日本テレビ系の年末特別番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんでSP 絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時』での黒塗りのメイクが「ブラックフェイス問題」として物議を醸している。

 「ブラックフェイス」は、黒人以外の演者が黒人を演じるために施す舞台化粧。19世紀に米国で流行したが、1960年代のアフリカ系アメリカ人公民権運動により差別的表現とされ、使用されることはなくなった。昨年、韓国SBSが4月に放映した番組『お笑いレジェンドマッチ』でもブラックフェイスが使用され、批判が殺到。翌日にはSBSが謝罪する事態になっていた。

 今回はダウンタウンの浜田雅功が、米俳優エディー・マーフィー主演の映画『ビバリーヒルズ・コップ』 を真似、黒塗り顔、縮れ毛で登場したことが論争の引き金となった。

 BBCでは4日に、「日本のテレビ番組で、コメディアンがエディ・マーフィーに扮装した後、SNSなどで人種差別主義で文化的鈍感であると批判されている」と報じた。もちろん番組側も浜田自身もそういう差別的意図はないだろうし、そういう問題意識がアジア圏の国として低いという意味では、今回の騒動に発展することまで予測ができていなかったのかもしれない。

 しかし、2015年にはテレビの音楽番組で、アイドルグループが、ボーカルグループがブラックフェイスで出演することをSNSで報告したところ、批判が巻き起こり、結局番組では当該箇所をカットし差し替えた。

 また、2016年にはアイドルグループのライブパフォーマンスでの衣装が、ナチスの軍服にそっくりだということが物議を醸したこともあった。

 インターネットで世界中に情報が容易に拡散される現代において、やはり国内や周辺諸国だけに配慮しているだけでは、これからもこういう問題が絶えることはないだろう。メディアとしても、人権に関わってくる問題にはグローバルな視点が必要となる。

 その上で、その表現でなければ成立しないのならば、その論拠立てがおこなえるように準備し、批判にも対応していかなければならないだろう。その表現を快く思わない人間が一定数いる限り、その表現を貫いていくにはある程度の説得力が必要なことは否めない。

 6日には、X JAPANが今春に米カリフォルニア州インディオで開催される、米最大級の野外音楽フェス『Coachella Music and Arts Festival』に出演することも発表された。BABYMETALの世界的ブレイクは記憶に新しいところだ。

 今後は日本のアーティストもアジア圏だけではなく、欧州や米国をはじめ、世界中のステージに立つことは珍しくなくなっていくだろう。その際に、やはりそれぞれの国でのタブーは知らなかったでは済まされない事態に発展することは容易に想像できる。

 時代は大きく変わった。平成という年号も終わろうとし、新しい年号とともに避けて通れない、新しい価値観が共有される時代がやってくるのだ。そういう意味でも、今年は表現者にとって大きな意識改革が求められる年になるのではないだろうか。【松尾模糊】

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