<記者コラム:オトゴト>
 明けましておめでとうございます。2018年が始まりました。2017年は個人的にものすごくスピーディーで、刺激も多かったと感じています。昨年も100本以上のライブやインタビュー取材をして感じたことを書いていきたいと思います。

 昨年もCDの売り上げとは裏腹に、近年のライブの集客、盛り上がりは現在も加速していっているように思えます。音源は皆サブスクリプションやYouTubeなどの動画サイトで聴く人が増えているのを実感しています。

 この状況についてOKAMOTO’Sは昨年『NO MORE MUSIC』、“音楽はいらない”というアルバムを発表し、その時のインタビューで「良くも悪くも音楽は残り過ぎる。下手したら向こう10年くらいは新しい音楽が出なくても困らないのではないかなって」と話していたのが印象に残っています。確かにそれは感じる部分もあります。でも、今の若い人たちには今の音楽が必要で、それが同年代の共通の思い出になるからです。ここでまたひとつ新しい音楽のあり方の意義を見出せたと思いました。

 盛り上がっているフェスなどのライブについて、TOTALFATのShunさんはインタビューで「CDが売れなくなってきているのは問題かもしれませんが、時代の流れもあると思います。でも逆にライブを観に来るお客さんが本物志向になってきたというのは感じています」と、オーディエンスの質が変わってきているのを実感していると話していました。実際、筆者もライブを取材していてそう感じることが多々ありました。

 その本物志向になって来ているというのは、先日の『第68回NHK紅白歌合戦』でも感じました。例えば平井堅さん=写真=、三浦大知さんや2年ぶりにステージ復帰したSuperflyのように、歌やダンスで本質を追求したアーティストの評価がSNSで高かったのも興味深かったです。そして、その本質を追求するなかで、昨年9月に引退を決意した安室奈美恵さんの紅白ラストパフォーマンスも胸を打つものがありました。

 あとは自分たちがやらなければいけないことは、音楽や情報を受動的ではなく、能動的に取りに行かなければならないと感じています。現在は情報が溢れ、あまり自分自身で選んでいるという感覚が希薄で、なんとなく表面上で得たものを転々としていると感じています。その中でライブはみなさんが能動的に参加したもので、そこで出来上がったエネルギーは、やはり他とは違ったものになっているのだろうと思います。

 例えば音源も無料で聴いたものと、3000円を支払って聴いたものとでは趣は変わって来ます。与えられるだけでなく自分から取りに行く姿勢が、2018年最も重要なことなのかもしれません。時代錯誤だと言われるかもしれませんが、無駄な行動を増やしたい、さらに様々なことにおいて“アナログ”に生きたいと感じさせた2017年でもありました。【村上順一】

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