THE ORAL CIGARETTES、語り継がれていく“7・14”で得たものは
INTERVIEW

THE ORAL CIGARETTES、語り継がれていく“7・14”で得たものは


記者:編集部

撮影:THE ORAL CIGARETTES「7・14」で得たものは[1]

掲載:15年11月11日

読了時間:約18分

嘘偽りのないステージができた

THE ORAL CIGARETTES「7・14」で得たものは[2]

鈴木重伸

――あれだけの時間でよくあそこまで巻き返したな、と思えるほど後半は盛り上がりましたね。山中さんが戻ってからのエネルギー感や集中力が、4人とも違って見えたのですが、やっぱり山中さんが戻られた際には、メンバーの中では少なからず安堵感のようなものもあったのでしょうか

鈴木  そうですね。まあ安心というか…あのまま中断してしまうよりは、その先声がガラガラでも歌うことを決めてくれて、ライブをできるようにしてくれたことに対しては。やっぱり僕らはライブが本職ですから。僕らがあんなふうにしゃべっているだけではさほど伝えたいことは伝わらなかっただろうし(笑)、残りの数曲に賭けて向き合う方向を作ることができたのは、そういう意味では安心しましたね。

――「失うものは何もない」くらいの勢いや覚悟もあったのでしょうか。今から考えると、あのときの経験というのはどんなものだったと思いますか? 当然、予定通りのセットができなかったというのはくじけた結果でもありますが、もう一度立ち上がって残りの曲をやり遂げたというのは、皆さん自身に何らかの糧になったのではないかと思うのですが

あきら そうですね…弱い部分を見せられたからこそ、お客さんと向き合うことができたと思います。実は今思うと、これまでなんかずっとカッコをつけていた気もしてたんです。でも、ああいう姿を見せたからこそ、拓也も素直なMCをしたし。だからこそ僕らも包み隠さず嘘偽りのないステージができた。それ以降のライブも、ステージに立てていることや、演奏をしていることが嬉しくて、ちゃんと今を生きている感じがしましたね。「やらないといけないからやっている」という感じがまったくなくて、本当にやりたいからやっている、「全員、連れていくぞ!」みたいなそういう感覚で今、ライブに臨むことができているのが、今思うとできるようになっていると思います。

――なにか新しい発見があったという感じでもあるのでしょうか

あきら そうですね、お客さんとのつながりが深くなったかな、ということは強く思いましたね。

――今後この経験を踏まえてバンドとしてはどのように成長していきたいと考えられているのでしょうか? なにか気持ちの変化があったりとか…

山中 そうですね、何よりも応援してくれている皆さんに恩返しをしなければいけない時期にあると思っています。僕らはすごくひねくれているところがあるんだけど、そうしたなかで僕にポリープができてしまったことがわかってライブ活動を休止をすることを考えたとき、まだ自分たちとお客さんの信頼感みたいなものが確信しきれないときでもあったんです。だからそれを確実なものとして積み上げていくためには、まだここで休めないという考えになって、せめて夏フェス終わりまでそういう関係をしっかり作っていけるようなライブをしていこうということになりました。

 正直なところワンマンツアーが始まるまではまだ実感がなくて「本当にお客さんたちは俺たちの音楽を好んで来てくれているのか?」、ただ、音楽シーンの一角としてTHE ORAL CIGARETTESというただの一部分を見に来ているんじゃないか、という気持ちがありました。でもZepp Diver City Tokyoで僕は「あ、本当に僕らの音楽を聴きに来てくれたんだ」と感じたし、その後のなんばHatchもそうでした。その意味ではお客さんとの間にすごく自信ができたんです。だからフェスもやっぱりそういうお客さん、今までずっと応援してくれているお客さんのために、新しいお客さんもしっかり掴(つか)んでいこうって思いました。だからなんか全員合わせてチーム、みたいな感覚でフェスはできていたな、と思うし。

――バンドとして得た自信の大きさがうかがえますね

山中 これからバンドをやっていく上では大きくなっていくし、お客さんとは距離は遠くなっていくかもしれないけど、ちゃんとつながり続けて一緒に歳を取っていけるような、そういうバンド活動をしていきたいと思う。THE ORAL CIGARETTESが大きくなるのと一緒に、お客さんも大きくなっていく、そんな信頼関係でやっていきたいと思っています。もちろん新しいお客さんを増やしたいから、といって今まで応援してくれたお客さんを裏切ることはできないし。あのときは今まで応援してくれたお客さんありきの、新しいお客さんだという考え方に切り替わった瞬間だったなと思います。

――お客さんに対する意識がすごく変わったところでもあるんですね

山中 メチャメチャ変わりましたね。なにか急に、今いるお客さんとしっかり向き合って、という感覚になっていました。

――夏フェスというお話がありましたが、その意味では単純にスケジュールを消化していくだけでなく、なにかそこで手応えみたいなものも感じられたのでしょうか? 喉のケアも十分注意しながら、ある程度セーブが必要かと思いましたが…

山中 ステージでは、セーブはまったくしなかったです(笑)。もうステージに上がっちゃうとセーブなんてできないタイプの人間なんで。もうそのときのステージでは出しきって、その後にどうケアするかというところで体に気を使っていました。夏フェスは本数があったので、そうしないと乗り切れないと思ったし。メンバーもメンバーで多分、それぞれ体のどこかに痛みを抱えていたりしますしね。

――むしろプライベートに神経を使って乗り切ったツアーだったんですね

山中 そうですね。今回は7月に会場/配信限定販売のシングル「カンタンナコト」を出して、自分たちのライブ力をお客さんに再確認してもらおうというコンセプトでやっていたんですけど、響いたらシングルを買ってもらう、響かなければ買わなくてもいい、ということをはっきり言って進めた夏フェスだったので、すごく自分たちの向かっていく道もはっきりしたし、ついて来るお客さんもはっきりした人が多いんじゃないかと思っています。

――思った以上に収穫の大きなライブだったようですね。ちなみに、今手術を行って、実際に声が出るのはいつころになりそうな見通しなのでしょうか

山中 術後3週間くらいに、歌が歌えるかなという感じですね。だから今のところは10月後半くらいの予定かな。

――ある程度スケジュール的にも、来年1月の巻き返しに向けて、勝算も十分あると

山中 (笑)まあそうですね、そのつもりでメンバーとやっていくつもりです。まあ喉を切ったらどうなるか、やったことがないからわからないこともあるけど、でもTHE ORAL CIGARETTESは止まらないっていうことをはっきりお客さんにも伝えたいし、Zepp Diver City Tokyoの悔しい思いをちゃんと晴らしたいという思いもありますしね。

――ある意味来年が楽しみな感じでもありますね

山中 本当にそうですね。

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