世界との違いは、ナオト・インティライミ 旅で感じた音楽と歴史
INTERVIEW

世界との違いは、ナオト・インティライミ 旅で感じた音楽と歴史


記者:木村武雄

撮影:ナオト・インティライミ

掲載:18年01月16日

読了時間:約13分

自分の夢を追い始めた、日本、そして世界のマーケット

――旅で意識が変わったという話もありました。旅から帰ってきて思うことは何ですか?

 作りたいという思いと、ライブをして届けたいという思いが強くなりましたね。やらなければならないことではなくて、やりたいことを前提に自分の曲を作っていくのが楽しくてしょうがない。今どんどんアイディアが生まれて、それがたくさんあるので「アルバム10枚ぐらい作れるんじゃないかな」というぐらいアイディア渋滞が著しいですね(笑)。

ナオト・インティライミ

ナオト・インティライミ

――創作活動という面ではどうですか。曲の作り方が変わったとか。

 やり方もガラリと変えました。LAで学びましたが、ワンルームにトラックメーカーと曲を作る作家、いわゆるソングライターですね。その方々と一緒に「せーの、どん」という具合に作りました。ネタとかも持ち寄らず、全くのゼロから。「どんな曲にしようか」と話して「バッ」とそこで作って。曲のベースを1日で作って、次の日に音も歌も入れて、ゼロから完成形まで持っていっちゃう、というスピード感です。歌も本番も録っちゃうし、生むところから完パケするところまでの作業をその場ですべておこなうことを今回、やりました。

――それが「You are」ですね。「Sunday」は帰国後最初に作られた曲ですが、「You are」はLA。作り方は違いますか?

 ほぼほぼ同じですね。日本でもそのやり方を取り入れようとして。作詞の共作者とアレンジャーを同じ空間に呼んでそこで「バッ」と録っていく。いわゆるちゃんとしたスタジオでなくても、どこでもスタジオになれうるという状態というか、凄くリラックスした状態で作れる。曲を生んでから出来上がるまで最短距離でいける。

――離れた場所でのデータのやり取りもなく、その場でできる、ライブ感があるような。

 そうそう。瞬発力で曲を作るというのは今までやったことがなかったから、どうなるのかなと思ったけど、もの凄く直観的で楽しい。

――今回の旅では現地のリズムやメロディを体感されてきて、帰国後最初に作られたのは「Sunday」。そして、LAで作ったのは「You are」。客観的にみてこの2つの楽曲の違いはありますか?

 どうかな。「Sunday」も「You are」も自分のなかでは同じ新生ナオト・インティライミの楽曲だと思うので、感覚的にはそんなに違いはないですね。自分でセルフプロデュースして、いろんな音や最終的なものを決めているから。

――私が聴いた感じですと「Sunday」はアフリカなどの流れを汲んでいて、「You are」は世界の先端的なミュージックを取り入れたイメージがあります。

 確かにそうですね。

――世界で体感された音楽をどうJ-POPに落とし込んでいくのかも楽しみです。

 日本は日本向けで、夢を追うという意味で海外のマーケットは海外のマーケット向けで作っていきたいですね。LAのトラックメーカーとソングライターと曲はずっと作り続けて、いつかの夢「海外での活動」に繋げていきたいという思いが今はあります。それもあって、アメリカやグローバルの最先端のもの、ラテンの最先端のものの研究や流行をずっとキャッチしているので。それをどこまで日本のものに入れるのかというのはさじ加減というか。入れなくてもいいだろうし、入れてもいいだろうし。

 今回のアフリカやヨーロッパの旅、今までの旅で経験したものや浴びた音楽、そして今まで聴いてきた音楽すべてが(胸をあてて)ここにストックされていると思っていて、「せーの、はい」と瞬発力をもって作るときに、いろんな引き出しを開けられるというのは自分の強みかなとは思いますね。

――今回の旅を経て、ご自身がやりたいことと商業的なことの間、距離はどう変わりましたか?

 かなり近づきましたね。難しいですけどね、そこはね。自分のやりたいことに近づけていますかね。

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ナオト・インティライミ
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