歌は呼吸と同じ、Anly 5歳でギター ともに育った曲を1stALに
INTERVIEW

歌は呼吸と同じ、Anly 5歳でギター ともに育った曲を1stALに


記者:榑林史章

撮影:

掲載:17年04月26日

読了時間:約12分

特徴のない声が、逆にコンプレックスでした

Anly

――アルバムのタイトル『anly one』は、オンリーワンと掛けていますよね。

 はい。同時に、私の名前と1stアルバムであることが、パッと見て伝わったら良いなと思って付けました。

――Anlyさんの独自の声は、まさしくオンリーワンだと思いますが、自分の声や歌については、どんな考えですか?

 歌は、呼吸するのと同じくらい自然で大切なものです。それを実感したのは、テレビ朝日系『ミュージックステーション』に出演させていただいたときのことでした。そのときはすごく緊張して、呼吸するのもままならないくらいに苦しくなってしまって。それが、リハーサルのときは、不思議と苦しさがなくなっていたんです。でも、歌うのをやめると、また緊張が襲って苦しくなる。そのとき、歌っていれば大丈夫だと気づいて、本番直前までひたすら歌っていました。そのとき私にとって歌は、呼吸と同じなんだって。「歌は呼吸と同じ」なんて言うと、ちょっと大げさに感じるかもしれないけど、実体験が伴っているので、私は胸を張って言えます!

――声に関してはどうでしょう? 「特徴のある声が、昔はコンプレックスだった」と言う、アーティストさんも多いですけど。

 もう少しナチュラルだったら良いのにとか、小さいコンプレックスはいくつもあって。それはスキマスイッチさんから、「その声が個性でかっこいいんだよ」と言っていただいて、スッと胸のつかえが取れた部分がありました。

 子どもの頃は、基本的に歌えさえすれば良かったので、自分の声がどうとかを考えたことがなくて。高校生でシンガーソングライターを志すようになって、初めて自分の声を意識したとき、特徴のない声だって思いました。イタリア歌曲も歌えるし合唱も出来るし、普通の歌も出来るし、何にでも順応出来るのは、特徴がないからなんじゃないかって。だから、かすれた声や外国人っぽい太い声の人にすごく憧れて、特徴のないことが逆にコンプレックスでした。

 それで、わざとかすれた感じの声を出そうとしたり、いろいろやって悪あがきをした時期もありました。でも、そういう経験があったからこそ、コーラスをするときにハーフトーンで歌えるようになったのもあります。今は、聴いてくださる多くのみなさんが「良い声だね」と言ってくださるので、すごく声に自信を持って歌えています。

Anly

――特徴のないことでコンプレックスに感じていた声が、今ではAnlyさんのオンリーワンになっているわけですね。そんなAnlyさんは、小さいときはエリック・クラプトン、ZZ TOP、HEART、C.C.R、カーペンターズなど、60~70年代の音楽をたくさん聴いて育ったそうですね。

 はい。夕方になると父が縁側に出て、ギターを弾きながら歌って聴かせてくれたのが、そういう洋楽の曲でした。それで、父の歌を聴いて覚えて、私も一緒に歌ったりとかしていて。

 家にはネットの環境がなかったので、新しい音楽を検索する術がなかったので、伊江島を出てからは、YouTubeなどでいろいろな曲を聴くようになりました。EDMとかラップとかも聴くし、最近ではエド・シーランにすごく衝撃を受けました。

――ギターを弾くようになったきっかけも、お父さんですか?

 ギターは、5歳のときに買って来てくれたのが最初で、ちゃんとコードを押さえられるようになったのは、小学3年生くらいです。

 私はひとりっ子だったので、遊んでくれる兄弟もいなかったし、両親も仕事があったし。子どものころからいつも遊び相手になってくれていたのがギターだったので、私にとってギターは兄弟みたいな存在ですね。

――今使っているギターは?

 今はヤマハのギターをお借りして使っていますが、高校生のときに買ったギターは今も大切にしています。それまで使っていたギターを高校に持って行ったとき、折ってしまって(笑)。それで、北谷でおこなわれたコンテストで優勝すれば賞金が出て、それで新しいギターが買える! と思い出場したら、なんと優勝しまして。そのときの賞金で買った、コールクラークというメーカーのギターは大切にしています。ライブで使うには少し調整が必要なので、今は実家に置いてありますけど。

――6月には、沖縄を含めた全国4公演の1stツアーを開催しますが、どんなツアーにしたいですか?

 東京以外では、バンドセットでライブをやったことがないので、大阪、名古屋、沖縄で初のバンドセットをお聴かせできるのが楽しみです。一緒に盛り上がって、明日の活力にしていただけたら嬉しいです。

(取材・撮影=榑林史章)

 ◆Anly 1997年(平成9年)1月生まれ。沖縄本島から少し離れたところに位置する、人口約4,000人の伊江島に生まれ育つ。家にはネット環境もなく、ギターをおもちゃ代わりに中学まで過ごし、高校進学を機に沖縄本島に移り、那覇市内で弾き語りライブを行うようになる。高校を卒業した年の11月にドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』主題歌「太陽に笑え」でデビュー。これまでに5枚のシングルをリリースし、最新の「この闇を照らす光のむこうに」は、「Anly+スキマスイッチ=」名義で発表し、ドラマ『視覚探偵日暮旅人』エンディングテーマに起用された。

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