「Canvas」のサウンド

赤い公園

赤い公園

 赤い公園のサウンドキャラクターといえば「前衛的フリーダムでポップな女子達」という何とも掴みどころが無く、とてもソソるもの。今回の新曲「Canvas」のサウンドは、今まで以上に「ポップさ」が前面に出ている仕上がりとなっている。しかし、その味わいは一言で「美味しい」という単純な感想では終わらせてくれない。「女性的な深み」、「言葉や対話では表現し難い感情」を、あらゆるサウンドアプローチでダイナミックに出力するという彼女らの面が、今作ではよりいっそう飛躍して表現されている。

 セクション毎に表情を変えるビート・アプローチ、グイグイくるベースラインは、不安定で根源的な衝動を表し、季節を表すような鍵盤プレイは楽曲の心情を彩り、生々しいトーンでアンサンブルの中核を支えるギタープレイと、「淡い気持ち」を慈しむようなボーカルは、一瞬一瞬で激しく変化する感情を表現している。これまでの赤い公園の作品の中でも今作は、ポップでありながらも詩的で洗練されたサウンドアプローチの赤い公園を楽しむ事が出来るだろう。

 「オルタナティブで、どこか突き放したような独自的サウンドの世界観」というよりも、「淡く叙情的でどこまでも感じる事の出来る、感情のレンジの広い作品」。今作は、一つの路線に決して留まらない「赤い公園」らしいリリースではないだろうか。

春から全国“マンマンツアー”も

 赤い公園の今後の活動は、4月から6月にかけて自身最大規模となる16公演が実施される全国ツアー『赤い公園マンマンツアー2016』(ワンマンツアー)を開催することが決定するなど、精力的な活動を見せている。(文・平吉賢治)

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