meg、JazzとPopsの融合 ファンキーでクールに彩った銀座の夜
ジャズシンガーのmeg
ジャズシンガーのmegが先月20日に、東京・銀座No Birdで、月例ライブ『Jazz’n Funk 』をおこなった。ジャズとポップスの融合をテーマに、オリジナル曲やジャズスタンダード「Take Five」、オリジナル・ラブの「接吻 Kiss」など、1stセット、2ndセット、アンコール合わせ全17曲を披露した。原曲とはガラッと趣を変え、それぞれの新しい一面をファンキーでクールな演奏と、megのセクシーな歌声で届けた。
素敵なメンバーと演れて頑張ってきて本当に良かった
午後7時過ぎ、銀座No Birdにはこの日のステージを楽しみに待つ観客で溢れていた。賑やかな雰囲気のもと、食事とお酒を嗜みながら各々の時間を過ごしていた。7時をまわったところで、今回のバックバンドのメンバーがステージに。SaxにAndy Wulf、ピアノに丈青、ベースに日野“JINO”賢二、ドラムに福森康の4人編成で、Andyのカウントから、流れるように1stセットの演奏がスタートした。
Andyによる前口上からのコールで、その言葉に導かれるようにmegがステージに登場した。ゴールドのゴージャスな衣装と、アップにまとめたヘアースタイルがインパクトを与えていた。オープニングナンバーはマドンナの「Material Girl」。まずはポップスの名曲をバンドのグルーヴとmegのジャズ仕込みの歌唱力で極上の空間へと作り上げていく。
続いては、コールポーターの「Night and Day」、5拍子の名曲「Take Five」とジャズスタンダードナンバーを披露。megの真骨頂とも言えるスタイルを存分に魅せつけ、さらにバンドの趣溢れる演奏は日本にいることを忘れさせてくれるようだ。MCでは「このメンバーと演奏する時はクールでおしゃれな音楽をやらせていただいています。5年前ぐらいに演奏してもらったことがきっかけ。今回は3回目の共演なんです」と、今回のバンドメンバーとの馴れ初めを語った。
MCに続き、エリック・クラプトンの「Change the World」を届けた。Andyはサックスからフルートにチェンジ。オリジナルよりも軽快なアレンジで展開。megの歌とフルートが会話するかのように紡いでいく。間奏ではソロを回していく。Andyの心を落ち着かせてくれるフルート、丈青の流れるようなピアノフレーズ、JINOのスキャットとともに紡いだメロディアスなベースと楽器陣の演奏に酔いしれた。
続いて、米・シンガーソングライターのクリストファー・クロスの「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」へ。Andyのサックスがセクシーに響き渡る。megの透き通るような柔らかな高音がNo Birdに穏やかな風を吹かすようだ。演奏が終了し、ここで訪れたファンの誕生日をサプライズでお祝い。バンドの演奏とmegの歌声で「HAPPY BIRTHDAY」を歌い届けた。
そんなほっこりとするシーンから、megの挑戦の楽曲だという「It's All Right with Me」を披露。楽曲の途中でテンポが変化、ドラムの力強いサウンドとスリリングなアレンジが相まって、高揚感を煽っていく。穏やかなセクションとのメリハリが効いた演奏で魅せていく。
そして、秋の雨に切ない気持ちを重ねたという、megのオリジナルから「Autumnal rain」を届けた。オーガニックなリズムに、megの儚くエモーショナルな歌が情景を映し出していくようだ。「10年目、様々なことに挑戦してきて、それが糧になっている。こんな素敵なメンバーと演れて、頑張ってきて本当に良かった」と10周年を改めて思い返し、今の喜びを話した。
1stセットラストはバリー・マニロウの「Copacabana」。体を揺らす福森康のドラムワークに、JINOのファンキーなベースサウンド、そのリズム隊の上にスリリングな丈青のピアノと、セクシーなAndyのサックスという、バンドが作り出すラテングルーヴにmegの歌声が融合。心地よいサウンドで満たされるなか1stセットを終了した。
オリジナル・ラブからThe Beatlesまで多彩なカバー
2ndセットはバンドメンバーによるインストナンバーからスタート。3拍子の熱くファンキーなナンバーは、音と音が絡み合い極上のグルーヴを作り出す。熱い演奏に耳と目を奪われたところでmegが再びステージに登場。サラ・ヴォーンの「Lullaby Of Birdland」を、バンドの奏でる音の上を泳ぐかのように、優雅に歌い上げていく。続いて、邦楽からオリジナル・ラブの「接吻 Kiss」をムード満点のアレンジでmegも情感を込めながら優しく、丁寧に届けた。
ここで、ピアノの丈青とのデュオで「When You Wish Upon A Star」を披露。ピアニッシモでゆっくりとピアノの音色が響く。柔らかいタッチのピアノ演奏が曲の表情を際出たせていく。megもその儚さもある伴奏の中を歌で彩っていく。丈青のピアノソロを見守るmegの姿も印象的だった。
続いて、透き通ったAndyのフルートの音色が彩った、ヘレン・メリルの「You‘d Be So Nice To Come Home To」から、ザ・ビートルズの「Eleanor Rigby」へ。オリジナルよりもリズミックに展開。丈青の和音、福森の疾走感あふれるドラムが楽曲の雰囲気をガラリと変えた。そして、Andyのサックスも艶やかに、さらにJINOのベースソロは多彩な奏法で聴かせ、クールな「Eleanor Rigby」で会場の熱量を上げていく。本編ラストはShocking Blueの「Venus」を披露。静かに燃え上がるように歌唱するmeg。サックスと歌のユニゾンも力強く、新鮮なアレンジで「Venus」の新たな一面を見せた。
アンコールを求める手拍子に応え、ステージに戻ってきたmegとバンドメンバー。アンコールは3枚目のアルバム『LUCK & PLUCK』に収録されている「Skindo-Le-Le」を届けた。南国の情景が浮かぶラテンのグルーヴは、訪れた観客の全身を揺さぶる。躍動感あふれるエネルギッシュな演奏と歌で、心身ともに満たされていくような感覚。それは観客の表情からも垣間見えた。ジャズとポップスを高レベルで融合、それを体で感じることが出来た至福な空間となった。
(取材=村上順一)
セットリスト
『Jazz’n Funk 』 2月20日 東京・銀座No Bird 1st Set 2nd Set ENCORE |
ライブ情報
3月30日(木) 東京・銀座 No Bird 「meg standard」 出演:meg(vo) 【No Bird 】 |