僕らの音楽は聴いて完成する フレデリックが最終章で示す本心
INTERVIEW

僕らの音楽は聴いて完成する フレデリックが最終章で示す本心


記者:木村武雄

撮影:フレデリック「トウメイニンゲン」に秘めた思い

掲載:15年11月25日

読了時間:約19分

フレデリック「トウメイニンゲン」に秘めた思い

オドループから始まった三部作の最終章「OTOTUNE」に込められた思いとは

 神戸出身のバンド、フレデリックが11月25日に、アルバム『OTOTUNE』(オートチューン)をリリースする。「中毒性楽曲」の代名詞にもなった『oddloop』と『OWARASE NIGHT』に次ぐ三部作の最終章と位置付ける今作は、三原健司(Vo&G)三原康司(B)赤頭隆児(G)の3人体制で挑む最初のアルバムだ。昨年9月のメジャーデビューからこの間、バンドの顔ともいえる代表曲「オドループ」を生み出し、夏フェスでの反響は11月からの全国ツアー『フレデリズムツアー』全公演売り切れとして成果に表れている。順風満帆の“航海”だが、9月にはドラムのkaz.が脱退するなど、目まぐるしく変わる潮流のなかで帆を進めている。「変化することがフレデリック」と語る彼らの「今、伝えたい事」を詰め込んだのが今作であり、失ったリズムを観衆に求めてスタートさせたのが今回のツアーだ。彼らの未来において重要な意味を持つ今作とツアー、そして、脱退の経緯について話を聞いた。(取材・木村陽仁)

未来のために選んだ前向きな脱退

――昨年9月に『oddloop』でメジャーデビューをして1年が経ちました。この1年を振り返ってどうですか

健司 あっという間でした。「oddloop」に始まって、自分達が一番理想としてたメジャーデビューの仕方をしたと思います。メジャーデビューの一発目から印象のある代表曲が出来上がったという事で、そこからしっかりと繋がった1年になったなと思いました。皆には、曲から浸透したバンドだと思っているので、1年も2年も10年かけてもずっと心に残る曲を作っていけるバンドになっていきたいなという気持ちがこの1年を通して改めて思いました。

――そうしたなかでドラムのkaz.さんが9月に脱退されました。公式発表では「kaz.さん本人が下した前向きな決断」とありましたが経緯を教えてください

健司 脱退の話が出たのは『OWARASE NIGHT』を発売した5月頃です。僕らは当時、まだ関西にいて今後活動を続けていくためにも上京すべきだという話が出ました。東京に行く事は個人にとっても大きな事で、何回も真剣に話し合いました。それぞれが「自分はこういう考えがある」という話のなかで、kaz.は「大阪で叶えたい夢が一つある」と。そこで、メンバー全員の今後の未来を考えた場合に、kaz.は3人を送り出す形にしたほうが、バンドにとっても、kaz.にとっても、皆の未来の為にもなるのではないかと、話が進んでいきました。

――「今後の未来」とは

健司 東京に行く事は、音楽の為に全てを東京に向けなきゃならないんですね。そこの覚悟を自分がしっかり支える為に大阪に残って、メンバーとその未来を見ていきたいと。「今後の未来」はバンドとして大きくなっていく姿、ということでよいと思います。

――バンドが未来に向かって成長していくなかで、kaz.さんはそれを押し上げていく立場でいる、ということでしょうか

健司 そうですね。

――以前のインタビューで康司さんは「kaz.さんがいるおかげですごくバンドが成長しています」と話していました。精神的支柱でもあったkaz.さんが脱退したことでの影響は?

康司 バンドの決断としては、完全にポジティブな事なので、何かをマイナスに思う事は全く無いですね。自分達でちゃんと話をして、全員が前を向いて行こうという話をした上で今があると思っています。全員の決意は固まっています。何か失ったのではなく、それを力に変えている自分たちがいると思います。

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