伝える作業もアートの一つ、Home Sessions主宰が語る日米の違い
INTERVIEW

伝える作業もアートの一つ、Home Sessions主宰が語る日米の違い


記者:木村武雄

撮影:Home Sessions主宰が語る日米の違い【2】

掲載:16年03月19日

読了時間:約14分

伝えるということはクリエイティブ

Home Sessions主宰が語る日米の違い【5】

日米の違いについて語るSAMさん

――音楽という観点で、アメリカで困ったことはありましたか。

 向こうでは困ったことはなかったですね。流行りじゃない自分たちがやりたいと思っている良い音楽作っていたんので。それを観て僕にも同じ思いが移ってきたんですよね。その会社のテーマが流行りについていくのではなくではなく新しいものを作り出すということで、社長が常に言っていたんですよね。「案件の大きい小さいは関係なく、新しいものを作り上げていこう」とインスピレーションを掛けてましたね。

――アメリカではそのような考えを持っている人は多いですか。

 多いと思いますよ。常にベストを目指していくというのが、うちの会社では特にそうだったんですよね。

――それに向けて意見のぶつかり合いも?

 かなり意見は言い合いましたよ。作品を良くしていきたいし、良いものを作りたいという最終目標は一緒だったので。でも意見のぶつかり合いはあっても、仲が悪いということはなかったですね。

――SAMさんがアメリカで携わってきたのはCMですが、これがアーティストだった場合はやり方や見方は変わってきますか。

 アーティストも同じだと思うんですよ。つまり、アーティストの作っている音楽をサポートしていくためにどうしたらいいか。それは一方的ではなくて、アーティストの表現したい音楽をどのように一般の人に売っていくかということを、考えなくてはいけないと思うんです。結局はギブアンドテイクなんですよね。売りたい側は自分たちの動機で売る、アーティストは作りたいものの動機で物を作るとコミュニケーションが合わないんですよね。「良いものを作りつつ、たくさんの人に届くものも作りたいよね」という思いで進むと、プロジェクトの進行が違うんですよね。

――なかには、ポピュラーとは一線を画した自分のやりたい音楽を貫くアーティストやクリエイターもいると思うのですが、そのような方達とも共通点を見出して進んでいけるものでしょうか。

 成功するかしないかの分岐点は、どんなに自分の作品に対してオタクであっても、どういうものが人に届くかどうか理解しなければいけないと思うんです。自分がどんなに好きでも、その好きなものをどうやって人に伝えるかというクリエイティブさがないと、どんなに良いものを作っても世には出ていかないんですよね。

――それは常に聴く人のことを考えてるということですよね。

 みんな思いを誰かに伝えたいというのがあるんですね。「自分のためだけでいいや」という人がいるのであれば、その人たちは発表の場にレコードメーカーやYouTubeを選んだりはしないと思うんです。人々にこのメッセージを伝えたいという思いがあるから、自分で言葉を作り上げて、そのメッセージをどうやって向こうにわかりやすいように伝えるかというのが、それこそが僕のアートだと思うんです。

――伝えることがクリエイティブ、アートというのは今までにない感覚です。

 例えば「最近辛いんだよ」という言葉も言い方によっては、本当に辛いかどうかわからないじゃないですか。実際に何が起きているかを見せると、見ている側も共感出来るじゃないですか。その感情を伝えることがクリエイティブだと思うんですよね。アメリカのスゴイところは、ファンとクリエイターの距離を縮めるのが上手いと思うんですよね。多くのミュージシャンがツイッターでランダムに返信したり、そうすることによって距離が縮まるんですよ。でもそういうことをやっているからといって、ただ形だけをコピーしても中身がコピー出来ていなとダメじゃないですか。アメリカは中身から「どうしてこれをやるのか」という観点から入っていくんですよ。多くの日本のアーティストも自分のツイッターやっている方達は、ファンとの繋がりの重要性をわかっているんだと思います。

――日本に戻ってこられて、日本とアメリカの違いがいくつかあると思うのですが。

 そうですね。違いすぎてリストアップ出来ないんですけど、違いがあるからこそ日本でしか出来ないことがあると思うんです。逆にその違いがスゴイ好きで、それに合わせていくのも一つのアートだと思うんですよね。そこに上手く合わせた人が本当にスゴイ人だと思います。

Home Sessionsのゴールはアーティストを助けたい

――そのようななかでHome Sessionsの役割は?

