内田彩が初野外ライブで魅せた表現力、大輪開花の予感：【音楽】

代々木公園野外ステージでフリーライブを行った内田彩（撮影・清水久嗣）

　［ライブレポート、22日、代々木］近年はアニメ「ラブライブ！」「宇宙戦艦ヤマト2199」など、声優として目覚ましい活躍を繰り広げているアーティスト、内田彩（28）。昨年、自身初のソロアルバム『アップルミント』をリリースし、歌手としても頭角を現しはじめた彼女は、この22日に２枚目となるアルバム『Blooming！』をリリース。これを記念し、同日に発売記念ライブ『AYA UCHIDA フリーライブ Blooming！』を、渋谷の代々木公園野外ステージで行った。ミュージックヴォイスではこのステージの模様を以下にレポートする。　　【取材・桂伸也】

撮影・清水久嗣

　梅雨明けしたばかりの東京の空はカラッと晴れ、熱中症の注意がテレビやラジオで飛び交う、そんな一日だった。日の終わりということもあり、当初は疲れた表情の観衆もちらほらと見られていたが、ステージのスタートの時間が近づくにつれ、内田の登場を待ち望み、徐々にその表情に、活気をたたえはじめていた。

　定刻、いよいよステージに内田が現れると、割れんばかりの歓声と拍手が会場に巻き起こった。「今は“こんばんは”くらいですかね？　こんばんは！」「こんばんは!!」内田の元気なあいさつに、大きく答える観衆。オープニングナンバーは、ファーストアルバムの「アップルミント」。内田の代表曲でもあり、内田の魅力を目いっぱいに表現するには最適なキラーナンバーだ。その元気な雰囲気は会場を包み、サビに近づくにつれ、観衆は叫びあげる声に鋭さを増していった。

　「すごいですね！」観衆の大きな反応に大きな驚きを見せた内田。初めての野外、初めてのフリーライブということもあり、緊張していたことを語っていた内田だが、大きな反応を見せた観衆に、その表情には自信が現れはじめた。

撮影・清水久嗣

　そして、いよいよニューアルバム『Blooming！』からの選曲でステージは進行。彼女の楽曲は気持ちがウキウキするようなイメージを持った楽曲が多いが、その中でも声優としてのキャリアを生かして、盛り上がるステージの中でもしっかりとニュアンスを使い分けた表現ができる。それこそが彼女の持ち味ともいえる。

　例えば、２曲目の「スニーカーフューチャーガール」と、４曲目の「最後の花火」は、リズム的にはほぼ似たような８ビートのアクティブなサウンドだが、元気な女の子の、楽しげな日常を表現した明るいイメージの前者と比較し、もっと憂いを感じさせる後者と、楽曲のイメージに合わせしっかりと声色やニュアンスを変え、内田らしさをしっかりとアピールしていた。そんな彼女を目の当たりにして、観衆はしっかりと盛り上がりながらも彼女の歌に聴き惚れていた。

　ステージは後半へ。会場は既に日が陰り、心地よい風が舞い込んできた。その空気感に、内田と観衆はこの日のイベントを楽しむ気持ちがしっかりと同調していた。「正直、まだステージを終わりたくない」そんな気持ちを語りながら、今回のリリースをステップにさらなる躍進を誓った内田。観衆はその言葉にしっかりと反応し、クライマックスを迎えた。

撮影・清水久嗣

　聴くものを後押しし前進させてくれるような「Go！ My Cruising！」より、ラスト曲はアルバムタイトル曲「Blooming！」へ。「咲き誇れ、みんな！」曲の最後に放たれた、その一言のフレーズが観衆の胸に焼き付けられた。そして、この日の礼と共に、ステージを去った内田。それでも鳴りやまぬ観衆の声に、予定外のアンコールまで披露し、この日のステージはようやく終わりを迎えた。

　この日は奇しくも、内田の誕生日の前日。この日のステージでもサプライズとして彼女に観衆からの盛大な「ハッピーバースデー」ソングが送られた。20代最後の一年を迎える前日に彼女は、「28歳最後の、最高の夜になりました！」と、感謝の言葉を述べていた。

　今後もさらなる躍進が期待される内田彩は、このステップにさらなる大輪を咲かせてくれそうだ。