ASH DA HERO、新譜記念ライブで魅せる 熱きロックな生きざま
『ASH DA HERO ONE MAN SHOW 2017 「BRAND NEW WORLD」』のもよう(撮影=緒車寿一)
ASH DA HEROが7月28日、東京渋谷のTSUTAYA O-EASTで、最新アルバム『A』の発売を記念したライブ『ASH DA HERO ONE MAN SHOW 2017 「BRAND NEW WORLD」』をおこなった。その日の模様を以下にレポートする。
今夜は最高の夜を作っていきます
2nd FULL ALBUM『A』の発売から2カ月強、ASH DA HEROは、この日のライブへすべての想いを注ぎ込んでいた。身体がウズウズしているだけではない、魂を込めて作った作品を生で届けない限りは、その曲たちが彼の手元から解き放たれたとは言い難い。いや、ファンたちと共有してこそ楽曲たちが“あるべきもう一つの姿”になれることを身を持って経験し続けてきた彼だからこそ、この日を心待ちにしていただろう。
『BRAND NEW WORLD』と題したこの日のライブで彼は、アンコールを含め全部で22曲を披露。『A』に収録した楽曲すべてを詰め込んだ。
彼は、そうしたかったに違いない。それは、そうしないことには、彼自身の未来へ押し進められず、もどかしさの中でモヤモヤを重ねていくしかないことを感じていたからだろう。
この日のライブに触れた人たちも、改めて『A』の曲たちを耳や肌でダイレクトに感じることで、ASH DA HERO自身が表現したい音楽の窓をいろんな角度から開いていたことや、様々な想いや楽しみ方をこのアルバムへ濃縮していたことを実感していたはずだ。
ひと口にロックと言っても、そこには様々なスタイルもあれば、いろんな生きざまも描き出されていく。この日のライブは、彼の掲げたロックな生きざまや有り方を、いろんな角度から示していた。
『A』と同じように、「A New Journey」のSEに乗せてメンバーが。真っ赤なフラッグをはためかせ、ASH DA HEROが舞台へ姿を現した。
冒頭を飾った「WE'RE GONNA MAKE IT」「ANSWER」「BRAND NEW WORLD」の流れは、アルバムをなぞる形で組まれたもの。ASH DA HEROも、ファンたちも熱狂を求めたくて、この会場へ足を運んでいた。その気持ちを瞬時に熱く掻き立てるうえでも、この3曲はベストな流れ。
彼は「WE'RE GONNA MAKE IT」を挑みかかる勢いで熱唱。楽曲自体もスリリングでドラマチックだからこそ、彼の歌声と演奏に触れ、気持ちが沸き立たずにいれなかった。
激しく攻める「ANSWER」へ想いを返すよう叫びを上げずに、ラウドでデジロックな「BRAND NEW WORLD」へ共に未来の輝きをつかむ気持ちを分かち合わずにはいれなかった。
「やっとこの日が訪れました。今夜は最高の夜を作っていきます」の言葉に続いて飛び出した「Rolling Stone」で、ASH DA HEROはヘビー&ストームな演奏を通して熱狂させた。
熱気を彼は、最高のロックチューン「JAPANESE ROCK STAR」を介し、華やかな宴の場に様変えていった。ノリノリな表情のもと、セクシーに踊りながら歌う。
続く「Layla」でも大人の色気を振りまきながらセクシーに、場内にいる女性たちを口説くように歌いかけた。フロアー中の女性たちも、彼の仕種一つ一つに悩殺されていた…と想像してしまう。
中盤には、アコギを用いたメロウな表情をみせる。バラードなハードロックナンバーと言うべき全編英詞による「Waiting For」で会場中の人たちのハートをガッとつかみ、続く「ラブソング」では、ハートフルな歌と演奏を通し、触れた人たちの心を優しく抱きしめていった。
さらに「Somebody To Love」では軽快なラガビートに乗せ、この時期に相応しい爽やかな夏気分も感じさせていた。その心地好い風を、彼は身体をシェイクさせる「W.Y.W.G (Wherever You Will Go)」を用いてふたたび熱気に変えていった。いつしか気持ちがウキウキと弾みだし、彼が作り上げたサマーパーティーへ誰もが無邪気に酔いしれていた。
