挫折、涙、戸惑い、NGT48荻野由佳・本間日陽 飛躍の影の葛藤
INTERVIEW

挫折、涙、戸惑い、NGT48荻野由佳・本間日陽 飛躍の影の葛藤


記者:木村武雄

撮影:

掲載:17年12月31日

読了時間:約22分

 今年のAKB48選抜総選挙で躍進を遂げたNGT48。なかでも象徴的な存在として、荻野由佳と本間日陽らは「躍進の立役者」としてクローズアップされている。昨年は95位だった荻野は5位、100位圏外だった本間は13位だった。これがきっかけで活躍の場を広げている2人だが、変化のスピードにまだ「心の整理はついていない」「自分が自分ではない」気持ちにあるという。6日に発売された「世界はどこまで青空なのか?」はそんな彼女達をはじめ、NGT48の姿が投影されている。夢だったアイドルという活動の裏にある葛藤。彼女達の本心とは。そして、NGT48を牽引してきた北原里英への想いとは。本音を聞いた。【取材=木村陽仁/撮影=片山 拓】

<インタビュー要旨>
○挫折、涙、本音、戸惑い
○今の私たちだからこそ歌える
○アイドル像
○迫真の演技のわけ、えぐられる過去
○“今”の25人最後の曲
○互いの印象、そして北原里英への想い

挫折、涙、本音、戸惑い

――AKB48選抜総選挙から時間が経ちましたが、現在、どのような心持ちでいますか。荻野さんは総選挙で5位になって、その後は芸能事務所のホリプロにも所属が決まって、活動の場がどんどん広がっています。環境はだいぶ変わったと思いますが。

荻野由佳

荻野由佳

荻野由佳 選挙後は本当に色んな事があって…。やっている事に対して、自分の感情が全然追いついていない毎日が続いていました。ずっと見ていたテレビにも出演する機会が増えて、今、自分が何をしているのかも分からない状態のままで、そこにポーンっと入って…。正直、本当にあまり分からなくて…。総選挙後の事を良く聞かれますが、新しい事の連続で正直、自分では整理がついていなくて。ずっと目標にしていた夢が叶いつつあるなかで、パパパパっと物事が進んで、もう早すぎて。

 そんな状況のなかでファンの皆さんの存在は大きくて、握手会とかで話す中で、自分を改め直してくれるというか。今の環境に戸惑いや把握しきれていないこともあるけれど、はっきり分かるのはファンの皆さんがいてくれたからこそのプレゼントだな、と。ファンの方の声を通して気持ちを改める事が出来ました。

 総選挙前後で全然違って、いきなり色んな所に露出させて頂く機会が増えて、周りの目を今まで以上に気にするようになってきていて…。もちろん、良い事だけじゃないというのは分かっていたけれど、色んな言葉を目にするようになって、凄く辛い事もあって。でも、そういう試練を乗り越えていかないとこの先もやってはいけない、ということを指原(莉乃)さんに教わりました。相談に乗って頂いた指原さんには「そういう事はあまり気にしないんで良いんだよ」とアドバイスを頂いて。もっともっと成長して、頑張っていこうという前向きな気持ちでいっぱいです。楽しい人生を送ってやろう! と。

――人生を送ってやろう?

荻野由佳 はい、そうです! もうネガティブな事ばっかりを考えないで、この瞬間は今しか味わえないと思うので、今支えてくださっているファンの皆さんと楽しもう! と気持ちを切り替えました。でも正直なところ本当はよく分からないんですよね。

――今も整理が出来ていない?

荻野由佳 整理は少しずつ出来てきましたけど、センターに選んで頂いたり、色んな番組に出演させて頂いたりとか…いざそういう場面になると分からないものなんですよね…。不思議な感じです、毎日が。

――それも無理はないと思います。総選挙を境に180度変わったようなものですからね。ということは、自分が自分ではないような感じもある?

本間日陽

本間日陽

荻野由佳 総選挙前は新潟にいることが多かったのに、その後は東京で過ごすことが多くて。新幹線で往復することも多くなったりして。隣にいる人も変わってきて、これまではNGT48のメンバーが多かったけれど、今は他のグループのメンバーさんや、テレビで見ていたタレントさんが多くなったりして、本当に環境が180度変わって。自分は自分なんですけど、どうしても自分じゃない自分も感じて、よく分からないです。

――自分じゃない自分というのはどんな感じ?

