日本の頂点にある舞台
――今年は紅白に出るという具体的な目標があるそうですが、その目標はいつ頃から?
KEEN 結成当初からありました。
CLIEVY 武道館を目指すような感覚と同じです。
――何か紅白に深い思い入れが?
CLIEVY 日本の頂点にある舞台というイメージが2人共通してありました。具体的に「夢」から「目標」になったのは、今年からです。
――目標に切り替えたのは今作「Y」が完成した事が大きい?
CLIEVY はい。2016年からそれに対する施策がありました。1年間で成せる計画ではないな、という思いがありまして。
――「Y」は去年からライブで披露されていましたが、このタイミングまで温めていた?
KEEN 正にそうです。
CLIEVY 時を見ていました。「ここだったら紅白出場への可能性が一番高い」という討論会をみんなでして。
――「Y」のライブでの手応えは?
KEEN 歌っていても、“届いているという感覚”を凄く感じます。
――ある動画に「Y」が使用されていて、再生回数が上がってきているみたいですね。ご存知でしたか?
CLIEVY はい、動画見ました。映像のストーリーが良すぎて、曲が入ってこなかったですから。それに主役の子があまりに可愛くて。
――この動画のために書かれた楽曲ではないかと思うくらい、作品とリンクしていましたね。
KEEN 「Y」って凄く不思議で、他の作品に乗せてもすんなり乗ると思います。それくらい角度の多い目線で見る事ができる曲です。
今の瞬間が凄い
――友人の結婚式でこの曲のイメージが出来たと聞きました。
CLIEVY はい。幸せの決意をする場所、みんなの前で誓う場所で。でもゆくゆくは死んでしまうわけじゃないですか? その事を考えたら儚いというか、今という瞬間が凄いなと思って、そこを膨らましていきました。
――最初のデモを聴いた時、KEENさんはどう思いましたか?
KEEN 素晴らしいなと。
CLIEVY めちゃくちゃビックリしたって言っていました。
KEEN ひっくり返ったもん。本当に、歌詞のストーリーが捻って考えても、ストレートに考えても良いという曲なんです。ストレートに聴く事に罪深さを感じないというか、探らなくてもいいという事が感じられる曲なんです。
――作詞をする時は一気にできた感じですか?
CLIEVY わりと産みの苦しみはなかったです。前作「ヒカリトカゲ」に比べたら、すんなりできました。
――歌詞で<風もヒューヒューヒュー>と擬音が入っていますが、1番と2番とでは片仮名と平仮名と表記が違う意図は?
CLIEVY 1番は、幸せなので、冷やかされて言われている感じで<ヒューヒューヒュー>、2番の方は<ひゅーひゅーひゅー>と悲しい感じの風の音とともに、という事です。
――そうだったのですね。今までもこういった手法は使用していた?
CLIEVY けっこう使ってましたね。紐解かれたことはなかったですけど(笑)。
――<『「病める時も健やかなる時も」』>という表記の部分はどのような意図が?
CLIEVY 結婚式の代名詞的な所なので、こういった括弧の表記だと、まさにその瞬間という感じになるかな、というイメージです。
――<君>が<キミ>になっているのも、表現としてはまた違って感じます。
CLIEVY これも僕のイメージなのですが、「君」と表記すると「今の、その一人」という感じなんですけど、「キミ」だと「昔みていたあなたと、今のあなた」という、広いイメージがあるなと思ってカタカナにしました。
――そういった点は常に考えて作詞されているんですね。
KEEN 随所にそういった点はあるんです。
――KEENさんが作詞する時もそういった事は考えますか?
KEEN どっちかというと僕は、そういう風に隠す感じに考えるのは得意ではないです。CLIEVYが考えたそれを理解する方が面白くて。
――歌う時にこういった事は2人で分かり合っているから、そういう意識のもとで歌う?
KEEN 僕が察知する方が多いかもしれないですね。CLIEVYが意味を教えてくれた事はないです。
――そうなんですね。歌のディレクションはお互いにするのでしょうか?
KEEN お互いにディレクションします。
――今回のレコーディングはスムーズでしたか?
CLIEVY 実は最終的には録ったやつは全部やめにして、最初のデモを採用しました。
――本番ファーストテイクの更に前のものなんですね。バラードのC&Kはポップな曲調の時とは180度イメージを変えてきますよね。
KEEN いつもふざけているので、シリアスにすると逆に面白いですよね。
CLIEVY 社会の大多数の意見は、ビジュアルが大事だという事を痛感しました。僕の感性だと、どんな恰好をしても歌がカッコ良ければ目を瞑って、たとえ目を開けてビジュアルが邪魔をしても「なんであんな恰好でやっているんだろう」とむしろ感心してしまうのですけど、世の中の人はそこにはいかないんだなと思いました。目に飛び込んできたものが全てといいます…。
歌という事よりも、変な被り物をしていたら、「それが面白い」とか「変だ」とかという事になって。今回僕達はただ無地のTシャツを着ているだけなので、そっちの方が逆に変だと思うんです。
KEEN なので「面白さ」という点では、何も面白い事はやっていません。
――今回シンプルな衣装にしたのには、歌を聴く事に集中してほしいという事もある?
CLIEVY そうですね。
KEEN 余計な事を省きたいという事もありますし。だからアーティスト写真もモノクロにしたというのもあります。
CLIEVY 裸ではないけれどそれに一番近いシンプルなスタイルです。
KEEN 家のガレージで作業、くらいの感じですね(笑)。