4人組ロックバンドのTHE ORAL CIGARETTESが12月5日と6日に、東京・新木場STUDIO COASTでワンマンライブ『唇ワンマン2017 AUTUMN「Diver In the BLACK Tour 」』のツアーファイナル公演をおこなった。ツアーは間に『Diver In the BLACK Tour 〜裏ツアー編〜』を挟みながら、11月1日の大阪・Zepp Osaka Baysideを皮切りに、12月6日の東京まで全11公演をおこなうというもの。ライブは「BLACK MEMORY」やアンコールで未発表曲「ReI」を含む全20曲を披露。終始THE ORAL CIGARETTESの勢いあふれるテンションの高いライブを展開、間に「トナリアウ」アコースティックアレンジで聴かせるなど、新たな試みも見られた。セミファイナルとなる5日のもようを以下にレポートする。【取材=村上順一】

「黒に身をもっと投じて...」

(撮影=Viola Kam 【V'z Twinkle Photography】)

 会場は多くの人で満員御礼。開演時刻が近づくと、前方に向かい人の波が押し寄せていく。そして、会場は暗転しSEが響き渡る。ブルーのライトがフロアを照らし、オーディエンスは腕を掲げメンバーの登場を待ちわびる。1曲目に奏でられたのは「ONE’S AGAIN」。扇情させる歌と演奏で、序盤からエモーショナルな空間が広がっていく。そして、「カンタンナコト」へ突入するとテンションは鰻登りのように高まっていく。山中拓也(Vo、Gt)は「2曲だけで十分ヤバいな!」と、その盛り上がりに声を上げる。

 その勢いはとどまることを知らず、印象的なコーラスが「DIP-BAP」でギアを1段上げ、さらに中西によるパワフルな2ビートが体を躍動させた「5150」のカップリングとして収録の「Uh...man」へと紡がれる。そして、定番曲「STARGET」ではサビの<廻る廻る 時代の裏側♪>の歌詞に合わせ、フロアのオーディエンスもサークルを作り走る光景も。

 「黒に身をもっと投じてほしい。綺麗事ばかり言っていてもしょうがない。自分も汚いところを見せていきますので、みんなも感情むき出しにして僕らに噛み付く勢いで来てください!」とライブへの意気込みを話し、ここからは最も今回のタイトルの核心に迫るようなセクションへ。7枚目のシングル「トナリアウ/ONE'S AGAIN」のカップリングに収録されている「接触」では、ド派手なライティングは視覚的にもエキサイティングな空間、そして、ラウドなサウンドの中にTHE ORAL CIGARETTESのミスティックな旋律が映える「ミステイル」、定番曲の一つ「マナーモード」と新鮮なセットリストで展開。内面から黒いものを放出させるかのようなステージだった。

 「暗闇の中でもがいてバンドへの愛がより深くなった。THE ORAL CIGARETTESのために書いた楽曲を歌わせてください」と「Flower」へ。一筋の希望の光のような鮮やかさを放つ。あきらかにあきら(Ba、Cho)のフレーズがリフレインするベースソロは、楽曲のアクセントになっていた。「天国の大切な人に歌わせてください」と投げかけ届けたのは「エンドロール」。情感を込めた山中の歌声は、オーディエンスだけに留まらず、天国まで届いていくようだった。

 「気づけよBaby」で再び興奮度を高めた後、MCコーナーへ。ここでは、ドリンクのペットボトルに刺さっているストローに穴が空いていて上手く飲めないというアクシデント?や、山中が引っ越しをして洗濯機の排水ミスで水浸しになってしまった事件など、アットホームなトークで楽しませた。

新曲「ReI」を披露

(撮影=Viola Kam 【V'z Twinkle Photography】)

 そして、鈴木重伸(Gt)がアコースティックギターにチェンジし届けられたのは「トナリアウ」。メンバー全員イスに座り、しっとりとアコースティックアレンジで聴かせてくれた。より強く言葉とメロディが浮かび上がり、楽曲の新たな一面を見せた。勢いだけではない“静”の側面を打ち出した。

 さらに、ライブでの披露は久しぶりなレア楽曲「See the lights」を披露。才能がなかったとしても悲壮せず、努力すればきっと報われる。そんなメッセージが込められているかのような力強い歌。これから20年、30年ブレずに頑張っていきたいという決意を感じられたパフォーマンスであった。

 「ラスト、全力でぶつかってこい!」と山中が投げかけライブはラストスパートへ。「5150」、オーディエンスとの<CATCH ME!!>のコールがオーディエンスとの一体感をさらに高めた「CATCH ME」、さらにブーストさせるかのように、盛り上がり必至のキラーチューン「狂乱 Hey Kids!!」。タイトルの名に偽りなし、まさに狂乱と化したフロアのボルテージはマックスに。本編ラストは9月にリリースされた最新シングル「BLACK MEMORY」をヘヴィラウドなサウンドで、怒涛の畳み掛けでSTUDIO COASTを席巻し、ステージを後にした。

 アンコールに応え、まずはワンマン恒例の「まさやんショッピングコーナー」でグッズの紹介。回数を重ねるごとにトークの切れ味が増していく、ワンマンの密かな楽しみにしている人も多いと思われるコーナーだ。

 そして、メンバーも合流し、アンコールでは未発表の新曲「ReI」を披露。バンドの想いが入った「ReI」をオーディエンスは静かに佇み、その楽曲から放たれるメッセージを受け止めているようだった。

 バンドは今、新たなレベルに達しようとしている、そんなエネルギーが満ちていたパフォーマンス。来年の2月15日に開催される大阪城ホール公演ではこのツアーの答えが見えるだろう。どのようなステージを見せてくれるのか、期待せずにはいられない。

セットリスト

12月5日 セットリスト

01.ONE'S AGAIN
02.カンタンナコト
03.DIP-BAP
04.Uh...man
05.STARGET
06.接触
07.ミステイル
08.マナーモード
09.Flower
10.エンドロール
11.気づけよBaby
12.トナリアウ
13.Shala La
14.GET BACK
15.See the lights
16.5150
17.CATCH ME
18.狂乱 Hey Kids!!
19.BLACK MEMORY

ENCORE

EN1.ReI

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