荻野由佳 猫を被っているような。いつも新潟だったら素のまんまでいられたんですけど、無駄に緊張していて堅苦しい自分がいて。凄く心地の悪い自分がたまに出てきたりするので。

――相手の期待に応えないといけないような?

荻野由佳 そうなんです。「期待してもらっているからそれ以上のものにして返さないといけない」という考えが常に頭にあって。だから「ここで期待を裏切ったらもう終わりだ」という考えも自分の中であるので「与えられたものは本当にやらないといけないんだ」と追い込んでる状態なので、本当の自分でいられる時間が少なくなったっていうのも事実です。

――本当の自分というのは“素の自分”ということですね。その中でファンはどういう存在ですか。

荻野由佳 唯一、素でいられるのは、ファンの皆さんと会っているときです。

――ファンの方にはどんな声を掛けられていますか?

荻野由佳 選挙の時からそうだったんですけど、あんまりそういう話をしないんですよ。というのも「由佳ちゃんには楽しんでもらえる事だけを考えて欲しい」、「選挙の話をしたら気負っちゃうかもしれない」という考えがファンの皆さんにはあって。そういうのを一切話さないでただただ楽しいいつも通りのふざけた話をしてたり。環境が変わって色んな事がある今も、あえてその話題には触れずにいつも通りの会話をしてくれるので、本当にありがたいです。

――本間さんは総選挙で13位にランクインされ、49枚目のシングル「#好きなんだ」では、荻野さんと共にAKB48としての活動にもたくさんご活躍されましたが、渡辺麻友さんのラストシングルである50枚目のシングル『11月のアンクレット』では選抜から外れて…。

本間日陽 総選挙では去年は100位にも入れなかったので、環境はだいぶ変わりました。それは、自分のアイドルとしての、あるいはグループへの考え方も変わりましたし、13位にランクインして以降、経験する全てが初めての事ばかりで、去年見て来た景色とは全然違います。今は、凄く夢の様なステージに立っているんだなという実感があります。

 いつも私を応援して下さるファンの皆さんも凄く喜んで下さって、また皆さんと一緒に頑張っていきたいという気持ちも芽生えましたし、もっとAKB48の選抜に選ばれたいという欲も出てきました。けど、そう思った矢先に選抜落ちして…。初めての挫折と言いますか、NGT48では今まで選抜に選ばれ続けて来たので…。でも大きな挫折ではあるけれど、自分の中では試練を与えてもらったと置き換えて、凄く意味のある機会になったと今では思っています。

荻野由佳・本間日陽

荻野由佳・本間日陽

――挫折をする事で学ぶものはありますか。

本間日陽 立ち直るには結構時間が必要で、ショックで熱も39度まで出ました…。でも、一緒になって「悔しい」や「一緒に頑張ろう」「また応援するよ」と言ってくれるファンの方もいて。その言葉一つひとつが励みになりましたし、投げだしちゃいけないと思えた事が私にとって凄く良い事で。挫折を味わって感じた事は、周りの人に凄く恵まれているという事でした。

 AKB48さんの「11月のアンクレット」の選抜メンバー発表の時、自分の中では「もしかしたら入れる可能性は低いんじゃないか」と考えていたので、選抜落ちが決まった時、「ああやっぱりなあ」という気持ちがありました。メンバーの前では強がっていたけれど、(総監督の横山)由依さんの顔を見たら自然と涙が溢れてきて…。由依さんに話を聞いてもらった事が自分の為にもなりました。

 (NGT48キャプテンの北原)里英さんも凄く心配してくださって、一緒にご飯を食べてお話をしたり。ゆきりん(柏木由紀)さんも心配して長文のLINEを下さって。同期のメンバーも心配してくれて。こんなにも思って下さる先輩や仲間がいることを改めて実感して。そういう意味ではこの挫折も意味があったと感じています。

今の私たちだからこそ歌える

――さて、今回のシングル「世界はどこまで青空なのか?」ですが、「青春時計」に続き凄くメッセージ性が強いですよね。これを聴いたときの第一印象は?

