- 1
- 2
俳優の蒔田彩珠が、映画『ハピネス』(公開中)に出演。心臓の病気のため、医者から余命1週間と告げられた高校2年生の山岸由茉を演じる。本作は「下妻物語」の作者・嶽本野ばらによる同名小説を人間ドラマの名手篠原哲雄監督が映画化。由茉の残り少ない日々に寄り添う決意をする国木田雪夫役に、映画『麻希のいる世界』、『少女は卒業しない』、ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」などに出演した注目の若手俳優・窪塚愛流が演じる。インタビューでは、映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』『朝が来る』やドラマ「おかえりモネ」の若き実力派・蒔田彩珠に、余命1週間を告げられた由茉をどう捉え演じたのか。撮影エピソードなど『ハピネス』の撮影の裏側に迫った。
ロリータファッションは、幸せな気持ちになるのがわかる体験
――原作、脚本を読んだときの感想を教えてください。
普段自分がやらないような役でした。言葉遣いや選び方などすごく女の子らしい役柄だったので、自分が演じているところが想像できなくて不安なところもありましたが、お相手役が窪塚さんだと知って、撮影が楽しみでした。
――セリフなど難しかったところはありましたか。
由茉は雪夫のことも名前で呼ばずに「キミ」とか「あなた」と呼んだりするのですが、私はそういうふうに呼ぶことに慣れていなかったので大変でした。
――演じていく中で、由茉に入り込めたなと感じた瞬間はありましたか。
ロリータの衣装を着て撮影したときは、見た目からも役に入れたなと思います。
――ロリータファッションを着られた経験は?
初めてでした。由茉が一番好きなもので、一番キラキラ輝いて見えるという設定なので、着てみてそれがすごく理解できました。女の子って一度はドレスのような格好に憧れるので、私もウキウキしました。すごく幸せな気持ちになるのがわかる体験でした。
――本作は青春映画、ラブストーリーですが、そういったジャンルの作品に出演されてみていかがでしたか。
恋愛作品に出るのが初めてだったので、お相手が窪塚さんで良かったですし、ロリータファッションは挑戦でしたが、他のキャストの皆さんも素晴らしい方ばかりだったので、ラブストーリー自体に不安はなかったです。
――由茉を演じている中で意識していたことは?
由茉が雪夫に向ける表情と家族に向ける表情は微妙に差があるなと思っていて、家族の前では強い感じがあり、雪夫に対しては甘えている、少しわがままを言えるようなところがあるなと感じました。家族にできない部分を雪夫は担ってくれているような人なのかなと思いました。それは少しの差なのですが、その心情みたいなものは意識して演じていました。また、由茉には雪夫にはないやさしさがあって、雪夫には由茉にはない包容力があったので、お互いが長けている部分で支えあった、寄り添いあえたと思っています。
――蒔田さんから見て、由茉はどのように映りましたか。
もし自分が由茉のような状況に置かれたときに、こんなにも強く、そして優しくはいられないなと思ったので、とても尊敬しました。
――もし、蒔田さんが由茉と同じような状況になったら、どんなことをすると思いますか。
きっと私も由茉のように好きな人、たとえば家族や友達と行きたい場所にいったり、大好きなものを食べたりすると思います。
――ちなみにどこに行きたいですか。
私はお寿司が好きなので、たぶんお寿司が美味しい場所に行くと思います(笑)。
窪塚愛流はすごい集中力
――窪塚さんと共演されてみていかがでした?
ご自身の役に没頭されている姿を見て、すごい集中力だなと思いました。まっすぐ役に向き合ったまま、由茉に対しても愛情を向けて下さっていたので、頻繁にコミュニケーションをとらなくても、なんとなく役同士で通じ合っていたのかなと思いました。
――山崎まさよしさんがお父さん役、吉田羊さんがお母さん役でしたが、お話はされましたか。
山崎さんとの撮影は1日しかご一緒できなかったので、ほとんどお話しはできなかったんです。吉田羊さんは過去にご一緒したことがあったので、すごく安心感があり、お話も弾みました。
――篠原監督とはどのようなお話をされましたか。
篠原監督と窪塚さんと私の3人でどう演じていくか話し合いながら撮影を進めていきました。特に印象に残っているのは、自分の病気を説明するシーンや発作が起きてしまうシーンは、どこか沈んだ雰囲気になってしまうものですが、監督から「雪夫が明るくいられるように、由茉は明るく振る舞ってあげてほしい」とアドバイスをいただいたりしました。
――発作のシーン、リアルですごいなと思いました。何か参考にされたものもあったのでしょうか。
私はドラマとか映画を観るのがすごく好きなので、いろいろな作品を観てきて、自然と出てきたお芝居でした。バスの中で発作が起きてしまうシーンは、塩梅も監督と相談しながら何回か撮りました。
――大阪のシーンはいかがでした?
