SCANDALの変化、10周年を前に掴んだ確信とは
INTERVIEW

SCANDALの変化、10周年を前に掴んだ確信とは


記者:村上順一

撮影:[写真]SCANDAL10周年を前に掴んだ確信(1)

掲載:15年10月14日

読了時間:約22分

 5月に初のワールドツアーを完遂させたガールズバンドのSCANDALが22枚目となるシングル「Sisters」を去る9月9日にリリースした。「洋楽の要素を取り入れたい」と語る彼女たちの思惑通り、前作「Stamp!」に続いて洋楽テイストを感じさせるサウンドに仕上がっている。初のワールドツアーで触れた異国の風、そして香り。彼女たちはこのツアーで何を感じ、何を得たのか。そして、これから先のバンド像はどうみているのか。10月17日には海外8カ国10公演に完全密着したドキュメント映画『SCANDAL ”Documentary film「HELLO WORLD」”』も公開される。来年結成10周年を迎えるSCANDALに話を聞き、ナチュラルな一面とミュージシャンとしての本質に迫ってみた。  【取材=村上順一】

使命感が確実に生まれた

[写真]SCANDAL10周年を前に掴んだ確信(9)

「ずっとこの4人で音楽をしていきたい」とも語ったHARUNA(撮影=木村陽仁)

――初のワールドツアーを終えて気づいた点や変化した点は

HARUNA これまでも海外でライブをすることは何回かありました。ただ、「ワールドツアー」と銘を打って海外でライブを行うのは今回が初めてで。今までは、いろんな国で自分たちを待っていてくれるファンがいたので、単純にたくさんの国でライブをやってみたいという気持ちで海外に行っていた気がしますが、今回はツアーを回っていく中で「なぜ自分たちが海外でライブをするのか」、「どうしてガールズバンドをずっと続けているのか」という意味が分かってきたように思えます。

RINA 自分たちが海外に行っている理由というのをちゃんと見つけられて、使命感みたいなものが確実に生まれたなと思っていて。日本のポップカルチャーになりつつあるガールズバンドというものを、世界に広げていきたいと思うようになったし、ガールズバンドは日本でも男性ロックバンドと比べるとまだ数も少ないし、まだポップになりきれていない部分もあると思うんですけど、もっとポピュラーなジャンルにしていきたいという気持ちは強くなりました。

MAMI 私は1人のソングライターとして自信がつきました。『HELLO WORLD』というアルバムを持って回っていたツアーで、その中の「Departure」という曲があるんですけど、その曲は日本で四季を見たときの気持ちを歌っている歌詞でメロディもどこか和のメロディで、そういうところがすごくキャッチーだと言ってくれて。その曲を海外の人たちが聴いてくれてライブでも思っていた以上に盛り上がったんですよ。それはあまり自分たちでも予想していなくて。NHK WORLDのJ-MELOという番組内でSCANDALの好きな曲を教えてくださいというアンケートで「Departure」が1位だったので、セットリストのここで聴けたら嬉しいかなというところに入れて持って行ったんです。本当に歓声もすごかったし単純にびっくりしました。事前に情報は得ていたとはいえ、行ってみて凄くびっくりしましたね。それを受けて自分たちで曲をちゃんと海外に届けて行かないといけないなという思いが一層深まりました。

TOMOMI インディーズの頃から毎年海外には行かせてもらっていたんですけど、当時は、制服というコスチュームを着ていたことや、アニメの主題歌をやらせて頂いていたことなどもあってそのジャパンカルチャーという武器を持って海外に臨んでいたんですよ。でも今回は、その武器を捨てて『HELLO WORLD』というアルバムのツアーで行かせてもらって。このアルバムが凄く自分たちの中でナチュラルに出てきたもので、素の自分たちに近いもの、日常の中にあるものだったのでそれを海外の人に聴いてもらって受け入れてもらえたような気がして。そいう意味では凄く自信になりましたね。

――ツアーを回ってみて日本での反応と海外での反応の違いは

HARUNA 日本と海外という考え方ではなくて、各国の文化も違うしノリも違ったりしたので、その国々のライブ感があったなと思いますね。

――特に印象に残っている国は

HARUNA 凄く情熱的だったのはメキシコですね。メキシコでライブをやったのは初めてだったんですけど、演奏と演奏の間にもサッカー観戦しているような感じで「オーレーオレオレオレ♪」みたいな掛け声で。そいうノリでお客さんたちも観てくれたし、凄く暖かい国でしたね。

[写真]SCANDAL10周年を前に掴んだ確信(8)

HARUNAが世界ツアーで得たものとは。「『どうしてガールズバンドをずっと続けているのか』という意味が分かってきたように思えます」とも。(撮影=木村陽仁)

――メキシコといえばMAMIさんは誕生日をお祝いしてもらったみたいですね

MAMI メキシコは2千人以上のお客さんが来てくれてステージ上でお祝いしてもらったんですけど、バースデーソングがメキシコのバースデーソング「ラスマニアニータス」という曲で4分あって3拍子なんですよ。「Happy Birthday To You」だったら名前を呼ばれた時が最後で「ワー」と盛り上がるじゃないですか。でもメキシコのバースデーソングだとどこで火を消したらいいのかまったくわからなくて。で、スタッフがケーキを用意してくれていたんですけど「ここかな?」という時に火を吹き消しても歓声が起こらなくて…。多分、タイミングが違ったんですけど(笑)。みんな凄く情熱的に歌っていてくれて、そもそも私を見ていないという(笑)。2千人もお客さんがいる中で凄く孤独を感じた瞬間でした。自分で狙っていかない限りは誕生日にメキシコに行くという機会はなかなかないので単純に嬉しかったですけど(笑)。

――他に印象に残った国は

RINA 日本でもそうなんですけど、ヴィンテージショップでの洋服だったりインテリア用品を買いにいくのがマイブームで、ロンドンのヴィンテージショップに行って古着とか結構買ったんです。そこの店員さんが自分たちのことを知っていてくれて「一緒に写真撮ろうよ」と言ってくれたり、「友達にFacebookに公開して見せるね」と言って接してくれたのが凄く嬉しかったですね。そこで、私のサイズにぴったりの洋服をレジに持って行ったら「キッズサイズだよ」と言われたんですよ。ロンドンは子供でも背丈が私と同じくらいの子も多いみたいなので、私はキッズサイズでちょうどいいのかと思いましたね(笑)。

TOMOMI 私はシンガポールですね。シンガポールは半野外ライブだったんですけど、人生で最強というぐらいのスコールを経験して。雨が凄かったんですよ。「Rainy」という曲があるんですけど日本のツアー中も「雨が降ったら演奏しよう」と決めていたんですけど、なかなか雨が降らなかった。それでシンガポールでやっとできて報われたなあと(笑)。普段はイベントなどで良く雨が降っていて、自分たちでも「雨バンド」だと自覚していて、そいうこともあって「Rainy」という曲を作ったんですけど、この曲を作った途端にあんまり降らなくなっちゃったんです。でもシンガポールでずっと温めてきた演出ができて良かったです(笑)。

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