歌手の倖田來未が28日に、全国ワンマンツアー『KODA KUMI LIVE TOUR 2017 ~W FACE~』のファイナル公演おこなった。17年3月に同時リリースされた『W FACE ~outside~』と『 W FACE~inside~』を引っさげて、4月の福島を皮切りに沖縄まで2年連続47都道府県全60公演をおこなうというもの。沖縄公演は当初10月28日におこなわれる予定だったが、台風のため延期。年をまたいでの千秋楽となった。まさに“W FACE”という2面性を打ち出したステージでオーディエンスを魅了した、17年8月6日におこなわれた東京公演のもようを以下にレポートする。【取材=村上順一】

第1幕〜outside〜

ライブのもよう

 紗幕にはアルバム『W FACE』のアートワークが投影されていた。定刻を回ったところでSEが会場に響き渡り、紗幕の倖田の目が青く光ると、程なくして暗転。壮大な映像が流れ、紗幕が上がると、ステージで存在感を放つトライアングル型のスクリーンの奈落から、倖田がゆっくりと上昇。会場は大歓声に包まれた。第1幕『outside』のオープニングを飾ったのは「Ultraviolet」。ブラッキーなリズムに乗って、倖田の感情を揺さぶりかける歌声で一気にオーディエンスの心を掴む。

 「Insane」では、天井から舞い降りたネットに包まれ、そのまま上昇。そのネットを使い高速で回転したりと、サーカス顔負けのアクロバティックなパフォーマンスで会場もエキサイティング。さらに「Damn real」では紗幕に投影された映像と、空中を舞う倖田との見事な融合で幻想的な空間に誘った。

第2幕〜inside〜

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 第2幕『inside』では、スリットの入ったスカートがセクシーな真っ白い衣装にチェンジした倖田がステージに登場。バンドによる生演奏で「喜びのかけら」、「愛のうた」と、第1幕とは180度趣を変え、倖田の感情の豊かさが生きるバラードナンバーでスタート。情感を込めた伸びやかで広がりを見せる歌声にオーディエンスも耳を傾ける。MCを挟み「カラオケで育ってきた世代」と話し、中森明菜や松田聖子の楽曲をメドレーで届ける。スクリーンには倖田とともに歌詞も映し出され、巨大なカラオケボックスのような空間に。MONGOL800の「小さな恋のうた」では、会場からシンガロングも起きるほどの盛り上がり。

 心を失ってしまったという意味を持つ「Heartless」を櫻井(Key)と2人で披露。叙情的なピアノの音色の上に、エモーションたっぷりの倖田の歌が楽曲を彩っていく。続いての「好きでして」では、会場のオーディエンスから2人が選ばれステージに。ティーカップをイメージさせるシートに2人を招き、その2人の間に倖田が座り歌唱。歌いながらオーディエンスの肩に寄り添ったり、目を見つめながらの歌唱に、幸運な2人も感動隠せずにいた。第2幕のラストは「Stand by you」を体全身を使い熱唱。その歌声はオーディエンスの感情を揺さぶっていった。

第3幕〜Mix〜

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 ダンサーたちによる映像とコラボしたダイナミックなパフォーマンスから第3幕に突入。「HOTEL」、「TABOO」とアグレッシブなナンバーで、オーディエンスをヒートアップさせていく。ここで、倖田がDJセットに移動し、サンプラーのMPCを使用したパフォーマンス。パッドを巧みにプッシュしながら、テンションを上げていく。そして、TEAM ULTRA VIOLETのダンサーメンバーを紹介。個性あふれるソロパフォーマンスで沸かせ、ロックユニットCOMPLEXのカバーで「BE MY BABY」を披露。心たぎらせるようなパフォーマンスで会場の一体感も増していくのがわかる熱演。

 「LOADED feat.Sean Paul」ではイントロでの、オーディエンスたちのシンガロングに倖田も「サイコ〜!」と投げかけるほどの一体感。クールなビートに合わせ、オーディエンスも掲げた手をヒラヒラとさせていたのが印象的。「最後はこの曲でいくよ!」とテープが盛大に宙を舞い「What's Up」へ。会場はオーディエンスの振り上げるタオルで埋め尽くされアゲアゲなテンションのなか、「ひとつになるよ」と倖田が投げかけ、会場全体でジャンプし本編を終了した。

「常にアップデートしていきたい」

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 アンコールを求めるオーディエンスによる「girls」のシンガロング。ほどなくして映像がスクリーンに映し出され、アンコールがスタート。会場の拍手の大きさで演奏曲を決めるというリクエストスタイル。「UNIVERSE」と「WIND」が表示され、拍手が大きかった「UNIVERSE」を届けた。立て続けにヒットナンバーの「Butterfly」へ。倖田はメインステージから飛び出し、両端に向かいオーディエンスと交流しながらのパフォーマンス。

 さらに8月2日にリリースされた「LIT」を披露。夏にピッタリなキャッチーなコーラスが耳に残るナンバーで、ボルテージは最高潮まで高まった。MCでは「目標を立てて常にアップデートしていきたい。そういう気持ちでツアーを回っています。周りの“普通”ではなく、自分自身の“普通”を大切にしてほしい」と倖田のスタンスを語り、ラストは「walk」を披露。エンディングでは涙を浮かべながらオーディエンスに手を振る倖田の姿。1ステージ1ステージ常に全力で邁進してきたことがわかる歌とパフォーマンスに、魅了された一夜であった。

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