赤い公園、4人体制で駆け抜けた7年間 27曲をライブで完全熱唱
『熱唱祭り』
(撮影=MAETTICO 福本和洋)
4人組ガールズロックバンドの赤い公園が27日に、ワンマンライブ『熱唱祭り』をZepp DiverCity TOKYOで開催した。同公演は、佐藤千明(Vo)が8月いっぱいをもってバンドを脱退することになり、4人体制でラストとなるステージ。全27曲を披露し、全力で「赤い公園」をやり切る姿を見せ付けた最後のライブとなった。
佐藤(Vo)が8月いっぱいをもってバンドを脱退することを発表した赤い公園。ファンに衝撃と動揺が走るなか、23日にリリースされた4人体制でラストとなる渾身のニューアルバム『熱唱サマー』を引っさげて開催されるワンマンライブ。これが佐藤が歌う最後の赤い公園だ。しかし、というよりもだからこそ、彼女たちがZepp DiverCity Tokyoで見せたのは、全力で「赤い公園」をやり切る姿、「赤い公園」であることをまっとうする姿だった。
佐藤による開演前の場内アナウンスでひとしきり場を暖めたあと、ライブは『熱唱サマー』のオープニングを飾る「カメレオン」からスタート。スタンドマイクの前に仁王立ちで歌う佐藤。楽曲をドライブさせるのはゲストミュージシャンのホーン隊だ。歌い終えた佐藤の「日本一熱い祭りへようこそ!」の一言から続けて「AUN」へ。ポップで伸びやかなメロディとまさに阿吽の呼吸でできあがっているアンサンブル。『熱唱サマー』からの挨拶代わりの2曲で、すでにフロアは熱狂状態だ。
ここから18曲目まではほぼノンストップ。「急げ」や「塊」のような懐かしい曲もあり、「西東京」や「絶対的な関係」のようなオルタナ魂爆発のアンサンブルもあり、「journey」のイントロでは佐藤が<間違いだらけの答えになれ>という力強いメッセージをアカペラで届け、「勇敢なこども」ではメンバー4人全員で歌声を重ねてみせる。
目まぐるしく展開する楽曲、そのすべてが赤い公園だ。ゲストミュージシャンによるピアノに合わせて佐藤が歌う「BEAR」では津野・藤本・歌川の3人はマラカスやトライアングル、タンバリンなどの楽器を担当。傍目には遊んでいるだけのように見えながら、最後は歌川のピアニカと津野のピアノで4人だけの音に着地させてしまうのがこのバンドらしい。
18曲をほぼノンストップで走りきり、ゆるゆるとしたMCでフロアを和ませたあと、ライブはいよいよラストスパート。「闇夜に提灯」では佐藤が拳を突き上げフロアを煽り、「黄色い花」ではフロア中の手拍子を呼び起こす。本編ラストは「ほら」。まるで過去から未来への手紙のような<大人になった僕らは何をしているのかなそんなことなんてわからないから今を大切にしたい>という言葉が伸びやかに響く。
アンコールも4曲の大盤振る舞い。「スーパーハッピーソング」や「楽しい」でさらに気分を盛り上げ、最後は「NOW ON AIR」。佐藤はフロアに飛び込み、<今夜も東京のど真ん中ZeppでNOW ON AIR>と絶叫した。
4人体制ラストのライブ。しかしそれについて4人は一言も触れなかったし、演奏にセンチメンタルな感情が挟まれることもなかった。彼女たちが見せたのは、これまで赤い公園がやってきたのと同じように、ちょっとひねくれたポップソングを機関銃のように撃ち放つこと、それだけだった。それは赤い公園がこれからも赤い公園であるという「宣言」でもあったし、今日をもってステージを下りる佐藤へのメンバーからの餞でもあったのだと思う。
セットリスト2017.08.27「熱唱祭り」 1カメレオン アンコール |