荻野由佳

荻野由佳

荻野由佳 今までのNGT48と違うなって思いました。「Maxとき315号」や「みどりと森の運動公園」「青春時計」は割と爽やか感じが多かったんですけれど、この曲を聴いたときは“わー”って思いました。カッコイイ感じでメッセージ性の強い曲で。それと同じように、この曲は今の私たちなら歌えるって思いました。選挙があって「躍進したね」と言われている中で、今が凄く波に乗っているのは私たちも実感していて。今の私たちだからこその曲で、それを皆に発信できる。多分これが6カ月前の私たちだったらこの曲はただ歌っているだけ。全然伝えられていない、気持ちのこもった歌にはなっていないのかなって思う。凄く今の私たちにぴったりな歌をもらえたなって。ありがたいって思いました。

本間日陽 最初に聴いたときは、凄く歌いやすそうだなって。直感で良い曲だと思えたし、皆で歌ったらきっと楽しいし、気持ち良さそうだなと思いました。聴く前にロック調だと聞いたので、もっとバリバリのロックな感じだと思っていたんですけれど、意外と爽やかなポジティブソングで良い曲だなと。

荻野由佳 私は、曲を聴く前に先に衣装を見たんですよ。新曲の衣装のフィッティングをするよよと言われて。この衣装を見たときは曲が全然想像つかなくって。いつも赤と白を基調とした衣装で割と可愛らしいものだったので、この衣装にどんな曲が合うんだって。もはやカッコいい感じの曲なのかって。全然想像つかなかったよね。

本間日陽 そうそうそう。

荻野由佳 それがこの曲で「おお!」ってなりました。

――「今の私たちだったら歌える」と話しておられましたが、それはなぜですか。

荻野由佳 自分の事で言うと、総選挙が一番大きいんですけれども、元々そんなに自信がなかったんですよね、自分に。総選挙で5位になった事で自信が付くかといったら逆になくなって。「5位という凄い順位に見合った人になれているか」とか、周りからの意見をずっと気にしたりしていて。もちろん良い意見ばかりでなく批判的な意見も耳に入ってしまったときは凄く悔しいし、傷つくし。そういうので凄く悩んでいたときもあったんですけれど、そういう悩みや挫折があったからこそ凄く強い力が身についたというか。色んな活動をさせて頂く中で、色んな人の気持ちがわかるようになってきて。悔しい子もいればその裏では嬉しい子もいるし。色んなものを見てきた中で、そういう感情が芽生えてきて。泣かないで欲しいし、微笑んで欲しいし、幸せになって欲しい。いろんな経験をして、色んな思いをもって、そして、今躍進しているNGT48なら、こういう力強い曲でも伝えられるんじゃないかなって。NGT48の中にも悔しい思いをしている子は沢山いるし。メンバーを思い浮かべてもこの曲は凄くぴったりなので。

アイドル像

――MVでは「自分の青春をアイドルに捧げられるか」というメッセージがありました。お二人にとってアイドルとは何ですか。

本間日陽

本間日陽

本間日陽 私は小学生の時から48グループを見てきました。昭和のアイドルと今のアイドルって少し違うと思うんですよね。昭和のアイドルはよく「皆の憧れ」という感じじゃないですか。でも、私が見てきたアイドルはまた違う一面もあって、色んな形の良いものがあると思うんです。AKB48なら番組で虫を食べるなど体当たりで臨む姿もあって。最近ではプロレスも。そういう姿も凄く良いなと思って。歌とダンスだけじゃない、新しいアイドルの“ジャンル”に挑戦していく。アイドルとかけ離れたところとの融合に面白さを感じます。それとNGT48は今、超地域密着型アイドルをやっていて、ローカルアイドルと言えばローカルアイドルかもしれないけれど、地域の良さを全国に広めている活動にも力を入れています。そいう事も含めてアイドルの形はさまざまあって良いなと思っています。さまざまなことができるのがアイドルなのかもしれません。

――自分の中でこういうアイドルになりたいという理想像はありますか?

