一躍、時の人となったNMB48の須藤凜々花(20)。現役アイドルによる結婚宣言でその界隈を賑わせている。恋愛禁止を謳い、総選挙で一票を求める。その総選挙開票イベントでの発表、ましてや恋愛を飛び越えての結婚。ファンの胸中は複雑だ。OBが苦言を呈せば、一部の芸能人が擁護する声を発するなど周囲を巻き込んでの騒動となっている。他方、これは彼女なりに考えた、度が過ぎた“ノリ”の結果ではないかという声も聞かれる。

 須藤凜々花の過去の言動をみると、それを象徴するものがある。昨年の総選挙では、公約として「マイクロビキニを着ること」を掲げた。しかし、その公約も、当初は「1位になれなかった場合」としていたが、後に「1位になったら」と“下方修正”した。ただ、このとき彼女はツイッターで「総選挙にランクインしたい!! りりぽんを脱がせて!!」と過激にアピール。その結果、44位に初めてランクインを果たした。

 そして、今回。恋愛がスクープされ、それが報じられる前にファンに伝えようとしたのであろう。“どうせ報じられるならばイベントにしよう”という彼女なりの考えや、タイミング的にもあの場しかなかったのかもしれないが、躍進を遂げる20位のスピーチでまさかの宣言を繰り広げた。彼女が思い描いた“オチ”は結果、思わぬ余波を生んでいる。

 拠点とする大阪・難波の劇場での発表ともなれば、メンバーやファンによる「なんでやねん」というツッコミが入ったかもしれないが、総選挙ともなれば、各グループ、様々なファンがいる。ましてや今回は無観客。ツッコむ者もいなければ、NMB48の支柱である山本彩もいない。昨年、平愛梨との熱愛が発覚した際に長友佑都選手が口にした「アモーレ」を使い「皆さんは私にとってアモーレです」と時事ネタを入れ込んで笑いを誘っていた山本だけに、機転を利かせてうまくまとめたのかもしれない。

 AKB48グループは地方に拠点を置くため、メンバーの出身地は違えどその地域の特性が少しは反映される。秋葉原に始まり、名古屋に博多、新潟、四国、そして大阪。須藤の出身地は東京だが、大阪という地に揉まれて笑いのセンスを磨ていたのかもしれない。そうしたノリは帰京時の沖縄・那覇空港でもみられた。報道陣の前に姿を現した須藤は、「ちくしょう!」や「しまった!」といった意味がある、「DAMN」というスラングが印字されたTシャツを着ていた。

 ところで、このTシャツは、第58回グラミー賞にて最多5部門を受賞した、米ラッパーのケンドリック・ラマーの最新アルバム『ダム』のタイトルを冠した、Tシャツとされている。もし、彼女がラマーのファンであれば、こうした“ノリ”は考えていなかったかもしれない。

 そもそも、この恋愛禁止ルール。過去にプロデューサーである秋元康氏はラジオで「恋愛禁止を言ったことがない」と発言すれば、その数日後、当時総監督だった高橋みなみが「一応掲げていたルールだったので、総監督として掲げておきます」と“訂正”。その後、高橋はあるテレビ番組で「(ルールは)当初はなかった」と説明。他のテレビ番組でも「メンバーが自主的に設けた」とする内容が流れるなど、“暗黙”のルールに近い。

 AKB48発足当時と今とでは環境が違う。劇場公演や握手会がファン個々との主なコミュニケーションの場だったが、今ではSNSが出来て、その“場”は多様化している。SNSの場合、いつでも繋がれるのだから、より親密度も増す。そうした日々の積み重ねの集大成が、ああいった総選挙でのビックイベントとなる。

 アイドルに“投資”するファン心理は「彼女あるいは彼の役に立っている」というアイディンティティという見方もある。今回彼女に投じたファンは、20位躍進を一緒に喜ぶどころか、まさかの宣言を受けた。ツッコむことを忘れるぐらいのインパクトがあり、多く投じたファンとすれば落胆の色は隠せない。だが「素直におめでとうと言いたい」という声もあるのは事実だ。しかし、それも「あの場でなければ」という但し書きが付く。

 ただ、結婚がお見合いとならば話は別だったのだろうか。お見合いにも色々と形はあるが、両者の有無を言わさぬ結婚なら“暗黙のルール”には反しない。あの場で「お見合いの結果、結婚します!」と言っていたら、それこそ「なんやんねん」とツッコミが入っていたのかもしれない。「奇策」がスベッたにしろ、「本気」であるせよ、ショックを一番受けているのはファンだ。それこそ「DAMN」、「ちくしょう!」だろう。

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