back numberのスタジアムツアー「back number “Grateful Yesterdays Tour 2026”」が6月28日、熊本えがお健康スタジアム公演をもってファイナルを迎えた。5月2日の宮城・キューアンドエースタジアムみやぎ公演からスタートした、back number初のスタジアムツアー「back number “Grateful Yesterdays Tour 2026”」。これまでアリーナ/ドーム会場でのツアーを経験してきたback numberにとっても最大規模となる、国内5会場・9公演でトータル50万人を動員するに至った巨大ツアーは、音楽・リスナーと誠実に向き合うback numberの姿勢を改めて浮き彫りにするものだった。以下、6月14日、神奈川・日産スタジアム公演のライブレポートをお届けする。

 【写真】back number、日産スタジアム公演の模様

 2025年はback numberのライブ活動が一切なかったこともあり、ツアーを待ちわびた観客の期待感が開演前から静かな熱気となって満ちあふれている日産スタジアム。舞台後方にそびえ立つLEDビジョンに「2026.6.14」「KANAGAWA」「NISSAN STADIUM」の文字と「back number」のバンドロゴが次々に映し出され、清水依与吏(Vocal & Guitar)・小島和也(Bass & Chorus)・栗原寿(Drums)の3人が姿を現すと、場内の多幸感が一気に大歓声となって湧き上がる。ライブの冒頭、メンバー3人だけで演奏し始めたのは「幕が上がる」。映画主題歌として昨年リリースされたロックバラードの《大事なものを守れるくらい/強くなりたい》という切実な歌声が、広大なスタジアムの空間を強烈な一体感で包んでいく。

清水依与吏(撮影=半田安政)

 「幕が上がる」の演奏の途中で、サポートメンバーの3人が登場。今回のツアーで新たにサポートメンバーに加わった幡宮航太(Keyboard)とフジタユウスケ(Acoustic Guitar & Chorus)、さらに「SCENT OF HUMOR TOUR 2022」以来のサポート共演となる盟友・柿澤秀吉(Guitar)がアンサンブルに加わったところで、「back numberです! よろしくお願いします!」という清水のシャウトとともに、銀テープのキャノン砲が会場狭しと飛び交い、ライブアンセム「スーパースターになったら」で序盤からクライマックス級の高揚感を描き出してみせる。「一生懸命作ってきたもの、今までやってきたことを全部大事にして一生懸命、思いっきりやろうと思います。最後までよろしくお願いします!」と呼びかける清水に応えて、約7万人の観客の拍手喝采が降り注ぐ。

 「クリスマスソング」から「青い春」でダイナミックな躍動感を描き出して「踊りに来たんだろ!」(清水)とスタジアムを煽り、さらに「SISTER」へ──と惜しみなく名曲が繰り出される展開に、場内の熱量と歓喜は刻一刻と高まっていく。「みなさんのおかげで、今日も雨が降らずにおります!」と語りかけ、ペットボトルで乾杯してみせる小島。「存分に楽しもうと思うんですけど。行けるかー! 行こうか神奈川!」と力強く叫び上げて熱いコール&レスポンスを呼び起こす栗原。「大不正解」のワイルドな熱唱で満場のオーディエンスの心を震わせた後、「マジで今日は、自分たちだけのエネルギーじゃない感じがして」と感慨を語っていた清水。「花束」のメロディの包容力も、「チェックのワンピース」のセンチメントも、「ハッピーエンド」でドラマチックに高まる想いも、そのすべてが深く強く胸に迫ってきた。「わかるところがあったら、一緒に歌ってください!」(清水)と響かせた「君の恋人になったら」では、会場一面のクラップとシンガロングが広がり、広い会場の距離感がぐっと近づいたような感覚に包まれる。

小島和也(撮影=半田安政)