本間日陽 私は性格的には真面目で、アイドルとして出来ることを全力でやりたいと思うので、ファンの方と一緒に上を謙虚に目指して。一歩一歩こつこつ進んでいくようなアイドルになりたいです。卒業コンサートをされた渡辺麻友さんのような、そういったアイドルの道を突き進んでファンの方、メンバーの方、そしてスタッフさんにも愛されるようなグループを作りたいし、自分もその一員でいたい。そういう想いは麻友さんの卒業コンサートでより強くなりました。

――荻野さんはこれまで色んな挫折がありましたけど、ようやくアイドルを手に入れて思うことはありますか。

荻野由佳 アイドルになってから自分の性格、自分が変わりました。アイドルになる前からおとなしかった子ではないんですけれど、外面は元気だけど根は暗い子みたいなそんな感じだったんですね、私。だから家でも、外では元気だったけれど家では別にちょー元気な子っていう訳でもなくて。ずーっと寝ていたり、休みの日はたまに友達と遊びに行くけれど、そんなに自ら外に出たいとは思わない子で。結構、根は暗めだったんです。でも、AKB48と出会ってAKB48の楽曲と出会って、大島優子さんを見てから自分もこういう外もキラキラして、内面からも輝いている人になりたいなと思って。それでAKB48やアイドルに憧れを持つようになったので、NGT48に入ってからは内面から明るくなったと思います。

荻野由佳・本間日陽

荻野由佳・本間日陽


――MVの中で「青春なんていらない」というセリフがあります。あれはあくまでもあの世界の中のことですが、自分にも当てはまる?

荻野由佳 当てはまります。加入したのが高校2年生だったので。周りは絶賛青春中で、恋愛したりとか遊びにいったりしていて、凄く楽しそうだなって思っていたけれど、私にはそれ以上になりたいものがあって。今、我慢すれば後は楽しい未来が待っているんだと言い聞かせて、一生懸命堪えていました。でも、時には友達をみて「ああ…」って思うことも。でもそこは家族の協力で厳しくしてもらったので、青春なんて捨てるくらいの気持ちで毎日過ごしていました。もし、そこで家族が何もしてくれなくて、あのまま友達にのまれていたら多分いまの私はいなかったと思う。

 先ほどもありましたが、アイドルって凄くキラキラしていて可愛いじゃないですか。でも実際、私がこの世界に入って思うのは華やかさだけではないというところです。AKB48のオーディションの時に「輝きの裏には影がある」と言われて、当時はその意味が全然わからなくて。でも、加入してレッスンしていくうちに凄く分かってきて。この世界って競い合いで勝ったものが上にいく世界じゃないですか。凄く難しい事もいっぱいあるし、人気に伸び悩んだり人気になったりそういう事もあるし。それぞれ色んな葛藤を持ちながら個性を持って頑張っているメンバーが沢山いる中で自分はどうしたらいいんだ、と悩んだし。改めて、アイドルの輝きはそれぞれの努力があってのものなんだなと思って。改めてアイドルって凄いなって思いました。

――先ほども「私たちだからこそ歌える」という話もありましたが、そういう点も含めて、曲の世界そのものが皆さんを映し出している?

荻野由佳 そうです。だからこのMVを見て、アイドルを目指している女の子に覚悟を決めて欲しいなって思います。なにも青春を全部捨てろとまでは言わないし、人それぞれ考え方も違うと思うんですけれど、一つ言えるのは覚悟を持って欲しいということ。アイドルになりたいなら一生懸命に頑張って欲しいというメッセージを、私はこのMVに込めて。そうした思いでレコーディングにも臨んだので、それが伝わったら嬉しいなって思っています。

迫真の演技のわけ、えぐられる心

――「世界はどこまで青空なのか?」の最後では荻野さん泣いているシーンがあります。凄くリアリティーがあった迫真の演技でしたが、なぜあのような演技ができたのか知りたくて。

荻野由佳・本間日陽

荻野由佳・本間日陽

荻野由佳 監督に追い込まれ追い込まれて、自分を追い込み撮影しました。凄い辛かったです、精神的に。このシーンを撮るにあたって感情を入れないと撮れないものだと思ったので、監督と撮影場所を何周も何周もグルグルして、2人で話し合いました。監督は夢を語ってくれて。「私はトップの監督になりたくて、でも私より凄い人は何人も上にいて」というような事を一から語ってくれて。その後に「由佳ちゃんもずっとこのアイドルを目指してきたんだよね」と優しい声で言ってきて。「私はこのアイドルにずっとなりなかったんです」と言ったら監督が「由佳ちゃんは今の自分は昔の由佳ちゃんに何て言い聞かせてあげたい?」と聞いてきて。