一つひとつのブロックごとに彼は、短い物語を作り上げてゆく。そのドラマは、一つの大きなライブという音楽映画の中に描き出した起承転結を持ったいろんな場面のようでもあった。
無条件でブチ上がれる新曲を
ここまで最新アルバム『A』を軸に展開してきた物語が、次のブロックで新たな展開を持った表情を描き出した。白いスポットライトの光とキーボードの音色を背に歌いだしたのが、「反抗声明」。楽曲が一気に走り出すと同時に、観客たちの熱狂を求めるアクセルも一気にベタ踏み状態。沸き上がる熱情を掲げた拳に注ぎ込んでいた。互いに熱を求めるどころじゃない、共に暴走した想いをぶつけあう様は、まるで闘いを交わす姿にも見えていた。
「全力でかかってこい!!」の声を合図に、「HERO IS BACK 2」を通しワイルド&タフな姿で激しく攻めれば、「WAKE UP ROCK AND ROLL BAND」では、観客たちをしゃがませ、「3、2、1」の合図で一斉にジャンプ。サビ歌では、会場中の人たちを巻き込み<WAKE UP ROCK AND ROLL BAND>と共に叫び続けていた。ロックンロールが生み出す熱の中、嬉しく一緒に溺れていたい。この空間でまみれあうことは、何にも変えがたい極上な贅沢だ。
「この日のために無条件でブチ上がれる新曲を持ってきました。一緒に騒いでくれますか」。その言葉に続き届けたのが、身体も気持ちも熱狂のダンス空間にグイグイ引っ張ってゆく、攻め攻めなダンスロックチューンの「YELLOW FEVER DANCE」。この歌は、触れた人たちを瞬時にディスコ空間へ連れ出してゆく。誰もが初めて触れるにも関わらず、最初から激しいディスコロックに身を任せ楽しく踊っていた。またもASH DA HEROのライブの中へ、熱狂を描くに欠かせないパーティロックチューンが加わった。
<WA!!>の掛け合いも飛び交った「WA!!」を通し、ふたたび心地好い宴の空気を導き出しながら終盤へ向けたブロックがスタート。
一転、キーボードの音色に乗せたASH DA HEROのしっとりとした歌声を魅力に、「Rain」では胸にジンと染み入るバラートを歌い、その歌に触れた人たちの心へも涙の雨を降らせていった。そんな雨上がりの世界へ光を集めるように、キラキラと輝く想いをASH DA HEROは「いつか世界が僕を忘れても」に乗せて届けていた。
温かくも光の反射した想いに触れているだけで、みずからも心へ輝きをまぶせる気持ちになれる。その光を一気に眩しく熱を持ったパワーへ昇華してゆけとばかりに、ASH DA HEROは「Never ending dream」を歌いだした。沸き立つ感情のままに熱した想いと歌声をぶつける音楽へ触発され、みずからの身体中にエナジーが駆け巡ってゆく感覚を感じずにいれなかった。
「このまま最後まで弾けていこう!!」と煽ったように、終盤は共にタオルを振りまわし大はしゃぎする爆裂パーティーヘロックナンバーを立て続けに披露。会場中にくるくるまわるタオルの光景が広がった「WANT YOU BAD」。最後を飾ったフィーバーチューン「HELLO NO FUTURE」と熱狂の風を巻き起こし、この興奮をしっかり観客たちの身体と心へ刻みつけていった。
アンコールは、素敵な先輩から「ライブでは絶対に歌ったほうがいい」と言われた楽曲という話も振りつつ「Everything」を披露。この楽曲も、最後の最後に歌った「Prologue」も、そう。それぞれの楽曲が映画のクライマックスシーンなど、映画の中の重要な一場面を切り取ったようなドラマを歌の中に描いてゆく。ASH DA HEROが語り部となって歌う物語に触れている間、身体は揺れながらも、想いはいろんな風景の中へ浸っていた。とくに「Prologue」では、これからもASH DA HEROと一緒に歩み続けることで光や未来をつかんでいける気持ちになれていた。
ASH DA HEROはライブを通し、一緒に未来を描き続けようと呼びかけてきた。彼の歌を道標に共に歩むことで、何かしら未来が明るく開けてゆく。そんな気持ちにもなれる。
9月21日の彼の誕生日を皮切りに全国ツアーも決定したように、次はぜひ、各地のみんながASH DA HEROのライブに触れながら、明日へつかむための光を手にしてほしい。その会場へ足を運ぶことで、その光の扉の鍵をきっと手に入れることが出来るはずだから。【取材=長澤智典】