THE ORAL CIGARETTES、語り継がれていく“7・14”で得たものは
INTERVIEW

THE ORAL CIGARETTES、語り継がれていく“7・14”で得たものは


記者:編集部

撮影:THE ORAL CIGARETTES「7・14」で得たものは[1]

掲載:15年11月11日

読了時間:約18分

満足してもらえる一日にしたい

THE ORAL CIGARETTES「7・14」で得たものは[5]

あきらかにあきら

――11月にリリースされるニューシングルの「狂乱 Hey Kids!!」についておうかがいしたいのですが、この曲のアイデア自体は、以前から作られていたものなのでしょうか

山中 そうですね、元々違うコンセプトで曲を作ろうかと思っていて温めていたものなんですが、それを出そうと考えていたタイミングくらいでちょうど「『ノラガミARAGOTO』のオープニング曲をやらないか」というお話をいただいたんです。そのときに自分が作っている曲の中でどれが1番世界観が合うだろう?と考えて、ちょうどその作っていた曲が、自分たちがこれから出したいという意向にも合っていたし、「これを出そう」ということになったんです。それで歌詞をどうしようかとなったときには、タイアップということもあるから、そっちに寄せて書こうということで、実は普段あまりマンガって読まないんだけど(笑)、「ノラガミARAGOTO」を一から読んで。ハマりましたね(笑)。おもしろいなって。

――ナンバーとしては、「キラーチューン祭り」のライブラリの一曲に追加されるような、キラーでクールな感じの曲ですね。曲調としても歌詞も、わりとストレートな感じがしたのは逆に意外な気もしましたが

山中 そうですね。「狂乱 Hey Kids!!」に関しては、ギターのリフがすごくよく効いている感じがあったと思ったんです。曲構成に関して昔はよく変拍子なんかを使っていたんだけど、このリフで若干ひねくれた感も出たので、もっと違うやり方でアプローチできたし、自分たちの曲構成としては意外とシンプルでも大丈夫じゃないかなというところもありました。「狂乱 Hey Kids!!」はストレートにAメロがあってサビがあって、とちゃんと曲構成自体を作ろう、と。ただ、単にタイアップの曲構成を作ろうというのではおもしろくないので、自分たちがどうやったらこの曲をライブでおもしろくできるだろうな、っていう要素をしっかり中に入れ込んで、THE ORAL CIGARETTESの形にした感じなんです。

――一つ気がついたのですが、曲終わりのドラムのアレンジというか、ちょっとパターンのチェンジが、「起死回生STORY」に似ているなという感じもしたのですが、その「起死回生」的な思いも曲に込められたのでしょうか

山中 どうでしょうかね(笑)。「起死回生STORY」の感じはなかったかも(笑)

――勘ぐり過ぎでしたかね?(笑)

中西 ただ、実はドラムのあの部分は、レコーディングまではなかったんです。で、完成形でレコーディングしてとりあえずドラムを録り終えたときに拓也が、そこの4小節を「これにしてみない?」と言い出したんです。で、それを入れ込んで…僕としては内心「なんかまた突拍子もないことを言い出しやがって…」と(笑)

山中 申し訳なかったです。「録り終えた~」みたいな感じになっていたのに(笑)

THE ORAL CIGARETTES「7・14」で得たものは[3]

中西雅哉

――でもこの曲がオープニングに掛かるって、なんかワクワクして来る感じもありますね。カップリング曲の方はいかがでしょう? 両方ともわりとポップな感じもするし、本当にポジティブな感じで曲ができている感じがします。このシングルはやはり、一つなにか新しい方向に向かって進む指針のようなところも考えられているのではないか? と思いました。

山中 そうですね、「キエタミタイ」は昔からある曲で、結構変拍子とかも使っているし、ちょっと闇の部分の雰囲気なんかも入っているけど、「LIPS」については、メンバーとスタジオに入ったときに、弾き語りで「こんな感じの曲があるんだ」ってみんなに聴かせたときに「おっ、マジか!」「今までそんな感じなかったのに!」って(笑)。でもカップリングだし、こういう新しい面を見せるのもいいかな、って言っていたら、あきらが「あっ、いいやん」ってすごく気に入ってくれたんですよ。ちょっと新しい試みだったので、レコーディングも「これ、どっちが正しいんやろな…」とか、いろんな悩みもあったけど、結果やってみて良かったなと。何よりもノリだけで音楽を聴いてほしくないとお客さんに思うことが最近よくありますしね。ちゃんとメロディが生きる時代に移り変わってほしいなと、僕は思うところもあるし、その心の表れかもしれないですね。