道頓堀でロリータファッションでのロケだったので、いろいろな人に見られていたこともあり、とても緊張しました。窪塚さんも身長が高いので、すごく注目されていました。
――大阪では美味しいもの食べられました?
たこ焼きを食べるシーンがあるのですが、食べ足りなかったので、みんなで閉店間際のたこ焼き屋さんに行って購入して、ホテルに帰ってからも食べました(笑)。
音楽は歌詞に惹かれて好きになる
――蒔田さんにとって、音楽はどのような存在ですか。
音楽を聴かない日は1日もないくらい、音楽は大好きです。聴く曲はそのときの気分や状況で変わりますが、好きなアーティストの曲をローテーションしていることが多いです。
――最近、よく聴いているアーティストは?
私は邦楽をよく聴いているんですけど、3markets[]さんやMomさんなど聴くことが多いです。
――そういった音楽とどこで出会いますか。
サブスクです。自分が聴いていた曲の関連に出てきたオススメで知るのですが、歌詞に惹かれて好きになることが多いです。
――どんなタイプの歌詞に惹かれますか?
ストレートな言葉を使わないと言いますか、少し遠回しな表現をしているものが好きなんです。3markets[]さんやMomさんも独特な言葉選びをしているアーティストだなと思います。
――蒔田さんの中で言葉というのはすごく大きなものなんですね。ちなみに『ハピネス』のセリフや言葉で、印象に残っているものは?
作品全体を通して、独特なセリフが多いんです。普段の由茉はそんなに饒舌な人ではないのですが、自分が好きな洋服の話になると変わります。饒舌になって好きなブランドを次から次へと話すシーンは印象的でとてもかわいらしいなと思いました。
――あのシーン、大変そうですよね。
横文字が多かったのでなかなか覚えられなくて大変でした。苦戦はしましたが、あそこは由茉がとてもキラキラしているシーンなので、がんばりました。
――由茉はロリータへのこだわりが強いですが、蒔田さんのこだわり、これは誰にも負けないといったものは?
私は犬と猫、フェレットを飼っているのですが、ペットを選ぶチカラはすごいと思っています。出会いの強さといいますか、動物へのこだわりは強いと思っています。
――さて、いま俳優として挑戦してみたいことはありますか。
年齢を重ねて、役の幅が広がってきていると感じています。『ハピネス』も自分にとって挑戦的な作品でしたが、まだ自分がやったことがない役に挑戦したいというのが、私の目標です。
――最後に映画『ハピネス』を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
由茉のことを親目線で観たり、もしくは雪夫目線で観られる方もいらっしゃると思います。映画を観終わったあとに何を感じるのかは、それぞれ違うと思っていて、どのような受け取り方をされたのか知りたいです。いろいろな世代の方に観ていただいて、ぜひ感想を投稿していただけたら嬉しいです。
(おわり)
作品情報
映画『ハピネス』(5月17日公開)
出演:窪塚愛流、蒔田彩珠、橋本愛、山崎まさよし、吉田羊
原作:嶽本野ばら「ハピネス」(小学館文庫刊)
監督:篠原哲雄
脚本:川﨑いづみ
撮影:鶴崎直樹
照明:金子秀樹
美術:丸尾知行
装飾:山本直輝
録音:田申靖志
編集:高橋敦史
スクリプター:田中小鈴
音響効果:齋藤昌利
メイク:中山麻美
スタイリスト:宮本まさ江
助監督:躰中洋蔵
制作担当:曽根晋
音楽:GEN
音楽プロデューサー:長崎行男
VFXプロデューサー:岡野正広
プロデューサー:鈴木光 原田誠地 榊田茂樹
ラインプロデューサー:宮下直地
製作:河野聡 沢辺伸政 中村直樹 鈴木光 小林栄太朗 家頭義輝
主題歌:三月のパンタシア「僕らの幸福論」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作プロダクション:光和インターナショナル
配給:バンダイナムコフィルムワークス
©嶽本野ばら/小学館/「ハピネス」製作委員会
- 1
- 2