[写真]大塚 愛がツアーで革新(1)

新たな音楽性を掲示した大塚 愛【Photo by 田中聖太郎】

 [ライブレポート、7月29日、東京]大塚 愛が7月29日、東京・恵比寿LIQUIDROOMで、全国ツアー『LOVE TRiCKY LIVE TOUR 2015~ヘルシーミュージックで体重減るしー~』のファイナル公演を行った。同ツアーは、4月にリリースした7枚目アルバム『LOVE TRiCKY』を引っ提げて行われたもの。同アルバムで聴かせた音楽は、今までの大塚 愛とは異なるベクトルに昇華している。6月の愛知・名古屋Bottom Lineを皮切りに全8公演を巡ってきたツアーでもその世界観を広げ、エレクトロサウンドを基調とし新たな音楽性を打ち出したものとなった。ミュージックヴォイスではこの公演の模様を以下にレポートする。  【取材・村上順一】

重厚なシンセリード

 6月に名古屋から始まったツアーも、ここLIQUIDROOMでファイナルを迎える。その千秋楽に多くのファンが駆けつけていた。会場には『愛 am BEST』の99曲目に収録されていた「BABASHIのテーマ」がリアレンジされてループで流れている。ステージ上には、生楽器ではなくシンセサイザーが騒然と並び、今までとは趣きが異なる雰囲気に期待感が高まっていく。そして、場内アナウンスが流れるとBGMのボリュームが上がり、会場はBGMに合わせ手拍子が沸き起こる。

 照明が暗転し、シンセのシーケンスが流れるとサポートメンバー達がステージに登場。フロアが歓声に包まれ、徐々に音が重なっていく。フロアに4つ打ちのキックが鳴り響き、キーボードのバッキングが高揚感を煽る。青いライティングが白へ変わると、ステージ中央に大塚 愛が照らし出された。フロアから大歓声が上がり、LIQUIDROOMが沸いた。エレクトロで重厚なシンセリードで始まったオープニングナンバーは「I'm lonely」。シンセベースが体に響いてくる。間奏では大塚がショルダーキーボードを抱えソロを披露。会場から大歓声が上がった。

ダンスチューンへと変貌

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進化を遂げた大塚 愛【Photo by 田中聖太郎】

 「一緒に踊って行こうぜ!」と叫び、続けて演奏したのは「パラレルワールド」。軽快なダンスビートでライブハウスをクラブ空間に変えていく。「いい眺めだね。みんなSMILYしていく?」と始まったのは05年リリースのヒットシングル「SMILY」。ダンスチューンにリアレンジされ、オリジナルとは違うテイストに変身した。サビではファンも手を横に振り盛り上がっていく。

 続けて、ピンクの照明が夢の中にいる感覚にしてくれたヒット曲「ユメクイ」、そして、ニューアルバムから「busy lady」、「shooting star」、「laugh」、更に、エキゾチックな雰囲気と情熱的なハンドクラップが印象的な「affair」と立て続けに演奏。アルバムの持つ世界観を余すことなく再現していく。

 昨年リリースしたセルフカバーアルバム『AIO PUNCH』から「羽ありたまごーエスプレッソー」を披露。今回のセットリスト中で一番シリアスな楽曲だ。そのサウンドに会場の空気感が変わった。続いてアコースティックギターの音色がアクセントとなり彩りを添えていた「reach for the moon」、更に「MOONLIGHT」と月をタイトルにした楽曲を2曲披露。リズミックなバックビートに乗り伸びやかな歌声を聴かせてくれた。

多彩な楽曲でデトックス

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大塚 愛の新たな魅力に歓喜する会場【Photo by 田中聖太郎】

 ここで長めのMC。「体重だけでなく日頃のうっぷんとか、邪悪なものを流していって心もヘルシーに帰って頂こうかと思います」と、今回のツアータイトルの主旨を語ってくれた。そして、「夏の曲やっちゃおうか」と、ボサノバチックな「summer lovely days」を披露。オレンジ色の照明が夏の夕日を連想させステージを美しく彩っていた。

 ライブも終盤戦に突入。ユーモアある大塚らしい楽曲の「ラーメン3分クッキング」を披露。「味噌 醤油」とファンとのコールアンドレスポンス、間奏ではサポートメンバーがカップ麺を完成させるコーナも展開され、会場もカップ麺の行く末に盛り上がりこの楽曲がライブのアクセントになっていた。
 
 そして、ライブには欠かせない代表曲の「さくらんぼ」を披露。もちろん、この「さくらんぼ」もリアレンジされていた。EDMとレゲエを足したようなアレンジで夏っぽい仕上がりにオーディエンスのボルテージも上がっていく。サビではファンにマイクを向けて歌ってもらったり、この曲のハイライトとなる「もう1回!!」の一体感も完璧だった。

 間髪入れずに「未来タクシー」。サビでの手を振る会場の一体感は圧巻。更に間奏ではお笑いコンビTIMのような命の人文字を披露、フロアから歓声と拍手が上がっていた。そして「東京パーティーピーポーありがとう」と叫ぶと本編ラストの「タイムマシーン」を演奏。怒濤の終盤汗だくセットリストはツアータイトルに偽りはなかったと実感した。

ちょっぴり涙ぐんだ声

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120%昇華したファイナルでツアーを締め括った大塚 愛【Photo by 田中聖太郎】

 本編が終了すると、すぐさまアンコールを伝える「もう1回!!」のコールが。そのコールに応えグッズのTシャツに衣装をチェンジした大塚がステージに舞い戻ってきた。

 「ツアーが終わっちまう」と悲しそうに語る。アンコールではアルバムのラストを飾る楽曲「end and and ~10,000 hearts~」を披露。出だしは大塚のピアノの弾き語りで始まった。しっとりとエモーショナルに歌い上げる彼女の姿にファンも耳を傾ける。そして、途中からシンセのサウンドが重なりシーンが変化して行く。

 この曲に入る前に、自分に足りないものだらけだということに気づいたこと、母親になって自身の幼少期のことを思い出したことなど、同曲の制作時の話も語ってくれた。この楽曲を聴いていると長いトンネルを抜け、光に向かっていく情景が思い浮かんだ。

 アウトロが流れるなか「本当にありがとうございました!みんな元気でね」とちょっと涙ぐんだ声で感謝を伝え『LOVE TRiCKY』を120%昇華したツアーファイナルの幕を閉じた。

 今回のニューアルバムについて「好きなことをやれたアルバム」だと語った大塚。「歌う喜びよりも作る喜びがある。自分はクリエイターなんだなと思った」と語り、いつか「LOVE TRiCKY2とかも出来たら幸せだな」と制作意欲も見せた。そして、デビューから恒例の今年で12回目となる「LOVE IS BORN」が、9月13日に日比谷野外音楽堂で開催することも決まりまだまだ大塚 愛の夏は終わらない。

セットリスト

M1.I’m lonely
M2.パラレルワールド
M3.SMILY
M4.ユメクイ
M5.busy lady
M6.shooting star
M7.laugh
M8.affair
M9.羽ありたまご-エスプレッソ-
M10.reach for the moon
M11.MOONLIGHT
M12.summer lovely days
M13.フフフ
M14.Is
M15.ラーメン3分クッキング
M16.5:09a.m.-トニック-
M17.さくらんぼ
M18.未来タクシー
M19.タイムマシーン
Encore
M20.end and and-10,000 hearts

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