浮かぶ情景

コレサワ

コレサワ

 ひとしきり踊るような熱演を続けたコレサワ。「暑い~! ホントに暑い、暑くないですか?」そんな他愛もないことを語っていた彼女の表情は、この状態に満足そうだ。そしてまた再び、観衆との掛け合いを楽しむ。

「あたしの好きなバンドは!?」
「なぜかちっともちっとも売れない!」
「君の好きなバンドは!?」
「どれもすっごくすっごく売れてる!」

 そんな熱い言葉の掛け合いに続いて、その言葉が込められた1st EPのナンバー「君のバンド」へ。何かその2行の詞だけで、どこかにいるカップルの表情が浮かぶ。言葉を交わしたコレサワと、観衆の気持ちがつながっていく。さらに「大好きな町の歌を歌います」と紹介したナンバー「トーキョー」へ。

 ステージは後半へ。ロックバンドのステージのような、クライマックスに向けた激しい展開はここにはなかったが、観衆はますますステージのコレサワに集中し、彼女の姿に目を向け、歌に耳を傾けていた。3フィンガーのアルペジオが豊かなハーモニーを奏でる「笑えよ乙女」から、さらに彼女のさまざまな一面を披露。

 そして終盤、これまで自分を支えてくれた人々への感謝の気持ちを語るとともに「たくさんの人をつないだ、この歌を歌います」とコール。最新EPナンバー「あたしを彼女にしたいなら」で再び皆の気持ちを盛り上げた後に、前進するような抑揚感を与えてくれるラストナンバー「シュシュ」へ。全ての人へ向けた感謝の気持ちを満面の笑みで表し、コレサワはステージを降りた。

24歳の決意

コレサワ

コレサワ

 さらに鳴り響くアンコールに応じて、登場したコレサワ。改めてこの日を迎えた自身の経緯を語る。1年前に行った『コレシアター01』、そのころからこの日ステージに立った会場、元は映画館だったライブハウスである渋谷WWWのステージに憧れていたこと。そしてこの日、会場に訪れた彼女の母のこと。その母が彼女を産んだ24歳という年齢を、自分が迎えたこと。

 続けてその24歳の決意を語るように、力強いストロークでギターをかき鳴らしながら「24才」を歌う。そして「わんちゃん」でステージはいよいよ終わりを迎えた。「皆さん本当に来てくれてありがとうございました! また明日から頑張りましょう!」、彼女が観衆へのエールを送ったところで、ステージは幕引きとなった。

 この特別な日を迎えた思いを語るより、歌うこと、そして観衆と触れ合うことを心から楽しんでいた。コレサワの楽しげな表情からは、そんな様子が垣間見られた。それこそが、彼女の楽曲やステージに、夢中になる人を増殖させる要因なのかもしれない。これからどんな言葉で、人々の気持ちを惹き付けてくれるのだろうか? 興味は尽きないところだ。(取材・桂 伸也)

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