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変化を繰り返しながら進む
――マクマホンさんの音楽には「ピアノロック」というコピーが付いていますが、新譜『ファイヤー・エスケイプ』は「ピアノロック」という枠組みには収まっていない気がしました。
サムシング・コーポレイトを始めた頃によくパンクバンドとの対バンが多かったんです。でも「俺たちはパンクバンドじゃないな」と感じていたので、「ピアノロック」として打ち出したものが今も僕について回っているのだと思います(笑)。
今音楽を作る時は、「曲にとって一番良い形で仕上げる」という事が最優先。もちろん、一番使う楽器はピアノなのですが、曲によっては必ずしもピアノが入っている必要はないですし。だから今回のアルバムはロックでもあり、ポップでもあり、インディーロックっぽくもあり…という側面があるのかなと。好きなように皆さんに聴いて欲しいです。
――時代的な流れは意識しているのでしょうか?
自分もいち音楽ファンである訳ですから、もちろんその時に流行っている音や人気のある音楽、これから来るであろう新しいアーティストまで積極的に色々聴いています。
そういった所から刺激をもらって、元々自分が培ってきた音楽的なベースにどんどん取り入れています。好きなものも作品に現れているだろうし、レコーディングしている時の会話も音に出るし、この取材をしている中の会話も新しい音楽に繋がっているのではないかなと思います。
活動する上での指針となっているひとつの考え方として、「怖いな、と思う方向へ敢えて進む」という事があります。というのも、ファンが自分の音楽を気に入っている。でも、そればかりを繰り返していたら、当然新しいファンもできないし、最初についたファンも次第に離れていくと思う。
結局、生き残っているバンドを見ると、作品毎に新しく進化している人たち。大好きなバンドには自分の想い入れのある音楽をずっとやってもらいたい、と思うのですが、でも息の長い活動をしているアーティストは進化/変化を繰り返してます。
自分自身も何か大きな変化に踏み出す時というのは凄く怖いし、不安もある。でも、最初にやっていたサムシング・コーポレイトをあえて解散させて、ジャックス・マネキンを結成して、それも成功を収める事ができた時に「変化を繰り返して、自分の可能性を広げていく事が正しい道なんだな」と確信させられました。なのでそれを今も続けているんです。
――最近はSNSなどでファンと直接やり取りもできる時代です。SNSはやっていますか?
そんなに積極的ではないですが、やっていますよ。最初のバンドの頃はそんなものもなくて、ホームページぐらいでしたが。ジャックス・マネキンを離れて今は、『アンドリュー・マクマホン・イン・ザ・ウィルダネス』(2014年から)というプロジェクト名で活動しています。まさにそれまであった自分のツイッターなどのアカウントを切って、インターネットという荒野(ウィルダネス)の中でぽつんと佇んでいる様で「ちょっと怖いな」と思いました。
ただ、インスタグラムは凄く気に入っています。僕は写真が好きなので、文字を付けてアップして、ファンと繋がるというのはやっていて楽しいです。でも自分が食べる物などを毎日、逐一載せる事はしないですが、ある程度はインスタグラムを使ってファンと交流するようにしています。
幸い、僕のファンの方は皆、親切です。でも自分の友人で同じ様な表現をしている人の中には炎上したり、酷い事を言われる人もいますね。当然、人間だから酷い事を言われたら傷つきますよね。でも、SNSをやっている以上は「そういう事もある」と分かってやっていますし、見過ぎないとか、そればかりに没頭しないという接し方も大事ですよね。良い反応があると確かに嬉しい。でもそれに酔いしれるのも不健全だと思いますので、ある程度の距離感を持ってやっている感じですね。
――最後に読者に一言お願いします。
この記事をお読みくださり、僕の音楽をお聴きくださりありがとうございます。日本でライブをするのが好きなので、また近々日本に戻ってきてライブをやりたいと思います。その時はもし良かったら見に来てください。
(取材=小池直也/撮影=大西 基)
公演情報10月17日 大阪BIGCAT 10月19日 東京・赤坂BLITZ |
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