やり直し効かないのが人生、井上苑子 SNSで支持集める若き音楽家
INTERVIEW

やり直し効かないのが人生、井上苑子 SNSで支持集める若き音楽家


記者:榑林史章

撮影:

掲載:17年04月12日

読了時間:約10分

槇原敬之さんのCDを昔よくレンタルしていた

井上苑子「メッセージ」

――カップリングでは、槇原敬之さんの「どんなときも。」をカバー。これは、スマホ「Galaxy S7 edge」シリーズのCMで流れていて話題の曲ですね。

 すごくたくさん流れていて。家でテレビを見ていると急に流れたりするので、「え!」って驚きます(笑)。

 最近は、リリースイベントとして各地で歌わせていただくことが多いのですが、「どんなときも。」を歌うと、いろんな世代の方が足を止めてくれます。お父さん世代の方とかが後ろのほうで、「誰が歌っているんだ?」みたいな感じで見てくださっていたり、小さいお子さんがお母さんに「CMの曲だよ」って言っているのが聞こえたりして。改めてテレビの影響力はすごいなって。

 この曲は…CMのストーリーが、主人公の女の子が上京するときに想いを伝えて、写真を撮ってメッセージと共に送るみたいな感じで。この曲の歌詞が、そのストーリーとぴったりなんです。たとえば<旅立つ僕の為に>という歌詞があるんですけど、それを「旅立つ彼女のために」と置き換えることが出来たりという。私が歌うことによって、女の子が主人公の歌に出来たんじゃないかって思います。

――昔の曲だけど、色褪せてなくて。井上さんが歌うことで、今の世代のリアルな曲になっている気がしました。

 ありがとうございます。今の季節というのにもぴったりだし。私の周りでも、地元を離れたり、何かから卒業する子がいて。世の中的には、新しいことを始めるという方もいるでしょうし。そういう人たちにとって、心に刺さる曲に出来たんじゃないかって思います。

――ピアノと歌だけというアレンジも新鮮で胸に響きました。

 はい。実は今、ピアノの練習中です。まだまったく弾けませんけど、いつかはライブで、ピアノの弾き語りも良いかなって思っています。ただ、このペースだと10年後くらいになりそうです(笑)。

――原曲とは違う魅力という部分では、どんな風に感情を乗せましたか?

 歌って、ちょっとした感情の動きで、まったく変わってしまうものなんですね。だから、曲を通してどういう感情で歌っているのか、じっくり聴いてほしいです。

 私の場合は、いろんな気持ちをストックしておいて、そこからいくつもアプローチして試していって、最後に全部聴いていちばん良かったものを選んで行くというやり方です。CMの主人公の気持ちを想像したり、ちょっと心の強さを持った人の気持ちになってみたり。

 かと思えば、子どもっぽいと言うか幼い設定にして、そういう人もきっといると思って、想像して歌ってみたり。結果、これは井上苑子らしさみたいなところなんですけど、かわいらしくフワッとしたところを残しつつ、でもどこかで強い何か意志の感じられるような歌になったと思います。

――井上さんが生まれる前(1991年)の曲ですけど、知っていましたか?

 何で知っているのか分からないんですけど、知っていましたね。それに槇原さんの曲は、昔からよくCDをレンタルして聴いていたんです。

――槇原さんの曲は、どういうところが好きですか?

 いちばんは、歌詞です。特に「遠く」の歌詞が好きで。故郷を離れて上京した人の気持ちを歌っているのですが、本当にストレートな歌詞で。きっと槇原さんご自身の体験なのかな?って思うんですけど、誰もが共感出来る部分がたくさん詰め込まれていると思います。

 でも「外苑の桜は咲き乱れ」という、すごくピンポイントのフレーズもあって。外苑に行ったことがない人でも、絵を想像することが出来る。そういう力が、ある曲だと思います。それは、槇原さんにしか表現出来ないものだなと思います。

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