INTERVIEW

Perfume

「奇跡の状態でここまで来ている」仕事に臨む姿勢:『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』


記者:村上順一

写真:冨田味我

掲載:23年11月07日

読了時間:約10分

 Perfumeが、劇場版シリーズ第三弾となる『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』(公開中)の主題歌を担当する。楽曲は「チョコレイト・ディスコ」や「ワンルーム・ディスコ」と彼女たちのアイデンティティとも言える“ディスコ”をタイトルに採り入れた「すみっコディスコ」。テクノポップを基調とした中毒性のあるPerfumeらしさあふれる楽曲に仕上がった。『すみっコぐらし』は、何をするにしても『すみっこがおちつくちょっぴりネガティブなキャラクター』をコンセプトに作られた。本作『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』では、愛くるしいキャラたちがおもちゃ工場でお仕事。新キャラのくま工場長のひみつに迫っていく。インタビューでは主題歌を担当したPerfumeのあ〜ちゃん、かしゆか、のっちの3人に、『すみっコぐらし』の魅力から楽曲「すみっコディスコ」の注目ポイント、仕事に臨む姿勢について話を聞いた。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

Perfumeも褒められたい?

©2023 日本すみっコぐらし協会映画部

――主題歌に決まったときの心境は?

のっち めっちゃくちゃ嬉しかったです。『すみっコぐらし』の存在は知っていて気になっていた作品なのですが、正直詳しくはなくて...。知り合いの小さな女の子が『すみっコぐらし』の熱烈なファンなんです。私の周りでも愛されている作品の映画の主題歌を担当させてもらえることが嬉しかったです。

あ〜ちゃん 本当に嬉しくて、お話を頂いた時点で、まだ概要も聞いていないのに「やります!」みたいな(笑)。『すみっコぐらし』の主題歌としてどんな曲が上がってくるんだろう? とワクワクしていたら、私たちの本気が伝わったのか、まさかの“ディスコ爆誕”で。中田さんもちゃんと私たちの本気を捉えて作ってくれたことが感じられてすごく嬉しかったです。

かしゆか 主題歌に決まってびっくりしました。映画版の前作はBUMP OF CHICKENさんだと聞いて、「Perfumeでいいのかな?」と思いました。もしかしたらスタッフさんの中にPerfumeのことを好きな方がいらっしゃったのか、どういうきっかけで私たちを選んでいただけたんだろうと気になっています。

――起用理由は聞かれていない?

かしゆか 聞いてないんです。

のっち おそらく本作は工場が舞台なので、ちょっと機械っぽいところでPerfumeとつながったんじゃないかなと予想しています。マシン的な感じと言いますか(笑)。

――あはは(笑)。「すみっコディスコ」を聴いたときの感想は?

のっち 「すみっコディスコ」という『すみっコぐらし』の表記そのままが曲名になっているので、わたしたちの気合いが伝わったのか、中田さんの気合いをすごく感じました。『すみっコぐらし』ドンピシャ世代の小さなお子さんにも刺さると思いますし、音楽好きにも刺さる絶妙なラインの楽曲で、「すごいなあ、中田さん」と思いました。

あ〜ちゃん アニメに寄せて可愛らしい曲かと思ったら、めちゃめちゃかっこいい曲でした。サビは表でリズムを取っていますが、Aメロは雰囲気が変わって別の曲みたいになるのもこの曲の面白いところです。いい意味で私たちも裏切られたと言いますか、何度も曲調が変化していくのですごく楽しくて。

かしゆか 音源としてはもちろん、ライブで聴いてもかっこいい曲です。うまくバランス取ってくれていると感じました。また、歌詞で<聞こえてくるの 森の奥から>とあるのですが、こういうフレーズはPerfumeとしてシンプルにリリースする曲ではなかなかないだろうなと思いました。『すみっコぐらし』だからこそ出てくるフレーズだなとすごく感じていて、ナチュラルな歌詞が入っているのも嬉しかったです。

――映画に登場するくま工場長は褒め上手なんですよね?

のっち くま工場長は本当に褒め上手だし、働く喜びを与えてくれるんです。得意なことも褒めてくれるし、全然得意じゃない、何でもないことでも褒めてくれます。すみっコたちが先に褒めてもらっているんですけど、みにっコたちも褒めてもらいたくて待ってるんです。

あ〜ちゃん 1日で“みにっコ”のことまで見抜くんだみたいな。

のっち 私も褒めてほしいなと思いながら観てました。私は褒められて伸びるタイプだと思っているので、何でもかんでも褒めてほしいです! 何事も自信を持って行動できますから。

――特にどんな言葉で褒められたら嬉しいですか。

のっち ・・・「かわいいね」ですかね(笑)。

――言われなれてません?

のっち 全然足りてないです(笑)。

――あ〜ちゃんさんが、褒められたら嬉しいところは?