 新しいものを生み出すというよりも人間の感情に訴えるもの、音楽を使って人々の人生に影響を与えたいと思っています。「自分一人で頑張る必要はないよ。サポートしてくれる人がいるんだよ」ということ音楽を通して伝えるというのがHome Sessionsの役割だと思っています。それが人が変われるきっかけじゃないかもしれないですけど、変われる場所、シンガーもリスナーも音楽に影響されるチャンスを与えていきたいですね。

――アメリカではHome Sessionsのような番組はあるのでしょうか。

 全世界にかなりありますよ。日本にもいくつかあると思います。どちらが良いとかではなくて、それぞれの動機でやっていると思うんですよ。Home Sessionsのゴールはアーティストを助けたい、人々にメッセージを伝えたいという思いでやっているんです。

――今は出演者のほとんどがインディーズアーティストですが、メジャーなアーティストの出演も今後はありますか。

 僕の中では、アーティストは全て同じなんですよね。メジャーなアーティストはもう既にプラットフォームがあるので、インディーズの人たちをもっと助けたいという思いはあります。だからと言ってインディーズ、メジャーと分けたいということではなくて、同じ世界で動けるということ、登録者数とかフォロワーが何人とかではなくて、単純に音楽という共通点だということを伝えたいです。

――本当に良い音楽であれば関係ないということですね。

 そうです。登録者数や再生回数というのはお金を払えば増やせるじゃないですか。実際にそういう人たちもいるんですよ。ただ、どんなにお金かけても買えないのが音楽の力なんです。

――判断基準も難しいと思うのですが、基準はSAMさんが?

 僕の個人的な基準ではなくて、音楽に対して真剣な人たちを出していきたいです。YouTubeで自分のチャンネルを持っていることなど小さな条件はあるんですけど、基本的には音楽に対する愛を持っている人たち、そして、参加してはダメとは言いませんが、参加するタイミングはあると思うんですよ。例えば、「チャンネルを作りました」となって、一番最初の動画がHome Sessionsとコラボするものだと、見ている人たちは毎回それを期待してしまうと思うんですよ。それは良くないと思うので、彼らも自分たちのファンベースを作った上でHome Sessionsに参加した方が、効果があるんじゃないかなと思います。そのような条件はあるんですけど、条件を満たしていなくても、どうしたら良いのかを話し合っていきましょうということもしてるんですよね。

――参加するタイミングというのは良い言葉ですね。そのまま断るのではなくて、いずれ参加できる可能性があるということですよね。

 イエスかノーとハッキリ言いたくはないんですよね。その場で聴いたらダメかなと思う時もあると思うんですけど、だからと言って僕だけで判断するよりも、彼らにチャンスを与えたいんですよね。「本当に情熱があるなら、自分でもかなり成長できるし、こうやったらもっと伸びるかも知れないよ」とアドバイスやサポートをしていきたいです。

――プラットフォームを運営していく上で大事なのは、どれだけの人に観てもらえるかということだと思うのですが、どうでしょうか。

 僕自身では、そこはまだコントロール出来ないんじゃないですかね。僕の責任は良いものを作っていくということですね。良いものを作っていけば、そのうち絶対に広がっていくと思うんですよね。そのために色んな人がサポートしてくれたり、現在の流行りやどういったものみんなは聴きたいのかなど、リサーチしています。良い作品を作った結果が数字なんですよ。僕の成功というのは、何年後に何百万人の登録者がいるということではなくて、僕が最初に描いていた、助けたい、人々に影響を与えたいというビジョンがぶれなければ、それが成功だと思うんですよね。

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