SPYAIR、BLUE ENCOUNTと初の対バン 両バンドで特別コラボも
初の対バンをおこなったSPYAIRとBLUE ENCOUNT(撮影=鈴木公平)
ロックバンドのSPYAIRとBLUE ENCOUNTが5日、東京・新木場STUDIO COASTでツーマンライブ「LOCK ON!!!!」を開催。SPYAIRのIKE(Vo)とBLUE ENCOUNTの田邊駿一(Vo、Gt)が、LINE LIVEの生配信番組『さしめし』で共演したことをきっかけに実現したもの。それぞれのバンドが熱いライブを繰り広げ、スペシャルなコラボも披露。お互いをリスペクトし合う両者の熱と熱、圧と圧、誇りと誇りが真っ向からぶつかり合う、“これこそが対バン”と呼べるイベントになった。IKEは最後に「いずれまた、一緒にやろう」と最高の盛り上がりを見せた夜に満足気な表情で再会を望んだ。
SPYAIRとBLUE ENCOUNTがコラボ
両バンドの共通の知人である、アニメ『銀魂』の主人公・坂田銀時こと銀さん(声=杉田智和)による爆笑満載の前説によって、会場が盛り上がったところで登場したBLUE ENCOUNT。1曲目の「MEMENTO」からバキバキの演奏を繰り広げ、待ちわびていた観客の興奮が一気に爆発した。
始まった早々から戦闘モード全開で、先輩であるSPYAIRを今日は越えてやるといった覚悟を感じさせる、そんな気迫タップリのステージを展開したBLUE ENCOUNT。観客の盛り上がりに、田邊は「すげえな〜!」を連発。「DAY×DAY」で江口雄也(Gt)と辻村勇太(Ba)、田邊の3人が一斉に頭を振り、「ルーキールーキー」で「オイオイオイ」と声を上げると、観客はモッシュやダイブを繰り出し野外フェスのトリのような盛り上がりを見せた。
そんな観客の様子に「今一番気持ちいい顔が、ブサイクな顔でかわいくて格好いいんだからな(笑)!」と、独特の表現で観客を讃えた田邊。「誰かにとっては平日だけど、今日ここにいる全員にとっては最高の記念日にしようぜ!」と、さらに熱く会場を盛り上げた。
中盤にはSPYAIRのIKEが参加してコラボを繰り広げた。IKEを迎え入れると、会場には大歓声が響き、それを聞き「完膚なきまでに負けた」とがっくりと肩を落とした田邊。「でもIKE先輩、顔にタオルの痕がくっきり付いてますよ。さっきまで寝てたでしょ(笑)!」と、すかさず仕返し。そんな子どもじみたやりとりの間も両者ともに終始笑顔で、この日を心底待ち望んでいたことが感じられた。
IKEが「前から歌いたいと思ってた曲があって」とコメントして、コラボで披露したのは「もっと光を」。BLUE ENCOUNTの演奏をバックにIKEが歌声を響かせ、本家にも負けず劣らずのステージを見せた。この新たな「もっと光を」は観客のハートもがっちり掴んで、どちらのファン関係なくクラップに大合唱にと熱く盛り上がった。
最後に、なかば自虐的に「ちょっとだけでもSPYAIR先輩に勝った気分にさせてくれよ!」と、叫んだ田邊。11月29日にリリースするシングル「VS」の収録曲「SUMMER DIVE」を披露。観客はタオルを振って、雨模様だった新木場を炎天下の夏に一気に引き戻すような熱い演奏を見せた。
すぐ追い抜いていかれそうな後輩っつーか、憎たらしいっつーか(笑)
後攻のSPYAIRは、けたたましいサイレンの音で始まる「OVERLOAD」からスタート。「ようこそ〜! SPYAIRの『LOCK ON!!!!』へ。遊ぼうぜ!」と、いつもの煽りでライブを始める。「現状ディストラクション」「イマジネーション」と人気曲を連発し、先ほどまでのBLUE ENCOUNTの余韻に火を放つ様な勢い。観客も一緒に声を上げて体を揺らした。
中盤には“SPYAIRの少し大人な曲”と、8月にリリースしたばかりの新曲「MIDNIGHT」を披露。ジャズとロックがミックスされた新たな一面を感じさせる意欲曲で、キメではメンバーが目を見合ってタイミングを合わせる、バンドシップを感じさせる太くてグルーヴに満ちた演奏で観客を沸かせた。
また「サクラミツツキ」では、UZ(Gt&Programming)のしっとりとしたギターソロから始まり、観客のリストバンドがピンク色に輝き、会場全体が桜吹雪に包まれたような演出で魅せた。
BLUE ENCOUNTに対して「ちょっと気を許すと、すぐ追い抜いていかれそうな後輩っつーか、憎たらしいっつーか(笑)。近しい存在だけど、(対バンは)やってなかった。いずれまた、一緒にやろう」と、良いライバル関係であることを宣言したIKE。
呼び込んだ田邊に耳打ちし、田邊が「持ってるタオルを出してくれ〜」と叫ぶ。SPYAIRでタオルと来れば「サムライハート(Some Like Hot!!)」の時間だ。続けてIKEが「盛り上がる準備は出来てますか? いつものやつをいきましょう!」とはやし立て、タオルを回して会場が一つになった。そしてアンコールは「SINGING」の大合唱で、締めくくった。
めきめきと腕を上げ、先輩の背中をまさしく“LOCK ON”した、対バンキラーのBLUE ENCOUNT。広い背中で後輩を受け止めつつ、ツーマンでたっぷりと刺激を受けたSPYAIR。
両者の盛り上がりは、今期ベストライブと言っても良いほどだった。勝ち負けはもはやどうでも良いのだが、決着を付ける名目でも何でも良いので、第2回の開催をきっとここにいた誰もが待ち望んでいるだろう。
【取材=榑林史章】
セットリストBLUE ENCOUNT 01. MEMENTO SPYAIR 01. OVERLOAD |