U-KISS、中野公演で真のエンターテインメントを体現

まるで家族のように親密さ

　時に６人での、全く隙のないコンビネーションを見せるダンスパフォーマンス。メインボーカルのスヒョンとケビン、その２人を支えるフン、キスプの歌声。さらに絶妙な隠し味を見せる、イライとジュンのラップ。６人それぞれの動きはしっかりと連動しながらも、一人一人はキャラクターをしっかりと立って見せており、まるで家族のように親密で、結束の固い絆すら見えてくるようだった。一方でダンスのソロパフォーマンスや、スヒョンとケビンのデュオ「One Call Away」、フンのソロ「HEART STRINGS～言えないコトバ～」と、見ても聴いても楽しさ満載のステージ。

　この日は、リーダーのスヒョンがソロとして音源をリリースしたことにも触れられた。そしてソロ曲「メロディー」を披露するスヒョン。抜群の歌唱力を持つ彼の歌には、「聴くしかない」と思わせる説得力がある。その美しくも情感豊かな歌に、観衆はじっと耳を傾けていた。さらにへヴィなビートに合わせたダンス、甘く切ない気持ちにさせるバラードと、「これでもか」といわんばかりに観衆の目と耳を常に魅了、時にはしっかりした日本語の軽妙なトークで和ませるなど、全く飽きさせる隙を見せない。そしてクライマックスへの序章を唱えるかの如く、今回のツアーのテーマともいえる「Action」へ。

　いよいよステージは大詰め。怒涛のヒットパレードをつなげたメドレーを一気に披露したそのプレーは圧巻だ。観衆もペンライトを握る手にかなり力が入った模様、本気の歓声を叫び続けながら熱狂のステージをたっぷりと堪能していた。エンディングは、彼らと観衆との甘いひと時をそのまま表したようなナンバー「Sweetie」。

観衆を楽しませる術

　ステージが終了し、観衆は一時熱気を覚ますかのように沈黙していたが、やがてアンコールの声が。その声に煽られて登場したのはコメント映像。リハーサルのプレミア映像を流しながらこの日、ファンのために全力を尽くすことを誓った様子を映し出し、さらにアンコールを楽しんでもらいたい旨が流れた。そして再び６人は、ステージに登場した。

　Tシャツに着替え、気持ちはリラックスしていたが、観衆を楽しませようという気構えは少しも衰えを見せずに、さらに舞い、歌う彼ら。「盛り上がってますか、みなさん？　チョー楽しんでいますか!?」とケビンが観衆に語りかけ、さらなる盛り上がりを即す。そして９月にリリース予定のシングル曲「Stay Gold」をプレー。その曲のタイトルの通り、観衆に「黄金のように輝いていてほしい」そんな思いを伝えるような、最高に楽しくて気持ちをアゲていけるナンバーだ。

　ステージ以上に盛り上がったフロアを見て「みんな見た？　ここ（フロア）にいる人は、U-KISSの人よりダンスがうまいよ！」と、おどけるようにメンバーに語ったスヒョン。そんな一言すら、観衆を目一杯に楽しませたいという思いの表れと感じさせた。そしてこの日、会場に訪れた観衆すべてによき思い出を残し、彼らはステージを去った。

　彼らの魅力は、単に優れたダンスや歌のテクニックだけではなく、それらを備えつつ観衆の目をとらえる、観衆を楽しませる術を心得ていることにある。まさしくエンターテインメントという言葉通りの意味を体現することに長けている。さらにU-KISSは、グループならではの個性をしっかりと打ち出しつつある。どこまで大きなグループになっていくのか、今後も注目し続ける必要がありそうだ。