僕らの音楽は聴いて完成する フレデリックが最終章で示す本心
INTERVIEW

僕らの音楽は聴いて完成する フレデリックが最終章で示す本心


記者:木村武雄

撮影:フレデリック「トウメイニンゲン」に秘めた思い

掲載:15年11月25日

読了時間:約19分

不安要素はゼロ

レコーディングを進めていくなかで音がデモ音源よりも変わったと語る隆児

レコーディングを進めていくなかで音がデモ音源よりも変わったと語る隆児

――「オドループ」の再生回数が一気に上がって注目が高まったなかでできた新曲「オワラセナイト」をライブで初めて披露した時はドキドキ感はありましたか

健司 ライブでは不安要素はほぼゼロなんですよ。これをやる事でどう楽しませられるかという事を考えて臨むので、楽しみ方がやっていくうちにどんどん生まれていくと思うんです。ライブハウスでは否定的な意見があまり出ないという事を感じてるんです。YouTubeとかで観ても、コメントで否定的な意見が出ている人は、意外とライブを見た事が無い人が多かったりとか。映像で全てを評価される事は、それはそれでカルチャーとしてはいいなと思います。来てくれる皆がライブの空気を楽しみにしているから不安要素は全くなかったですね。

――康司さんが以前、ライブのMCで「これはお前らの曲だからな」と言っていました。ファンと一緒に“フレデリック音楽”を育てていくという意味でもある?

康司 『OTOTUNE』を作った時に凄く思ったのが、これはお客さんに聴いてもらって完成するものなんだなという事なんです。僕達だけで完成させるものじゃなくて。皆が手に取って初めて聴いた時に完成されるのがやっぱり自分達の音楽だなと思ったんです。そこから物語が始まる、みたいな。そう思うんですよね。色んな出来事の発端になるものがちゃんと出来た、誰かの活力になればいいなとも思いました。

隆児 YouTubeでMVを観ている人の多くは、音をイヤホンで聴いている人が多いと思うんですけど、やっぱりライブは「聴く」という感じではないですね。モッシュができるという意味ではなく、ただ立っているだけでも「聴く」というか「感じる」という。だから健司くんがさっき言った「ライブハウスではあまり否定的な意見が出ない」というのは、耳だけじゃないからという気がするんですね。ライブは家では絶対できないと思うし。だから「感じに」来て欲しいですね。

――驚いたことに、ライブで「オドループ」の印象的な振付けを会場全員が一緒にやっていましたね

康司 嬉しい事ですね。

健司 クアトロは結構、歓声が響くじゃないですか。だからあれをやった時にバンドの音が聞こえないんですよ。場所によって。

康司 グルーヴを感じるよね(笑)。全員が同じ事をしている事に関して、またファンが沸くみたいな。

夏フェスの成果

――鳥肌が立ちますよね。昨年9月にメジャーデビューして今年は初めて夏フェスに参加しましたが印象は?

健司 今年の夏フェスへの参加は「oddloop」を出してから1年が経たないくらいだったので、夏迎えた時には再生数は400~500万回までになっていて、5月に出した「OWARASE NIGHT」も100万回くらいいっていて、結構色んな人に観てもらえているタイミングだったのでチャンスではありましたね。興味を持って来てくれる人達がいたから、その人達を「オドループは楽しい」や「オワラセナイトは楽しい」を、「フレデリックは楽しい」にどう変えていくかというのがこの夏の課題でした。夏をどう楽しむかという事が僕らの1年目だったと思うんですね。夏フェスにいっぱい出させて頂いて、1年目のフレデリックはそういうフレデリックにしたいなと思ってやってみて、本当にその結果が今回のワンマンツアー(注釈=11月からスタート)の全公演ソールドアウトに表れて。全国の人に「フレデリックというバンドが楽しい」という事を少しでも感じてもらえて、ワンマンツアーに繋がったのだなと感じますね。手応え、楽しんでもらえるきっかけができたのだなと。

――フレデリックの曲は全て聴いているのですが、何も「オドループ」と「オワラセナイト」が抜きに出ているのではなく、どの曲も良いと思っているんですね。ただ、これだけ2曲に人気が集まっているのは、やはりMVの効果が大きいのかなとも思いますが、その点はどう感じていますか

康司 曲を書く時はやっぱり全部好きな曲なので、そこに対しては全ての曲に同じ気持ちを向けて作っていますね。その中に本当に色んなものがあるのがフレデリックの魅力だと思っています。

――本稿を掲載する頃はツアーの真っ只中ではありますが、ツアーにかける思いをお願いします

健司 『フレデリズムツアー』は造語なんですけど、フレデリックのリズムと目の前にいる一人ひとりの気持ちを合わさって一つにしたい、その場所のリズムを皆と一緒に創っていきたいという思いがあります。そのきっかけとなったのはkaz.の脱退なんですが、1つのリズムの要素がいなくなってしまった、だからこそ、そのリズムを目の前にいるお客さんと作りあげていくのが、フレデリックとしてのバンドの新しい形にもなっていくんだなという思いもあって、このツアーにしたんです。初日が一番お世話になった神戸のライブハウスから始まって、今、僕らがいる東京でファイナルを迎えるという形で。そのファイナルを迎える頃には、凄いリズムが全国から集まってきて、その中で自分達もパワーアップして12月を迎えて、クリスマスも近いので最高のプレゼントを届けられたらなと思ってます。

隆児 最高のプレゼント。リズムを靴下に入れてな(笑)

――気が早いかもしれませんが、新たなリズムをこしらえての次回作も楽しみですね

康司 またなんか企んでます(笑)

(おわり)

作品情報

Mini Album「OTOTUNE」(読み:オートチューン)
発売日:2015年11月25日
価格:2,100円(税別)
品番:AZCS-1050
収録曲
1. FUTURE ICE CREAM
2. FOR YOU UFO
3.ハローグッバイ
4.トウメイニンゲン(テレビ東京系「JAPAN COUNTDOWN」11月度オープニングテーマ)
5. USO(テレビ東京他 アニメ「きょーふ!ゾンビ猫」テーマソング)
6.トライアングルサマー
7.真っ赤なCAR
8.ひっくりかえす

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フレデリック「トウメイニンゲン」に秘めた思い

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