THE ORAL CIGARETTES“7・14”リベンジ敢行、新たな野望も
もぎ取った敗北からのリベンジ
次の瞬間、突然赤の照明とともにサイレンの音が鳴り響いた。アナウンスが流れる。「緊急事態! ただ今より“キラーチューン祭り”を始めます!」ここまでの盛り上がりも相当なものだったが、さらなる衝撃に備えるかのように、観衆は一段と大きな歓声を上げた。そして、けたたましく打ち鳴らされるリズムより「STARGET」へ。
「Zepp、かかってこい!」山中拓也の声が、観客の異常なまでに高ぶった気持ちをさらにあおった。そこで観られた彼らの姿は、「楽しい」「気持ちいい」というレベルの姿ではない。そこには『7・14』の後半で見せた集中力と緊張感、いやそれ以上の尋常ではない気迫があふれていた。
続く「mist...」では、山中拓也が観客を試すように、後サビでブレイク。その思いに応じ、観衆は全員でこの曲のサビを合唱し、バンドへの強い思いをステージに送っていた。さらに続く「カンタンナコト」と、文字通り続いたキラーチューンの連続に、観衆は狂喜乱舞を止められないでいた。
そして4人は一時ステージをはけるとともに、アコースティックのセットが設けられた。少しリラックスした雰囲気で『7・14』の思い出を振り返りながら「机上の空論に意味を為す」「出会い街」と、さらに歌のメロディと詞をアピールする山中拓也。
キラーチューンに織り込まれた、突拍子もないギミックも彼らの持ち味の一つではあるが、それらを含め、彼らの曲の中で、山中拓也のボーカルが作り出すメロディが核をなすことで、バンドのスタイルが確立されている、そんな証しすら示しているようにも見えた。
さらにグルーブ豊かな中西雅哉のドラムソロより、いよいよステージのクライマックスへと進むべく、この日2度目の“キラーチューン祭り”開催が宣言された。「大魔王参上」、「Mr.ファントム」と、THE ORAL CIGARETTESのステージでは定番ともいえる、文字通りのキラーチューンが観客をさらに暴れさせる。
ソールドアウトしていたこの日、隅から隅まで観客がぎっしりと埋めている中で、フロアでは観衆同士によるモッシュの嵐。中にはクラウドサーフィンすら楽しんでいる者も現れるほどの暴れぶりを見せていた。
そしてその様は、この日のリベンジを高らかに宣言するかのごとくプレーされた「起死回生STORY」で最高潮に達すると、バンドと観客との絆を確かめるかのようにラストナンバー「エイミー」へ。リベンジ成功を確信したかのように晴れやかな笑顔に包まれた4人は、目的を達したその礼を告げ、第一部のステージを降りた。
ファンの後押しでさらに成長したバンド
第二部のステージへ。再び行われた“4本打ち”の御唱和では、リベンジに対して彼らが語った「これが終わらないと、2015年が終われない」という心残りをようやく振り払ったことで、ここからは「2016年最初のステージ」であることを改めて宣言した。
第二部のセットは、彼らの最新アルバム『FIXION』のナンバーで固められた。これぞまさしく彼らの2016年度スタイル。「MIRROR」や「A-E-U-I」のように観客との掛け合いが入った曲がバッチリとかみ合い、再び始まったステージの熱を、再び第一部で見られた最高潮の時間の様子に戻していた。「2016年になりました。攻めのオーラル、堪能して帰ってよ!」山中拓也がフロアに力強く語りかける。
第一部とは打って変わり、少なめのMCと、どちらかというと黙々と曲をプレーすることに徹していた4人。しかし、そこには昨年1年で得た経験による自信のようなものがみなぎっていた。それはまるでそうプレーすれば、なんの違和感もなくフロアは盛り上がる、そう確信しているようにも見えた。実際に観衆はこの期に及んでもなお「これこれ!これを待っていたんだ!」とばかりに、心からステージを楽しんでいるようにも見えた。
そこに第一部との差はほぼ見られない。まさに大きな壁を乗り越え、新たなステップを踏もうとする彼らの決意を示すようなステージだ。その決意をさらに強調するかのように、ラストは「今後、エンディングとしてプレーしていく」と誓った新曲「Everything」。そして求められたアンコールに応え、この日は最後に「LIPS」をプレー。「おまえら、本当にカッコいいぞ!」山中拓也の、観衆に対する心からの賞賛と礼で、ステージは幕を閉じた。
この日、山中拓也は語った。「正直、ここに立つのはメッチャ怖かったです。でもここに立って、あんた達と楽しいワンマンが出来た。やっぱオーラルのファンって、カッケーな(カッコいいな)と思いました!」『7・14』で起きたトラブルは、そこでライブを見ていただけの私自身にも、絶望的な予感しか見えてこなかったほどの大惨事だった。しかし、そのトラブルから、彼らがリベンジを宣言すべく後半に見せた気迫は、常軌を逸するほどのものでもあった。
そしてこの日彼らが見せたステージは、その気迫をさらに上回ったように見えた。それこそまさに驚くほどの「起死回生STORY」。THE ORAL CIGARETTESというバンドのまわりには、転んでも絶対に起こそうとするファンがいる。
それは、彼らに対して「そう思わずにはいられない」と気持ちを動かす強い魅力が、彼らの音楽や信念の中にあるからにほかならない。大きな試練を乗り越え、また一回りも成長を遂げたTHE ORAL CIGARETTES。さて、次はどうロックシーンの最前線でBKW(番狂わせ)を起こすのか。引き続き目が離せないところだ。














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