過去をえぐられるというかあまりNGT48に入る前までの過去を思い出したくない人で。凄く辛かったので。そこをえぐられてもう涙が出てきちゃって監督にスイッチが入って、叫ぶように「由佳ちゃんまだまだここにこのMVにアイドル荻野由佳の魂込められるよね! まだいけるでしょ?ねえ!」って凄く言われて。自分に凄く悔しくなっちゃって「まだいけます!」って泣きじゃくっていた状態で監督が「まだいけるよね! いけー!」ってバーンで押してくれて、カメラをすぐ回してフェンスにばーんってぶつかって「青春なんていらない!」というセリフを言うような感じでした。

――あの一面はもともと自分の中にあった部分なのでしょうか。自分の中に二人がいると話していたので。

荻野由佳 そのまんまの私でした。あの制服を着ている山の上に立っている所はアイドルになる前の自分。これを着て泣いている所はアイドルになったときの自分。制服を着ている自分は「私はアイドルになりたいんです。青春なんて何もいらないからアイドルになりたいんです、頑張ります」みたいなのを青空に向かって願っているような感じなんです。実際の私も恋も何もしなくて良いからただただこのAKB48グループに入りたいっていう想いがあって。そこはまず重なっていて。

 泣きじゃくるシーンはアイドルになって実際に華やかな世界でなくって競争の世界で辛いこともあるけれど、でもなんだかんだ夢だったアイドルになれたことがとっても幸せですって意味を込めて泣きじゃくって最後には笑顔になるっていうシーンなんですけれど。今の私も凄いアイドルになれた事が嬉しいですし、今でも夢なんじゃないかって思う事も時々あるんですけれど、でもその嬉しさの中でも難しいこともいっぱいあって。例えば周りからの反応だったりとか、同期が上にいくいかないとか、凄い悔しいことがいっぱいある中で、でも私はトップになるにはまだまだ頑張らないといけないって思いもあって、だからその自分に “YUKA”にリンクしていて。なんかこれはまるで本当の自分を言ってるかのように感じたので、凄いやりやすかったって言ったらやりやすかったです。

――本間日陽さんはもともとバレエをなさっていましたね。MVでは荻野さんの様子を見て、途中で髪をほどいて踊りだすというシーンがありました。

本間日陽 ドラマ中の私の役は、由佳ちゃんの幼馴染で由佳ちゃんの事が本当に凄く好きな女の子なんですね。由佳ちゃんがアイドルになるって決めていた時に、最初に打ち明けてくれたことが凄く嬉しくて。それで由佳ちゃんが夢に向かって頑張ってがむしゃらに踊っている姿にも凄く嬉しさを覚えて。「私も一緒になってサポートするよ」という意味が込められたシーンです。あそこには何人もいたけど、最初に踊り出したのが役の私です。MV撮影のときもずっと隣にいて、本当に由佳ちゃんがこの曲に真っすぐ向き合っているのを見て、自分も出来る限りこの曲に全てをぶつけたいなって思いました。

――ところでバレエの経験は今の活動に活かされていますか? テレビ番組でも披露はされていますが。

本間日陽 昔ですが、ロシアのバレエ団が新潟に来たときに、私が通っていた教室に依頼があって、先生が子役に選んでくださったのがきっかけでステージに立ちました。部活もダンス部で、小さいころから踊ることが好きで、ステージに立つことも好きなので、その踊り方や体の使い方は今の活動には凄く活きています。ステージを大切にするステージに向かう気持ちは、誰よりも大切にしたいとも思って、公演の前には必ずステージに向かって「今日も良い公演になりますようによろしくお願いします」と挨拶します。終わった後も「今日も良い公演ありがとうございました」と言っているんです。

“今”の25人最後の曲

――その本間さんは、恋愛を歌っているカップリング曲「ナニカガイル」でセンターになっています。先ほども渡辺麻友さんに憧れているという話がありましたが、アイドルの鏡である渡辺さんを尊敬する本間さんが恋愛曲を歌っているのがキュンとくるといいますか…。どのような思いで歌いましたか。

