Base Ball Bear、変化への一歩 新たなグルーヴが渦巻いたツアー

4カ月続いたツアーを締めくくるBase Ball Bear
ロックバンドのBase Ball Bearが3月29日に、東京・Zepp Tokyoでツアー『バンドBのすべて 2016-2017』のファイナル公演をおこなった。昨年9月にリリースしたリニューアル版ベストアルバム『増補改訂完全版「バンドBのベスト」』を引っさげて、昨年11月11日の下北沢 GARAGEを皮切りに全国36公演をおこなうというもの。セットリストはファンからの投票をもとに組まれ、この日はアンコール含め全17曲を披露した。4月12日にリリースのニューアルバム『光源』からの「SHINE」も披露し、4カ月続いたツアーの幕を閉じた。また、6月11日から全国ツアー『Base Ball Bear Tour「光源」』をおこなうともに、9月30日に日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ『日比谷ノンフィクションVI~光源~』を開催することをそれぞれ発表した。
今日はモテモテの曲しかやらないです
開演を待つ会場のフロアは隙間もないほどのオーディエンスで満ちていた。定刻を少々過ぎたところで会場の明かりが落とされ、SEが流れるなか、ステージに登場したメンバー。サウンドチェックをし、堀之内大介(Dr.Cho)のカウントから爽やかな「BREEEEZE GIRL」で、ツアーファイナルの幕を明けると、続けざまに「senkou_hanabi」を披露、オープニングからグルーヴィーな4つ打ちナンバーで会場を一つにしていく。
MCでは「意外と東京のライブは久々なんじゃないですか。ワンマンは去年の日比谷以来!?」と小出祐介(Vo.Gt)が話すと、オーディエンスからの指摘で、ツアー初日の下北沢を忘れていたことに気づく。関根史織(Ba.Cho)は「言おう言おうと思っていたけど、タイミングを逃しちゃって(笑)」と下北公演が抜け落ちていたことに気づいていたものの、言えなかったと濁した。
そして、今回のコンセプトである投票企画について小出は、「今日は皆さんが決めてくれたモテモテの曲しかやらないです。モテ度ナンバー2の曲です」と投票で2位にランクインした「彼氏彼女の関係」を披露。サポートメンバーの弓木英梨乃(Gt)によるワウペダルを使用したファンキーなナンバーにフロアはノリノリに。「ストレンジダンサー」では小出と弓木によるツインリードを披露。向かい合い接近していくパフォーマンスに、フロアから歓声が上がる。
小出のショートディレイが効いたギターカッティングが印象的な「BOYS MAY CRY」、続いて、関根の歌声と弓木のE-BOW(注釈=音を持続させる機器)がスパイスとなった「SCHOOL GIRL FANTASY」と、程よいBPMのナンバーがオーディエンスの体を心地良く揺らす。
ここで再びMCを挟む。ツアーファイナルということで、ツアーの思い出を話すメンバー達。大阪公演では衣装が縮んでしまった話や、高知と熊本で4人で部屋飲みをした“オフショット”とも言える話題でオーディエンスを楽しませた。和やかなMCに続いて披露したのは「Transfer Girl」。スペーシーなサウンドスケープ、切ない歌詞の楽曲に心を揺さぶられる。続いて、タイトなアッパービートが体に浸透してくる「short hair」、そして、ここまでの楽曲とは一味違った「初恋」と続く。オーディエンスを沸かせた。
そこに蓋をしてしまうのは違うなと思った
ここで小出は以下の通りに、昨年の活動について語った。
「ツアーをやりながらアルバムの制作をやっていて、それがツアー中に完成しまして、現場に出ながら作れたのが本当に良かった。1年前にお休みしてしっかり準備をして、アルバムで復帰というチョイスもあったと思う。でもそれは自分達っぽくないなと思った」
「昨年は春に3本のライブもやったし、野音もやらせていただいて、もしかしたら観てくださったお客さん達にとっては、妙なバンド形態すぎて歪(いびつ)なライブかもしれなかったけど、僕らもそれをわかっていながらも、ここからどうするのかというのを、ちゃんと観てもらいたかった。ライブの中でどうやって生きざまを見せるかというのを、今まですごく考えてきたバンドで、そこに蓋をしてしまうのは違うなと思った」
さらにこう続けた。
「それを直視してくれた人がたくさんいてくれて、今回の秋冬ツアーで今、僕達の思っていることとか、今の演奏を見てもらえました。『光源』は今、持てるエネルギーや今後の可能性も全部詰め込んだアルバムになっています。バンドが3人になって、当時予定していたものとは違うゴールに向かっているけど、この先にも良いゴールがあると思って積み上げていきたいと思っています」
未来への意気込みを述べたあとで、「初心を忘れずにやっていきますという曲です」と語り、「17才」を届けた。そして、間髪入れずに「曖してる」に突入。大歓声のなか、小出のソリッドでブラックなグルーヴのカッティング、弓木のモジュレーションの効いたギターサウンドが絶妙に絡み合う。間奏での関根のスラップベースソロもアクセントとなって、テンションはマックスに。
その勢いのまま「Tabibito In The Dark」へ。<踊れ 踊れ 何もかも忘れて 踊れ 音の中で♪>という歌詞に煽られるように、体を弾ませ手を掲げて盛り上がり、グルーヴというギアを上げていく。そして、「yoakemae」、「海になりたい part.2」と、オーディエンスの振り上げる腕も、ボルテージもリミットを超える盛り上がり。アウトロでの弓木のギターソロも、タガが外れたかのような爆発力の高いアバンギャルドなフレーズで魅せる。堀之内のパワフルなドラムが高揚感を煽り、高まっていくエネルギーが、会場全体で渦巻いていくのがわかるほどの音の嵐。本編ラストは「PERFECT BLUE」。関根と弓木が向かい合って楽器を弾く姿も印象的だった。開放感あふれるナンバーで本編を終了した。
アンコールに応え再びステージにメンバーが登場。6月11日に始まるアルバム『光源』を引っさげたツアーや、9月30日に日比谷野外大音楽堂で『日比谷ノンフィクションⅥ~光源~』を開催を発表。今後のスケジュールで会場が盛り上がるなか、ニューアルバムから「SHINE」を披露した。走り出したくなるようなメロディ、これからの季節にぴったりの疾走感あるナンバー。オーディエンスもこの新曲を真剣な眼差しで見つめながらも、ビートに身を委ねていた。
ラストにもう一曲「The Cut」を届けた。小出のラップが堪能できた異色ロックナンバー。ハンドマイクで歌い上げ、言葉に賭ける小出の熱量が表れたナンバーに、また違ったベクトルの盛り上がりを見せ、大盛況のなか、ツアーファイナルの幕は閉じた。
- ライブのもよう
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(取材=村上順一)
セットリスト
『バンドBのすべて 2016-2017』 3月29日 東京・Zepp Tokyo 01.BREEEEZE GIRL |