ワンマン公演を成功させたWEBER

 4人組ダンスボーカルユニットのWEBERが21日、東京・台場のZepp DiverCityでワンマンライブ『WEBER First Zepp Live “Adventure”』をおこなった。激しい楽曲とダンス、優しく語りかけるようなアコースティックサウンドなど緩急をつけたパフォーマンスで観客を魅了。メジャーデビューへの確かな手ごたえを感じさせるステージとなった。

男でもカッコよさを認めざるを得ないパフォーマンス

 WEBERはリーダーのJ、little Skeetという二人のダンサーに、ボーカリストのTaka.、Hayatoというメンバーからなるグループ。「WEBから広がるグループ」をコンセプトに、2013年6月に結成、抜群のルックスと確かな実力を持ったダンス、魅力的なボーカルで頭角を現し、2017年2月にはいよいよメジャーデビューを果たすことが発表されている。

 今回のワンマンライブは、その試金石ともいえる、彼らの真価が試されるステージとなった。会場には彼らの姿を見届けようと、多くのファンが詰め掛けた。

 ステージの上には、正面から見ると縦にひし形に配置された4つの踊り場が設けられ、さらに古代ローマの神殿建築で見られる様な円柱が4本、ステージ開始前の会場で厳かな雰囲気を醸し出していた。

 そして不意に会場が暗闇に包まれると同時に、ステージの背景がオーロラを描いた。同時に鳴り響いたビートとともに、トップの踊り場に4人が登場。その瞬間、会場は大きな拍手と歓声に包まれた。「BEAT the BLACK」でオープニングを飾ったこの日のステージ。やがてトップにはHayato、下にTaka.、左にJ、右にlittle Skeetというフォーメーションが組まれる。

歌い上げるHayato

 エモーショナルなメロディを交互に紡ぎだすHayatoとTaka.、そしてそのメロディに呼応するように技を繰り出していくJとlittle Skeet。激しく波打つようなサビでは、彼らの大技がいくつも飛び出し、そのたびに”ワーッ!”という歓声がフロアから上がる。「Wonderland」「Burning Glow」と、さらに上がるナンバーで会場の興奮を高めていく。

 ダンスをしながら、時に会場を煽るJとlittle Skeet、そして交互に絶妙な歌を聴かせながらも、自分が歌わない時には”3人目のダンサー”としてステージを盛り上げるHayato、Taka.。シャープながらそれぞれの個性が際立つダンススタイルは、おそらくダンスをあまり知らない人でも”カッコいい!”と思うことだろう。そしてこの日を迎えた思いを、Hayatoが「Zepp DiverCity! 元気か? でけえな! ヤッベ、テンション上がるわ!」と叫んだ。

 そしてスタートの興奮を落ち着かせるように一人ひとりが自己紹介。続いてささやくようなボーカルと軽快なパフォーマンスが魅力的な「鮮やかなReason」を披露。赤いベルベットのジャケットに黒のパンツといったスタイリッシュな彼らのダンスとサウンドで会場を盛り上げる。

 少しクールダウンした「雨上がりのキミとボク」の後は、再びリズミカルなビートとともに、Hayatoが「皆さん、タオルを持ってきていますか?」と呼びかけ、フロアの観衆すべてを巻き込み、タオル回しでフロアに吹雪を演出するような「スノキラ☆」へ突入。ファンを一時もじっとさせない、そんな思い溢れるようなステージングが観衆の気持ちをがっちりと掴んだ。

個性が光るパフォーマンス

ダンスを披露するJ

 嵐のように過ぎていった前半に、Hayatoは思わず「本当に早いな…」とつぶやいた。それはここまでのステージにおける展開のことでもあり、かつこの日のステージ開催を、昨年7月のツアーファイナルの際に発表してからの、これまでの道のりを振り返ってのことでもある。さらにTakaはWEBERを結成して4年が過ぎたこれまでのことを振り返った。約2年前には様々な事情により、活動に際しリスタートを余儀なくされた。

 その意味でこの2年という期間は彼らにとって深い意味を持つ期間である。そして、彼らは、聴く者を励ましてくるようなナンバー「2年後の君へ」で、彼らの中にある思いを込める。

 不意にまた会場が暗くなると、会場には都会の雑踏のようなSEが流れ始める。そして再び照明が当てられたステージには、J、little Skeetの二人が、椅子を抱えて登場する。スタイリッシュに登場、そろってお立ち台でバシッと座り姿を決め、二人で手を合わせる。そしてまるで寸劇のようなおどけたパフォーマンスを間に挟みつつ、徐々に速くなっていくBGMの添付に合わせて、スピーディーで切れのいいダンスパフォーマンスを披露し始める。

 「まさしくプロの技」簡単にいってしまうとそっけないが、その意味を深く、さらに深く感じさせるような、スペシャルなダンスで観衆を圧倒、大技を繰り出すたびに拍手喝采が沸き起こった。