荻野由佳

荻野由佳

本間日陽 この曲は曲調も凄く明るくてポップで、NGT48にしたら多分初めてと言っても良いくらいの明るさと可愛いらしさを兼ね備えた曲だなって思っていて。私の想い的にはこの曲は、NGT48・25人で収録した最後の曲になるので…(※注=大滝友梨亜が10月いっぱいで卒業)。いつも楽屋にいたときも一緒で、これまで2年以上も一緒に活動してきた皆が周りにはいて、凄く安心してセンターに立つことが出来て。今は卒業した大滝さんも含めての25人のNGT48をこの映像に全て詰め込んでいて。それが凄く嬉しいなって思っています。

 曲で言えば凄く可愛らしくて自分的にはメルヘンな感じ。恋をエイリアンとかウイルスとかそういったモノに例えるのが、すごく面白いし、可愛いなって思っていて。ダンスは、ダンスの先生が言っていたのはライブではこの曲が凄く盛り上がるような神曲になればいいなって言っていらしたので、私も可愛らしさとその盛り上がりを兼ね備えたNGT48のまた新しい神曲になればいいなって思っています。

荻野由佳 大滝も参加した25人で歌う最後の曲なので凄く大事です。この曲がこんなにも可愛い曲で、ファーストシングル「青春時計」に収録された全員曲「暗闇求む」は結構これとは真反対の暗めな感じだったんですけれど、凄く可愛いキュンキュンしたアイドルソングになっていて。私的にはこのMVが凄く大好きで。凄く可愛らしいMVにもなっています。

――収録曲全てを通して曲調が幅広いなと思います。

本間日陽 そうなんですよ。

――「僕の涙は流れない」はいかがですか?

本間日陽 大人っぽい曲で、振付も凄く大人っぽいんですよ。セクシー系なダンスで、台を使ってダンスをしたりとかしていて、フォーメーションとかもどんどん変わっていくし。また曲も凄く素敵なんですけれど、パフォーマンスと一緒にライブで披露したらもっとこの曲の良さが伝わるんじゃないかなって思っています。

荻野由佳 私は「ぎこちない通学電車」。これが本当に好きなんです。メンバーの出身地各エリアを代表したふるさとチームで歌っているんですけれど、本当にこの曲キュンキュンして。今の若い女の子だったらみんなに刺さるんじゃないかなって。私はアイドルなので恋愛も出来ないし、青春もないような感じなんですけれど、この歌を聴いている代わりに恋愛が出来ている感じがするというか。

本間日陽

本間日陽

本間日陽 しかも歌詞の感じが短編小説の流れになっていて。

荻野由佳 少女漫画みたいなものだから、これを読んでいるだけで私キュンキュンしちゃって。

本間日陽 もうずっとうるさいんですよ(笑)

荻野由佳 身振り手振り止まんなくて。だから私的には恋もしない青春もしない私にとってこの歌は青春、恋愛。私の恋愛です。もうこの歌は私の恋愛っていうぐらい好きで、どこかのふるさと感を感じられるメロディーでもあって、優しい感じの曲調なので。凄いおススメの曲です。

――本間日陽さんはおススメな曲はありますか。

本間日陽 やっぱり自分のセンター曲が一番思い入れはありますね。でも「大人になる前に」も大好きです。実際に学生のメンバーによるリアル学生選抜曲なのですが、小熊倫実ちゃんがセンターをつとめていますす。私と山田野絵が高校3年生で、この選抜の中の最年長グループなんですよね。なので山田野絵と二人で話していたのは、NGT48は年齢層が高めなので自分たちって結構若い方だと思っていたんですけれど、このメンバーだけで曲をやるってなるとやっぱり年は上の方で…という話をしていて。やっぱりそういうのも新鮮でしたし、後はとにかく可愛いんですこの曲は。小熊倫実ちゃんのつぐつぐっていうポーズが本当に沢山入っていたりとか。

荻野由佳 MVもただただ可愛いです。

本間日陽 夢の中でのイメージのMVなので、瞬間移動したりとか。後は喧嘩しているメンバーが仲直りしたりとか。本当に見所沢山だと思うし、つぐみん(小熊)を皆好きになると思うし、つぐつぐってしたくなる曲です。