――あきらさんが気に入られたというのは印象的ですが、このような曲調は趣向に合いますか

あきら いや、というよりは今までやったこともないから、聴いたこともないジャンル、曲だったんですけど。でもやってみたらすごく心地好くて、ハモるのも楽しいと思ったんです。形になって聴いてみたら、万人受けするというか、長く聴けるというのはこういう曲なのかな、ということも思ったし。今回のシングルはいろんな人に手にして聴いてもらえるタイアップシングルということもあって、このタイミングでカップリング曲にこういう曲を入れておくことで、今後すごく幅が広がるという狙いもありつつ、僕らとしては曲の完成度としてもとても高いと思うので、入れて良かったと思っています。

――非常に有意義に進んだ様子がうかがえますね。鈴木さんがリーダーの立場として見た視点ではそのように感じられましたか

鈴木 まあ正直、僕ら自信も好きな曲は変わっていくというか、いろんなところを取り込んでいくところもあるし、実は自然な方向だと思っています。僕自身はすごくメロディが立ったような曲が大好きなので、正直ギターリフが立っている曲よりはそっちの方が(笑)。まあ僕からしてもやりたいという気持ちはあったし、バンドとしての見え方もあるけど、THE ORAL CIGARETTESとして今、そういう曲がやれる状態にあるというのがTHE ORAL CIGARETTESがまた一つ、心に余裕があるということで、なにかどこか自分らがこの曲を出してもみんなにちゃんと提供できる、そんなバンドになったんだな、と思います。それまでは多分いっぱいいっぱいでなかなかやれないところだったと思いましたし。

――何度も出してしまいますが、7月14日のワンマンで起きたことから、特別に意識しているつもりはないけど、新しく開けたものがある、ということでしょうかね

鈴木 そうですね。まあ、昔と比べたら日々前に進んでいるので、今になって「あれがあったから」というのかどうかはわからないけど、多分なくても似たようなことはやっていたかなと。違うことでもなにか新しいことにチャレンジはしていたんじゃないかなと思います。

――その11月のシングルのリリース後は、少し潜伏期間として復活という格好になるわけですが、最後にその意気込み的なところを込めて、メッセージをいただければと思います

あきら ライブ活動は休むことにはなりますが、拓也の喉の調子が良くなれば練習もできるし、潜伏しながらも活動はできるし、また表向きは休止でも、ライブ以外のところで活動している見え方はできると思うので、そこは心配せず安心してほしいですね。来年初めからはワンマンとツアーもバンバン始まるので、今は会いたさを募らせておいてほしい(笑)、という感じです。

山中 3ヶ月ライブは休むし、ネガティブに見てしまうお客さんもいるかもしれないけど、自分の中では手術をする、その決断の中に「もう一段階上のボーカリストになるために」という意味もあるんです。ここで一回辛い思いをすれば強くなると思う。だからその姿をちゃんと見てもらえるようにがんばるので、ネガティブに考えずに、「ちょっとレベルアップしたTHE ORAL CIGARETTESが見られるんだ」という感じで待っていてもらえれば嬉しいと思います。

鈴木 今までこれだけライブが空くことはなかったので自分の時間も増えるし、そこでなにをしようということも考えているけど、これだけの時間でもう一回ちゃんとギターとも向き合おうとも考えています。拓也もがんばりますが、自分自身も修業し直してレベルアップを図ろうと思っていますので、楽しみに待っていてください。

中西 僕個人のリベンジの準備もやることはいろいろあって、多分お客さんも1月のリベンジ公演は楽しみにしていると思うんですが、会場に来ると思い出すこともあるだろうと考えているし、7月14日のことは忘れないし、忘れたらアカンなと思っています。ので、1月にステージに立つために、あのときに思っていたことをもう一回思い返して、自分の中で消化し、1月には来てもらったお客さんに「行って良かったな」「やっぱりTHE ORAL CIGARETTESはこういうバンドなんやな」と満足してもらえる一日にしたい。そこに向けて今までを見つめ直し、自信というものをドラムにもバンドとしても、表現できたらいいなと考えています。だからメンタルの部分でもしっかり準備していきたいと思います。

(おわり)

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