アットホームなMCコーナー

 MCでは、Twitterで集めた質問に答えるという恒例の質問コーナーに。「ブスにも希望はありますか?」という質問にyasuは「可愛くなろうという気持ちが大事。私ブスだからとか言ってるのが一番嫌いなんですよ。カッコよくなりたいから、僕らビジュアル系をやってるんですよ。遠くからみたらわからないと思うけど、近くで見たら巻き髪のオッさんだからね」と自虐ネタも。ギターのYUKIも「すっぴんだったらステージ上がれない」と語るとギターのHIROが「すっぴんで上がったら(自分だと)気づかれない」と終始笑いの絶えないコーナーで盛り上がった。メンバーがすごく近くに感じる瞬間で、このアットホームな空間もABCの魅力のひとつだと感じた。

 MCに続いて「君がいない、あの日から…」を披露。ステージを覆うほどのスモーク。まるで雲の上で演奏しているかのような幻想的な世界が広がる。そして、アルバム「Lーエルー」の中で最もポップな「7 colors」を披露。そのタイトル通り七色の照明に照らし出されたカラフルなステージはまさに「7 colors」。オーディエンスもリズムに合わせ手拍子で盛り上がった。楽曲によって唄い方や声色を変えていくyasu。ヘビーチューンからバラードまでyasuの唄声もまさに「7 colors」と言っても大袈裟ではないだろう。

 聴かせる楽曲のセクションを終え、始まったのは、ABCのキラーチューンである「ピストル」。ここからラストまで畳み掛けるようにABCの真骨頂であるハードなセクションに突入。エッジの効いたギターリフと重戦車のようなリズム隊が作り出すサウンドに、yasuのハイトーンボ'イスが乗り、武道館のボルテージを高めていった。オーディエンスもヘッドバンギングで応戦。1万人のヘッドバンキングは圧巻でメンバーとオーディエンスでエネルギーのキャッチボールをしているかのような熱い瞬間だった。

炎が上がった「cord name【JUSTICE】」

炎が上がった「cord name【JUSTICE】」

 「もっともっと声出していくぞ!!」と「cord name【JUSTICE】」を披露。ステージから炎が上がり武道館が赤く染まった。楽曲のアクセントに合わせ激しく燃え上がる炎。上がりきったかと思った観客のボルテージはまだまだ落ち着く気配はない。終盤にきてもキレのある動きと迫力のある唄声でオーディエンスを魅了していくyasu。演奏が乱れることのない楽器隊。その鬼気迫るサウンドに、気を抜くと観ているこっちが押しつぶされそうな空間となっていた。そして、最後に畳み掛けるように「エストエム」を演奏し本編を終了した。

 鳴り止まないアンコール。左右に設置されたスクリーンに眠りから覚めた少女エルの姿が映し出された。その映像に続くようにタイトル曲「Lーエルー」を披露。ミラーボールが輝き、yasuの優しい唄声が武道館に響き渡る。オーディエンスも3拍子のリズムに合わせ揺れていた。そして、アルバムでもラストを飾る楽曲「& you」を披露。ステージからカラーテープが客席に向かって発射されると大歓声が上がった。曲の途中ではyasuがYUKIにキスをする場面も。「みんなありがとう!!」と告げるとyasuとメンバー達はステージを降りた。

何かを感じることが出来たツアー

 アンコールを終えても、まだまだ鳴り止まないファン達のアンコールを求める声が続く。その声に呼び戻されるかのようにステージに戻ってきたABC。アンコールの声を聞いてyasuは「みんな、非常にいい声してるね。最終日にふさわしいアンコールだったと思います。ありがとう」と訪れたファンにお礼を告げた。

 更に続けて「この年齢になっても音楽をやれるなんて思ってなかった。自分がもっと年をとって、このツアーを思い出した時に、いろいろ感じるんじゃないかなと思った、そんなツアーでした」と、このツアーがyasuにとって重要なものになったことを語ってくれた。

 そして、「武道館気合い入れてかかってこいよ」と「少女の祈りIII」、「SPELL MAGIC」、「20+∞Century Boys」の3曲を畳み掛けるように演奏し、9カ月続いたツアーの幕を閉じた。長いお辞儀をするyasuとサポートメンバーの姿にファンも盛大な拍手と歓声を送った。

 アルバムからライブまで、綿密に制作されてきたことが十分に伝わってきたライブであった。yasu本人だけではなく、ファンにとっても忘れられないライブのひとつになったことは間違いないだろう。(取材・村上順一)

この記事の写真

記事タグ 


コメントを書く(ユーザー登録不要)