フレデリック密着取材、NHK「MUSIC JAPAN」収録現場一部始終
INTERVIEW

フレデリック密着取材、NHK「MUSIC JAPAN」収録現場一部始終


記者:木村武雄

撮影:

掲載:16年01月12日

読了時間:約13分

本番収録

カメラが3人をとらえる

カメラが3人をとらえる

 ▽20時09分 ステージ袖に移動
 先に本番を迎えたMrs. GREEN APPLEを「お疲れ様でした」と出迎え、ステージ袖に移動する。緊張をほぐすようにサポートドラムの高橋武が康司に声をかける。「今日もイケメンだね」。笑みがこぼれる康司。隆児は変わらず。ステージではBLUE ENCOUNTがパフォーマンス中だ。笑いを取りつつも聴かせるところはしっかりと聴かせる。大歓声を浴びる。それが重圧となって袖のメンバーに返ってくる。

 ▽20時15分 円陣
 いよいよ本番。3組のうちのトリ。3人とスタッフが円陣を作り、円の中央に手に重ねる。「ハッピーな唯一無二の時間を作ろう!」という康司の掛け声で、皆が静かに声を挙げる。後に康司はこう語った。「いつもライブでやっているんですよ。あの掛け声」。ルーティンは大事だ。

 ▽20時17分 本番のステージへ
 緊張感のなか、ゆっくりとした足取りでステージに向かう3人。ステージに出てスポットライトを浴びるその姿は落ち着きがあった。スタッフが先に語っていたように「水を得た魚」のようだった。健司がマイクを前に語る。「関西から来たフレデリックです!」。大歓声を浴びた。NHKホールに“フレデリズム”が起こる。

 ▽20時21分 本番終了
 駆け抜けた4分だった。フレデリックが満身創痍で歌い終えると、ユースケが叫んだ。「俺、この歌好き!」。関係者の話によると、ユースケは以前からフレデリックが気になっていたようで、「オドループ」の楽曲もダウンロードしていたという。本番を終えて袖に帰ってくる3人を握手と笑顔をもって出迎えるスタッフ。緊張が解けていく。

収録を終えた3人

健司をとらえるカメラ

健司をとらえるカメラ

 たった数分の本番を迎えるために、長い時間をかけて入念に準備を進める。実際のライブでもそれは同様だ。我々が見る表舞台はまさに花の如く、咲き誇る時間は短い。その一瞬のために時間をかけて準備を進める。収録を通じて一瞬の美しさを改めて実感した。

 3人は収録前「緊張はしていない」と答えていた。本番を終え改めて聞いてみた。健司「正直、本番前までは緊張していました。ステージに立った瞬間にその世界に入り込めて。楽しくできました」、緩んだ表情は達成感に満ちていた。終始、笑顔で臨んでいた康司の表情も印象的だった。「演奏中は意外にも冷静にフロアを見ていました。観客の楽しんでいる表情が嬉しかった」。隆児はどこにいても隆児だった。「やっぱり緊張はしなかった。楽しかった」。

 テレビの初歌唱がNHKの番組であることも、彼らにとって大きなものとなったであろう。「また1つ曲、作れそうですね」という問いに康司はこう答えた。「そうですね!大きな経験になりました」、笑顔だった。

 先日全国ツアーを終えたフレデリック。4つ目のリズムを観客に求めてスタートさせたツアーだった。健司「ツアーの先々で僕らを歓迎してくれている。すごいリズムが生まれています。今回の経験も新たなリズムに加わると思います」。経験は人を大きくする。そして、人と触れ合った分だけ視野も広がる。

 厳密に言えば、インディーズ曲「SPAM生活」から始まった、彼らのリズム“フレデリズム”は、「オドループ」、そして「オワラセナイト」「トウメイニンゲン」へと紡いでいる。そして、全国各地で触れ合ったファンによってその和が広がっている。今回の『MUSIC JAPAN』の収録でもまた新たなリズムは生まれ、あのステージから見た観客席の光景は“フレデリズム”のなかに組み込まれるであろう。

 最後に康司はこう夢を語っていた。「紅白(歌合戦)に出たいですね」。“凱旋”の頃は、“フレデリズム”はどう変化しているだろうか。“フレデリック”という名の物語は始まったばかりである。

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