コバソロが語る“YouTube上の音楽”シーンの今
INTERVIEW

コバソロが語る“YouTube上の音楽”シーンの今


記者:小池直也

撮影:写真・コバソロにインタビュー(1)

掲載:15年05月13日

読了時間:約6分

コバソロへインタビュー

写真・コバソロにインタビュー(2)

撮影の様子(撮影・小池直也)

――今回の時代劇プログラムに参加したきっかけを教えてください

 YouTube Spaceが出来て1、2年はその存在は知らなかったんです。スタッフの方から「使ってみないか」と声を掛けられ使い始めたのがきっかけです。これまでに「クリスマスソング」や音楽イベントで「バオバオ」という曲をダンサーとコラボした時などに利用して撮影することはありました。

 以前からリクエストはしていたんですよ。「時代劇をモチーフにしたMVを作りたいから時代劇のセットを作ってほしい」と。それが叶ったか、たまたまそうなったのかは分かりませんが、このようなカタチで実現できたのは嬉しいです。

――このスペースは色々なアーティストが使用されるようですが、オリジナリティはどう出そうとしていますか

 もちろん、このセットで撮影する時はいつも他のアーティストと上手く差別化できるように一捻り入れてるようにしています。今回のMVは「忍者の時代劇」をテーマにしていますが、基本はドラマを撮影していくという意識で進めました。YouTube Spaceで撮るMVは、アーティスティックでカッコいいものが多いので、今回はコメディ要素を入れてみようと思いました。

 曲はロック調で「SHINOBISM」と言います。生音で三味線を入れたかったのですが今回は断念して、ロックサウンドと忍者に寄せた歌詞で表現しました。やっぱり忍ってカッコいいじゃないですか。しかも派手。今回も衣裳が赤で全然忍ぶ気はないんですけど(笑)。その中で歪んだギターを入れたりして忍者のアクション映画を撮りたかったんです。

――“コバソロ作品”における方法論にも繋がってくると思いますが、先に映像のインスピレーションがあるのでしょうか

 そうなんです。音は後からなんですよ。音を録ったり作ったりするときにはどんなものを撮りたいのかを考えながら音を足したり引いたりします。映像に映える音を意識するんですよね。映像優先というか。音に当てる映像じゃなくて、映像に音を当てるイメージです。

 僕の場合は、演奏しているシーンの映像が多いんですけど、大体はアコースティック編成なんです。でもアコースティック機材だと、見た目がちょっと寂しい。色味が少ないんですよ。金色とかもあるけど基本茶色黒系。だから、そこに無理やりカラフルな鉄琴を入れたり、真っ赤なギターを入れたりして。実際に演奏しているだけの映像でも、視覚に少し刺激になるようなカタチで撮っています。アレンジする時は映像の見た目をまず考えて、そこに音をはめ込んでいきます。

――視覚的な要素がアレンジの一つになっているのは面白いですね。もともと映像作家になりたかったのでしょうか

 それは無いですね。もともとはバンド活動をしていましたし、成り行きです(笑)。

“YouTube上の音楽”シーンで起きていること

写真・コバソロにインタビュー(4)

セットの様子(撮影・小池直也)

――ところで時代劇のセットをリクエストしていたと話していましたが、時代劇に対する思い入れはあるのでしょうか

 時代劇は全く視ていなかったです(笑)。「テレビをつけたらやってるな」くらいで。僕のやっている音楽は海外の人向けじゃないんです。でも、海外に発信したいという気持ちがあって。海外に対して「何が強みであるのか」と考えたら日本の文化に行き着いたんです。

 僕は和楽器が演奏できないし英語も出来ないので、シチュエーションだけでも和のものを取り入れたかった。だから、その手段として時代劇を使って日本文化を表現、そうした作品を発信しようと考えたんです。最近、自分の曲がアニメの主題歌になりましたが、物凄く海外の人から反響があって足場が出来てきたと感じています。

 最近は海外でもYouTube上の音楽家がとても活躍しているんです。例えばテイラーワードというYouTubeクリエイターは、Earth Wind & Fireなど色々なアーティストとコラボレーションしたりしています。ビルボードで1位を獲るようなメジャーアーティスト側から「YouTube上で活躍しているミュージシャンと絡むと面白いし、再生数が跳ねるぞ」と、注目が集まっています。

 でも、日本ではまだYouTubeからメジャー側に引っ張っちゃおう、という風潮の方が強いんです。海外だと結構前に起きた現象なんですよ。

――確かにユーチューバーという言葉が定着したのも遅かったですよね。コバソロさんは自分のYouTube側だと自覚していますか

 そうです。でも実際、日本でもちょっとずつそういう流れになりつつあるんですよ。Goose houseというバンドが片平里菜さんというメジャーアーティストをゲストで呼んで生放送ライヴをやったり、逆に片平里菜さんのライヴにGoose houseが呼ばれたり。

 そのようなメジャー側とYouTube側が色濃く絡んでコラボレーションするということも起きています。今後はもっとそのようになっていくと思うんです。あくまでも私見ですけど。世界のそういう流れを持ち込んで“YouTube上の音楽”シーンを盛り上げたいと思っています。

 ◆コバソロ シンガーソングライター、音楽プロデューサー、舞台俳優などの顔を持ち、作詞作曲編曲、演奏、 動画制作、デザインまですべて自身でこなす。YouTubeチャンネルではオリジナル楽曲など様々な動画を公開し、チャンネル開設から2年余りで、登録者数は7万人を突破。現在は、その圧倒的音域と唯一無二の歌声で、YouTube のみならず、メジャーアーティストへの楽曲提供などで精力的に活動中。

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