか?
それはやっぱり和楽器じゃないですか。それ以外ではJ-POPのメロディの良さは圧倒的で、世界一なので、そこは胸張っていいと思います。こんなにコードが変わる音楽はほかにないのでね。こんなにコード進行が変わっていくJ-POPのなかで、メロディを作ることを僕らはずっとやってきているので、メロディの豊かさというものは絶対に外国人では考えられない、バラエティを持ったものだと思います。
やっぱり日本の音楽は凄いですよ。日本の音楽シーンはガラパゴスというか。それであるがゆえにJ-POPシーンは純度が高いというか。他はもっとアメリカナイズされているし、先端のものに引っ張られているけど、日本は良い意味で国交回復前のキューバみたいな。あんなにアメリカが近いのに、アメリカナイズされないで、キューバのあの町並みや、あの感じの音楽を守ってきたように、J-POPシーンという独特なシーンが残っているというのは世界でもそんな類をみないと思います。
それと、良い悪いではなくて世界との単純な違いですが、客観的に見て、そのアーティストやそのバンドの売れたものに対してそのカラーから絶対に出ない保守的な良さは海外とは違うところでもあります。海外ではマドンナにせよ、大御所が曲をつくるとき、20代のトラックメーカーを入れて、最新の音楽を取り入れて、“今のもの”を作るけど、日本の場合はそういうことをしない、往年の今までのファンとの曲作りというところあって。それはそれで良さであると思います。
――世界の音楽を経験されて、いろんな人種の方とも交流があって。そんなナオトさんの軸にある音楽。ナオトさんにとって音楽とは何ですか?
何かと何かがぶつかったり、共鳴したり、その摩擦でしか音は生まれないと思うんですね。(手を叩く場合では)片手では音を鳴らせない。何かと何かが合わさったときに初めて音が生まれる。それが自分のなかの音楽の象徴というか。僕が音楽を通して一番やりたいことは、それを生かして、音楽を通じて人とコミュニケーションを取りたいということです。
僕はきっと芸術家気質ではないと思うんだけど…。芸術家さんの気質に対する勝手なイメージですけど、陶芸家さんにせよ、画家さんにせよ、「他に認めてもらえなくともただただ俺は自分の表現をする」という感覚があると思うんですよね。もちろん僕もそういう部分はあるけど、自分の音楽を始めた原点が「ギターを弾けたらカラオケに行かなくてもここで、皆で歌えるじゃん」という伴奏の気持ちというか。「俺のメッセージを聞け」というよりかは人とコミュニケーションをとるためのもの。それは今のライブでも変わらないです。なので、自分のためだけに音楽はやらないですね。やっぱり、人とのコミュニケーションだったり、伝えるための「とっても素敵な手段」、それが自分にとっての音楽という気がしますね。
――さて、舞台挨拶の中で今年の意気込みとしては「4度目のデビュー」と書初めを発表されて、今後の活動としてご自身初の47都道府県を周るツアーが予定されています。最後にこれから始まるツアーへの思いをお願いします。
2018年は新人として走り出したいと思っていて、ご挨拶回りというか、47の都道府県へ「新生ナオト・インティライミです」と名刺を配りに行くツアーです。皆さんが想像するような、いわゆるギターやピアノを使った弾き語りのスタイルはもちろん、ダンスや映像演出、一人芝居など、器用貧乏と言われてきた自分が持っているものや鳴り物をめいっぱい使って届けたいと思います。
それが1個の個性だと思うんですよね。それぞれ専門のプロはいるけど、全部まとめてやるのがナオトの個性。総合エンターテインメントショーというか、きっと日本の音楽業界の歴史のなかでもソロアーティストでここまで多彩にやって、しかも47都道府県ツアーでやるというのはもしかしたら例を見ないような、ソロアーティストの枠を1つ超えたワンマンショーにしたいと思います。キッズから中高年の皆さんまで楽しんでいただけるようなショーになることは間違いないです!
(おわり)
『ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー2』【前・後編】全国絶賛公開中
配給:日活(C)2017「ナオト・インティライミ冒険記 2」製作委員会
出演:ナオト・インティライミ 監督:加藤肇
「こんなの初めて!!ナオト・インティライミ 独りっきりで全国47都道府県 弾き語りツアー2018」3月27日よりスタート