[写真]チャラン・ポ・ランタンを分析

YouTubeで公開されているチャラン・ポ・ランタン「71億ピースのパズルゲーム」ミュージックビデオ(キャプチャー画像)

 新宿ゴールデン街からセレブのプライベート・パーティー、カナダ海外ツアーと世界を股にかけ、アコーディオンと昭和歌謡、シャンソンの名曲をたっぷりと響き渡らせる姉妹デュオ「チャラン・ポ・ランタン」。そして、そのワールドワイドな大道芸、サーカスサウンド・パフォーマンスが来たる「フジロックフェスティバル2015」で披露される。

チャラン・ポ・ランタンとは

 国内のみならず海外でも大ウケ、大入りという昭和歌謡色全開のチャラン・ポ・ランタンは、これまで路上でのパフォーマンスや、新宿ゴールデン街など飲み屋街での「流し」、ライヴハウスに海外ツアー、そしてフジロックと、正に神出鬼没の活動でその名を轟かせ、古今東西、遠慮無く大暴れする姉妹デュオだ。

  チャラン・ポ・ランタンは、姉・小春/アコーディオン(25)、妹・もも/ボーカル(21)の2人による姉妹デュオ。姉・小春が7歳から始めたアコーディオンは、「インターナショナル・Vアコーディオン・コンテスト」で優勝という快挙を収めた程の腕前。そして17歳で大道芸プロライセンスを取得という「芸のプロ」でもある。妹・ももの活弁師ばりの流暢な喋り、ミュージカルの様な歌唱スタイル、ゆるくも頻発する毒舌。昭和の香りが全開のコブシを効かせまくった歌とアコーディオンの調べは、聴く者を和やかにさせる魅力に溢れている。

チャラン・ポ・ランタン / 71億ピースのパズルゲーム

 また、ド派手な衣装、奇怪ながらもどこか素朴な印象も受ける彼女らのその格好は、作詞作曲を担当しているの姉姉・小春の自作によるものだという。ちなみに衣装制作にあたっては、姉妹の母とおばあちゃんと共にミシンでカタカタ制作しているという、なんともハートウォーミングなバックヤードの逸話もある。

新ジャンル?

 「昭和歌謡」というエッセンスのあるアーティストには、サブカル感、毒々しさや厭世観、昭和エロ・グロ・ナンセンス、それらを強く伴うものが比較的多くみられるのだが、「チャラン・ポ・ランタン」のその昭和歌謡フレーバー、音楽性自体にはそれらが一切無いという意外な一面がある。(MCで毒を吐く面は多々あるが)ただただ、楽しい歌唱とアコーディオンの音色で、切なくも愉快な気分にさせてくれる、ケセラセラという表現が何ともピッタリくる雰囲気の「大道芸」を楽しんでいると、気が付けば頭打ちの手拍子がつい出てしまい、おひねりをブンブン投げ込みたくなる衝動にかられる。

 シャンソン、タンゴ、美空ひばりに三波春夫のカバー、多彩なオリジナル曲、表情豊かに歌い上げる楽曲の数々、フランスかぶれの、いや、昭和歌謡に加えてフレンチテイスト。ブンカブンカ、ズチャズチャ、と2ビートで刻まれるサーカスサウンド。海外では「オルタナティヴ・シャンソン」という、「その言い方があったか」と思わず腑に落ちる様な、全然そうでない様な、そんな呼び方もされているという。いい具合に取って付けた様なジャンルだが、チャラン・ポ・ランタンに対して「オルタナティブ・シャンソン」という新ジャンル(?)、妙にしっくりくるものがある。

 チャラン・ポ・ランタンのオリジナル作品リリース「テアトル・テアトル」は1stアルバムとして2014年12月にリリースされ、同アルバム収録曲「ワーカホリック」では、ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)とUCRARY(UCRARY&THE VALENTINE)がサウンドプロデュースを手掛けた事でも話題を集めた。同曲でハマ・オカモトはベースプレイも披露している。

 レトロな魅力満載のチャラン・ポ・ランタン。2012年にフジロックで初出場を果たし、大絶賛を浴びた彼女らだが、FUJI ROCK FESTIVAL'15ではその独自のセンスをどういった形で撒き散らしてくれるのか、今年も期待度特大だ。  【文・平吉賢治】

チャラン・ポ・ランタン1stアルバム「テアトル・テアトル」2014/12/04 リリース

1. 71億ピースのパズルゲーム
2. ムスタファ
3. さよなら遊園地
4. 蕾試聴する
5. 美しさと若さ
6. 私の宇宙
7. プレゼント
8. ワーカホリック
9. NANDE-NANDE
10. 忘れかけてた物語
11. 愛の讃歌
12. 季節は廻る
DVD
・71億ピースのパズルゲーム【Music Video】
・フランスかぶれ【Music Video】
・美しさと若さ【Music Video】
・私の宇宙【Music Video】
・スーダラ節【Music Video】
・忘れかけてた物語【Music Video】ほか

メモ

◆セレブのプライベート・パーティー Twitterの会長 ジャック・ドーシー氏から招待され、ライブを敢行したという事例。

◆フランスかぶれの 当人らのMVに「フランスかぶれ」というタイトルの作品があったため出来る表現。決して悪い印象を与える意図の表現、悪口ではない、という補足。

◆2ビート 2拍が主軸のリズム。リズム、ビート、というより、ズチャズチャ、スッタンスッタン、といった感じの最もシンプルなリズム観念。カントリーやブルースなどのネイティブな音楽(ゆっくりした2ビート)や、パンクロックやハードコア、メタル(高速2ビート)などで多くみられる。ジャズを「4ビート」と表現、ファンクを「16ビート」と表現し説明する事は多いが、ある音楽を「2ビート」と表現をする機会は少なく、あくまで補足的な概念として使用される事が多い。(ズチャズチャと2ビートで〜の様に)

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