 陽が傾いてきたライブ中盤、「次の歌を一緒に歌いたいなと思ってるんですけど……」と清水が語ったのは、「スタジアムツアーが決まった時、最初に『やろう』と思った曲」のことだった。「こんなにちっちゃい一人の人間が作った歌が、せっかく来てくれたあなたの歌になんねえかなあと思って、ずーっとやってきました。たぶん次の曲だけじゃなくて、back numberっていう音楽はそういうものだと思います。だから、一緒に歌って、持ち寄った孤独の大きさを確かめたいかな」──そんな言葉とともに、ひときわ力強く歌い奏でたのは「ベルベットの詩」。《あるがままの姿で/自分のままで生きさせて》と渾身の絶唱を突き上げる清水。客席を埋め尽くすハンドウェーブと大合唱。演奏が終わった後も、長い拍手がいつまでも続いた。

 さらにロックモードを加速させた「MOTTO」では、LEDビジョンのパネルが姿形を変えながら熱演を彩る、大会場ならではの大仕掛けも見られたこの日のアクト。「ブルーアンバー」のメロウな歌が情感豊かに響いた後のビジョンには、インディーズ1stミニアルバム『逃した魚』のリリース前後、2009年当時の清水がブログに綴っていた想いがひとつ、またひとつと映し出されていく。[俺達は今、たくさんの人達に支えられてて、その支えてくれる人達が見てる時に最高のライブが出来ないバンドなら、辞めようと思ってました。だから正直やめたいです][後悔させない人に、バンドに、いつか…なりたい…]──当時の切実な苦悩と決意の言葉はそのまま、現在まで変わることのない「リスナー/オーディエンスの心にまっすぐ届く歌」への希求をリアルに物語っている。

栗原寿(撮影=半田安政)

 ライブも終盤に差し掛かり、最新楽曲「どうしてもどうしても」から「新しい恋人達に」、さらに「怪盗」を立て続けに披露して、場内の熱気をよりいっそう高めてみせるback number。客席から飛び出す「ありがとう!」の声に、「『ありがとう』はこっちのセリフだぜ! ありがとう!」と清水が応える。「紛れもなく、俺を生かしているのはあなたなので。どれだけ自分たちで妥協しないで作っても、誰かが再生ボタンを押してくれなかったら、今だにバンドとして何もないかもしれないし。正直、バンドがなくて、歌もなかったら、まっすぐに生きられていた自信はないです」……そう語って清水は、目を潤ませながら客席に向かって強く拍手を贈る。

 「俺たちは十分に幸せにしてもらったからこそ、今日この汗だくの一日が、これからあなたの行く先にある暗闇で見つける小さな光に──完全な暗闇じゃないって伝えるだけの小さな光に、今日一日がなれるように、あと何曲か一生懸命やって帰ります。今日は来てくれて、見守ってくれて、一緒にライブを作ってくれて、どうもありがとうございました!」。そんな清水の真摯な言葉とともに奏でられた「水平線」が、スタジアムごと抱きしめるように雄大に響いた。

back number(撮影=田中聖太郎)

 「ある未来より愛を込めて」では、入場時に配布されたリストバンドのライトが輝き、熱いクラップとともに会場の祝祭感はフィナーレへ向けて昇り詰めていく。この日のラストを飾った「高嶺の花子さん」ではスタジアム一丸のシンガロングが弾け、終演を告げる花火と「愛してるぞー!」の清水の絶叫が、稀代の名演の最後を美しく彩っていた。

 なお、「Grateful Yesterdays Tour 2026 in Asia」として、台北・Taipei Arena公演(8月22・23日)、ソウル・KINTEX Hall 9公演(9月12・13日)、香港・Asia World-Expo Hall 10公演(9月26・27日)の開催が予定されている。【文/高橋智樹】

 ■セットリスト

 01.幕が上がる
 02.スーパースターになったら
 03.クリスマスソング
 04.青い春
 05.SISTER
 06.大不正解
 07.花束
 08.チェックのワンピース
 09.ハッピーエンド
 10.君の恋人になったら
 11.ベルベットの詩
 12.MOTTO
 13.ブルーアンバー
 14.どうしてもどうしても
 15.新しい恋人達に
 16.怪盗
 17.水平線
 18.ある未来より愛を込めて
 19.高嶺の花子さん

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