金子國義さんの油彩画「海のアマゾーヌ」をあしらった衣装で歌うリサメロディー

金子國義さんの油彩画「海のアマゾーヌ」をあしらった衣装で歌うリサメロディー

 日本の文化を国内外に発信することをテーマに活動を続けている女性歌手がいる。リサメロディーだ。新世代ポップアイコンとも称される彼女は今年26歳。2013年に配信デビューして、今年9月にCDデビューもした。その彼女が、奇才の画家・金子國義さんの作品をあしらった衣装を作成。7日に都内で行われたイベントで初お披露目すると、外国人の来場者から好評を集めた。

 ブロンドヘアに、金色の眉毛とまつ毛、深紅の唇がひかる日本人離れした容姿。歌はEDM調のポップメロディーに、日本音楽を思わせるサウンドを随所にちりばめている。そのキャラクターは、人を惹きつける明るさがあり、語尾につける「メロ」も印象的だ。

 その彼女が、2015年3月に急逝した画家・金子國義さんの作品「海のアマゾーヌ」をあしらった衣装を作成した。

 耽美的な作風によって高く評価され、不世出の芸術家とも謳われた金子國義さんは、人間の本能をも映し出すかのような妖艶な雰囲気を漂わせる人物画を得意とし、作家の澁澤龍彦の著作の装釘や挿絵、『不思議の国のアリス』の挿絵などを手掛けるなど、幅広い分野でその才能を開花させたことでも知られる。

 その“國義作品”を衣装に取り入れた。もともと“國義作品”のファンだった彼女は、金子國義さんの絵画を衣装にできないかとクリエイター集団「kage6sha」のandoさんに相談。油彩画を衣装にするのは難しく深慮を重ねたが、2枚重ねの布地に絵画をプリントして立体的な視覚効果を加味。4×24枚の素材を組み合わせたスカートとつなぎ合わせて完成させた。

リサメロディーが“國義作品”を衣装に[1]

独特のキャラクターでファンを惹きつけたリサメロディー

 日本文化のワビサビや美しさを国内外に伝えたいとも思っていた。そうしたなかで新たな衣装には「忍者」のテーマをもたせた。それに加えて「女性としての力強さを表現したかった」そうだ。その力強さを“宿す”ものとして“國義作品”を選んだ。

 この衣装は、7日に東京体育館で行われた、日本のカルチャーを世界に発信するイベント『もしもしにっぽんフェス2015』2日目公演で初披露された。

 去年のこのイベントは、観客のひとりとして訪れていたというリサメロディー。元気よくステージに登場すると、「盛り上がっているメロ?」と独特の語尾を使って茶目っ気たっぷりに挨拶。アグレシッブなパフォーマンスで「HAPPY TOKYO GIRL」「ABCDEFGHIJKLN?Music」「かれしはハンマーシャーク」を歌い上げ、ファンを魅了した。

 衣装は、赤と黒を基調とし、前記の「海のアマゾーヌ」をあしらった上半身に、下半身は42枚の羽根をイメージした素材で構成されるスカート。そして、頭や肩などには折り鶴をイメージした装飾がなされている。日本文化を思わせるその姿は外国人来場者の心を掴み、終演後には記念撮影を求める列が長く続いた。

 お披露目は成功したが、リサメロディーはこの日を迎えるまで重圧に感じていたという。「金子先生の作品を衣装にすることを重く受け止めていてプレッシャーがありました。これを乗り越えるために、走り込んだりと心身ともに鍛えました」と不安を取り除くために、厳しいトレーニングを課していたそうだ。

 そんな彼女もお披露目を無事終え「自信が付きました」と笑顔。今後については「金子先生の作品をはじめ、日本文化の良さを、衣装や音楽を通じて国内外に広めていきたい」と力強く語った。見据える先は世界だ。  【取材・木村陽仁】

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リサメロディーが“國義作品”を衣装に[1]

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