――瞬間移動と言えばどこでもドアが欲しいっておっしゃっていましたけど

本間日陽 欲しいです。今も欲しいです(笑)

互いの印象、そして北原里英への存在

――ところで互いの印象を教えてもらえますか。

荻野由佳 本間日陽さんは見た通り凄い正統派なアイドルで凄い可愛いらしいんですけれど、たまにお茶目な所というか、ぼけている事もあって。なんかわからないんですけれどおばあちゃんみたいになったりしたり、後はアイスが大好きなんですけどアイス大好き大好きって言ってるわりにお腹が弱かったりとか。ほんのちょっとした可愛らしい所があって。でも劇場でのパフォーマンスがピカイチよくて。曲の世界観に入り込むのも上手だし、しっかりしているし勉強もできるしっていう所で凄く尊敬する所が沢山あって。後は周りをよく見ていたりして。例えば泣いちゃった子がいたらずっと寄り添って優しい言葉をかけてあげて、その子が泣き止むまで一緒に横にいてあげたりとか、凄い優しい子で。アイドルに全てをかけているんだなっていうのが近くにいてもわかるような人で、凄く良い刺激をもらえる存在です。

荻野由佳・本間日陽

荻野由佳・本間日陽

――本間日陽さんはどうですか。

本間日陽 由佳ちゃんは普通に一緒にいたら面白くて楽しい人です。総選挙が終わってから一緒にいる時間が増えたんですけれど、不安な気持ちとかも由佳ちゃんと一緒にいたら全部消えちゃうし、由佳ちゃんがいてくれて凄く助けられたことは何度もあって。本当に由佳ちゃんの存在がいつも日陽を笑顔にしてくれます。でも由佳ちゃんも由佳ちゃんで注目されることが多いですから、大変な事もあって。それで本当はそんなに強くないのに凄い頑張っているのを見て、いつも泣きそうになります。でも新潟にいるときは副キャプテンっていう立場もあるから、皆の事を凄く見てくれていて。新潟に来たら新潟のメンバーと一緒にいるときは本当に皆の事を想っていて。ファン想いだしとにかく人の事をよく見ているんです。それで人が喜ぶことを凄く積極的に沢山してくれる人だから、サプライズを凄いしてくれる楽しい人で。由佳ちゃんと一緒にいる人は絶対由佳ちゃんと一緒にいて楽しいって気持ちにならない人は一人もいない。楽しくないって思う人は一人もいないって思うから、そういう風に楽しさを人に分ける力は凄いピカイチだなって思います。だからこそ色んな人が由佳ちゃんの事が気になると思いますし、由佳ちゃんと喋ってみたい仲良くなりたいって思うんだろうなってその魅力にひきつけられています。

――北原里英さんが卒業されます。どういう存在でしたか。

本間日陽 里英さんは本当に私がNGT48に入りたいって思ったのが、3月に北原里英さんと柏木由紀さんがNGT48の一員になるって聞いて今までずっと見てきたAKB48さんで活躍されていたメンバーさんが地元に来てくれるっていうのは、凄くワクワクしたし、それだったら自分もその一員になりたいなって思ったのがきっかけでNGT48に入りたいなって思ったんですけれど、入ってからは本当に優しくて、一から全部教えてくださったし、ここ最近では一緒に映画を観に行ったり、ご飯に行ったりとか凄い良いお姉さんで。日陽の理想の先輩像です。もし今後後輩が増えてきたら里英さんのような先輩になりたいなって凄く思います。

――荻野さんは。

荻野由佳 里英さんは私をアイドルにしてくれた女神です。ドラフトで里英さんが私を選んでくれなかったら私はここにいないし、だから私が今ここにいれるのは里英さんのおかげだし、嫌な事があったりするとすぐにご飯に誘ってくれたりなんでも話を聞いてくれたり。副キャプテンとして伸び悩んだときも里英さんが一番に話を聞いてくれたり、何かを察して声をかけてくれたりしたので、私のアイドル人生の中における原点な人というか。私が今ここにいれるのが、全て里英さんのおかげなので私の女神です。

(終わり)

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