 一方、ボーカル組もそれぞれの個性を発揮し始めた。先陣を切ったのはHayato。一番高い踊り場から出てきた彼は、多くのダンサーとともに、グルービーな16ビートナンバーの「01」を披露。暗転したステージの中で、ダンサーたちそれぞれがハンディのスポットライトで会場を照らし、その中でピンスポットに浮き上がるHayatoの姿を一層際立たせた。それはまるで彼の個性、どんな暗闇の中でも、一筋の光となる、そんな存在感を示しているようだった。

 続いてTaka.のターンへ。気の置けない仲間と話すような雰囲気で、「自分の帰れる場所」を思って書いたという「変わらない場所」を、アコースティックギターの弾き語りで披露。おりしも彼の母親の誕生日だったこの日、自身の「変わらない場所」を守り続けてくれる最愛の母へ向けて「おめでとう」の一言を、曲の最後に付け加えた。

 さらに続けてピアノイントロのバラード「Scream」を披露。こうして聴き比べてみると、HayatoとTaka.それぞれの個性的なカラーが鮮明に映し出されているようで、非常に興味深いターンだった。

新たな道への決意を示したラスト

熱唱するTaka.

 ステージは大詰めに向かい始めた。灰色のマントを被った男たちがぞろぞろとステージを埋め始める。その中には、黒のマントを被った男が二人、何か特別な雰囲気を醸す。突然、バイオレンスなビートがけたたましく鳴り始め、「Warrior」へ。トップから灰色のジャケットにお色直しして登場したHayatoとTaka.は、インダストリアルなヘヴィサウンドの中、これまでとはまた違ったワイルドなスタイルで歌い始める。そして黒いマントの男=Jとlittle Skeetはそのエッジの効いたサウンドに反応し、鋭い動きで激しいダンスを繰り返す。その様は、大迫力のアトラクションのようであった。

 いよいよステージはクライマックスへ。シリアスで寂しげなナレーション、その最後の一節「そして僕は、いつからかオオカミになった」という言葉に続き、2月4日にリリースされるメジャーデビュー曲「オオカミの涙」を披露。さらにマーチのリズムから始まるナンバー「ホコリと太陽」、この日初めて披露された新曲「Fly Higher」と立て続けに披露。ゆったりした16ビートが、希望を感じるメロディをじっくりと観衆の胸に染み入るようだった。そして、迎えたラストに披露されたのは「First Day」。

笑顔を見せるlittle Skeet

 Taka.は「僕たちは、これまでいろんなことがあった。そのたびにこの刻から始め、今このステージに立っています。そしてまた、次のステージに向けて…」とその曲への思い入れを切々と語った。四つ打ちのバスドラの音が、彼らの前向きな気持ちを、まるで導くかのように気持ちを高めていく。「ありがとうございました!」HayatoとTaka.の切なる礼の言葉とともに、彼らはステージを降りた。

 アンコールで、再びステージに登場。Taka.は自身のソロで母へのサプライズができたことを「こんなに多くの人の前で言うことができて、感無量です」と満足の様子。4年前、数えるほどの観衆の前でデビューを果たしたことを振り返り、この日これほどまでの大勢の中でプレーすることに感激したというHayato。

 上京して初めて見たライブが、とても輝いて見えたこと、その空間をこの日、共有できたことで「ダンスをやっていてよかった」「WEBERをやっていてよかった」と思えるというlittle Skeet。そして、これまでメンバーだけでなく関係者やファンに支えられていることを改めて思いながら、4人でこの日のステージに立てたことを幸せに思うというJ。

 それぞれの思いを交錯させながら、披露されたラストのナンバーは「タカラモノ」。スケール感のあるそのサウンドは、彼らの進む新たな道を照らし、指し示しているようでもあった。再び例の言葉と、深々としたお辞儀でこの日の感謝の思いを伝えたWEBER。

 その礼を終えた後、Hayatoはしばらく呆然としていた。彼は遠目からも、目を赤くはらしているように見えた。そんな彼を優しく支えるように、little Skeetは顔を合わせ、笑顔を見せる。そしてHayatoは「今日の思い出は本当にタカラモノです。もっとたくさんの人に知ってもらえるよう、頑張ります!」最後に叫んだ。

 彼らの進む道は未知数。しかし、不屈の思いで何度も「First Day」を迎えた彼らは、たとえ何があっても絶対に大きな爪痕を残すだろう。そして何か次にまた大きなことをしでかしてくれるのではないか? そんなことを期待したくなるようなライブだった。(取材・桂伸也)

■セットリスト

『WEBER First Zepp Live “Adventure”』
2017/1/21 @Zepp DiverCity

01. BEAT the BLACK
02. Wonderland
03. Burning Glow
04. 鮮やかなReason
05. 雨上がりのキミとボク
06. スノキラ☆
07. 2年後の君へ
08. J / Little Skeet ダンスナンバー
09. 01
10. 変わらない場所(Taka. ソロ・アコースティックギター弾き語り)
11. Scream
12. Warrior 
13. SE ~ナレーション~オオカミの涙
14. ホコリと太陽
15. Fly Higher
16. First Day
encore
EN01. 異次元ライダー
EN02. Don't Be Afraid
EN03. タカラモノ

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