東京国際フォーラム ホールAでワンマンライブをおこなったDEAN FUJIOKA(撮影=HIRO KIMURA)

 俳優で歌手のDEAN FUJIOKAが7月12日・13日に、東京国際フォーラム ホールAでワンマンライブ『DEAN FUJIOKA Live 2017 “History In The Making”』をおこなった。今月5日にリリースされた初の全国流通盤1st. EP「Permanent Vacation / Unchained Melody」を引っさげ、12日の東京公演を皮切りに、生まれ故郷である福島、大阪の全3カ所6公演をおこなうというもの。この日は未発表の新曲「DoReMi」も初披露。歌以外にもエレキギターやアコギ、さらにシンセサイザーでの演奏など多彩な表現でオーディエンスを魅了した。初日公演となった12日の模様を以下にレポートする。

ツアーが始まるのが待ち遠しかった

DEAN FUJIOKA(撮影=HIRO KIMURA)

 約5,000人を収容する会場には、すでに多くのオーディエンスで埋め尽くされていた。ライブへの期待感が高まるなか、定刻を少々過ぎたところで照明がゆっくりと暗転。会場はオーディエンスの持つペンライトが輝き、そして、ステージは壮大な光とサウンドで高揚感を煽っていく。SEが鳴り終わるとエレキギターを肩にかけたDEAN FUJIOKAがステージに登場。大歓声のなか、DEANはギターでソリッドなリズムを奏で、序盤からリズミックな楽曲で盛り上げていく。

 一転してジャジーな雰囲気を持った「April Fool」ではステッキにマイクを装着し、自由にステージを動きながらのパフォーマンス。3拍子の優雅なリズムから、アップテンポなビバップスタイルに流れ込み、一筋縄ではいかない展開を見せた。

 DEANは「ツアーが始まるのが待ち遠しかった。このライブを過去最高の特別な場にできるように、皆さんと一緒に作っていけたら…」とこのライブを楽しみにしていたことを伝える。

 そして、ここでサプライズ。1st. EP未収録の新曲「DoReMi」を届けた。新曲でも一緒に歌えるようにと、DEANはシンプルな形にこだわって仕上げたと話し、ミディアムテンポなビートに、サビでリフレインする歌詞がキャッチーなサビが耳に残るナンバーで、新曲ながらも一体感を作り出していた。

 このライブで1st. EP収録の最新曲を初披露。その中の一曲である「Permanent Vacation」では、重厚なミディアムEDMサウンドをバックに、凛としたDEANの歌声が心地よいコントラストを作り、ケミストリーを産んでいった。エンディングでは、アグレッシブなバンドサウンドのなか、DEANもシンセサイザーを演奏。シンセのオシレーターノブを操り、激しいリードサウンドで混沌とした世界観を作り出していった。

 真剣な眼差しでシンセをコントロールするDEANの姿がスクリーンに映し出され、後のMCでサポートメンバーの横山裕章(Key)は、そのDEANの顔を見て「セクシーだった!」と話すほど。楽器を演奏するDEANからは、音楽を真摯に楽しんでいるのが伝わってきた瞬間だった。

 それとは対照的な楽曲である「Unchained Melody」では、ハンドマイクで感情を歌に注ぎ込んでいくDEAN。ステージ後方には星の瞬くような照明によって幻想的な空間を作り出す。中盤ではラップでメッセージを乗せたりと、多彩な表現方法で、聴くものを扇情させていった。

耳や体で響いて完成

DEAN FUJIOKA(撮影=HIRO KIMURA)

「一緒にハーモニーを作っていけたら…」と投げかけ、 「History Maker」を披露した。印象的なコーラスパートを訪れた5000人とともにシンガロング。その美しい歌声にDEANも満面の笑みを浮かべた。

 また、MCではバンドメンバーを紹介。ひとり一人にインタビューするかのように紹介。流暢な英語でマーリン(Ba)と会話するDEAN。自身の話では、母親がピアノの先生だったこともあり、音楽に囲まれて育ったというルーツの話題などで盛り上がり、DEANの音楽への思いが強く感じ取れる瞬間を垣間見た。

 台湾在中時に制作された中国語歌詞による「午夜天使的翅膀(Midnight Messenger Mandarin ver.)」。日本語、英語、中国語とマルチリンガルのDEANならではの楽曲で、新鮮な響きで楽曲を彩る。「ライブが出来るのも、皆さんの応援のおかげで成り立っています。曲を作るだけではライブは出来ない。僕らが音を出して、皆さんの耳や体で響いて完成です」と想いを述べた。

 そして、日本でミュージシャン活動を始めるきっかけとなった楽曲だという「My Dimension」では、DEANによる力強いアコースティックギターのストロークと、密度の濃いエネルギッシュな歌声がオーディエンスの心を捉えていた。ライブの終わりを惜しむように大歓声が響き渡るなか、初日公演の幕は閉じた。

(取材=村上順一)

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