あ〜ちゃん のっちと同じように「かわいいね」とか「キレイだね」と言ってもらえたら嬉しいですけど、私は面白いね! と言われるのが一番嬉しいです。

――かしゆかさんは?

かしゆか 私はチームを褒められると嬉しいです。スタッフさんとか頑張っている人、頑張ることが当たり前だと思われている人ってたくさんいるじゃないですか。本当にプロフェッショナルな方々のおかげで自分たちがステージに立てて輝くことができるので、チームを見てもらえていると思うと嬉しいです。

――かしゆかさんご自身だとどんな風に褒められたいですか。

かしゆか 「髪の毛、キレイだね」とか言われると嬉しいです。

3人が落ちつく場所とは?

冨田味我

Perfume

――今回おもちゃというのが1つテーマというか、作品の中に登場するのですが、みなさん思い出のおもちゃはありますか?

あ〜ちゃん あります。ニンジンを持っているシマウマのお人形です。そのシマウマは鼻が赤いんですけど、その鼻を私がかじっていたみたいなんです。新しく買ってもすぐ鼻をかじるから、シマウマの鼻が全部なくて。あ〜ちゃんと呼ばれる前は“アヤガジラ”と呼ばれてました(笑)。

のっち 私は一人っ子だったので、お家でお人形遊びをよくしていたのですが、スタイルのいい女の子のお人形や小さい動物のお人形を、おもちゃのお家の中で延々とお人形遊びしていたのを覚えています。きっと物心ついたときに『すみっコぐらし』と出会ってたらすごくハマっていたと思います。

かしゆか 思い出のおもちゃはぬいぐるみです。幼稚園くらいの時に百貨店のぬいぐるみコーナーで、シャム猫のぬいぐるみがどうしても欲しくて、それを買ってもらえるまで「絶対帰らない!」と駄々をこねてました(笑)。買ってもらえてすごく大事にしていたので、思い出に残っています。

――『すみっコぐらし』のサブタイトルに「ここがおちつくんです」とありますが、皆さんが落ちつく場所、空間はありますか。

かしゆか 3人でいる楽屋は落ち着きます。20年以上一緒にいるので、3人でいることが当たり前になっていて、楽屋でおしゃべりしているときは本当に落ち着きます。ですので、1人のお仕事の時はちょっと寂しいです。

のっち 私はベッドの上です。寝ることが大好きなので、お気に入りのふわふわのお布団をかぶったときが一番落ち着きます。

あ〜ちゃん 私、居心地がいいところを家の中で見つけることが好きなんです。今ハマっているのはソファーの横にちょっと硬い部分があるのですが、そのスペースが居心地が良くて。首をその角に当てて、首をほぐしながらテレビを観ています。

――『すみっコぐらし』はかわいいだけではなく、それぞれのキャラがちょっとした悩みを抱えてるところも愛くるしいですよね。

のっち 悩みをポジティブに捉えてるところがすごくいいなと思いました。それらが欠点ではなくて、そういうところもキャラクターとして扱ってくれている。みんなそれぞれ気にしているところがあるけど、みんなで「大丈夫だよ。ひとりじゃないよ」と支え合っているところがいいなと思います。

――『すみっコぐらし』に共感するところは?

あ〜ちゃん 私は寒がりなのでしろくまに共感しています。しろくまだからといって、みんながみんな寒さに強いわけじゃないんですね。
こんな可愛い見た目とのキャラのギャップが面白くて、ここに多様性も感じました。人はいろんな面があると思います。しろくまが悩んでいた周りと違う個性を、先入観を持たず目の前にいる相手それぞれにフラット接していきたいな、と思います。

かしゆか それぞれのキャラクターが悩みやネガティブな部分を持っているけど、仲間を思うことで乗り越えられたり勇気を出せるところに共感しました。たとえば1人じゃできないけれど、Perfumeならできるみたいな。3人だったらその選択肢を取れる、覚悟を持てる、強くなれる、仲間がいることで自分1人ではできないことも可能になる、補い合っているという関係性に共感しました。

Perfumeが求めてもらえていることが奇跡

――今回お仕事というのも1つのテーマとしてあると思うんですけど、皆さんがお仕事で心掛けていることは?

のっち 餅は餅屋だといつも思っているのですが、私はPerfumeののっちができることしかできないんです。周りにたくさんプロフェッショナルな方がいてくださるからこそ、このお仕事ができています。ですので、その方たちへのリスペクトを忘れないことを心掛けています。

あ〜ちゃん Perfumeが求めていただけていること自体が奇跡だなと思っています。「私なんかでよろしいのでしょうか」という思いがある中で、こんなにも長く自分がPerfumeでいられる、あ〜ちゃんでいられるとも思っていなかったんです。奇跡の状態でここまで来ていて、もし明日Perfumeが終わっても、悔いなく過ごしたいな、って。時代は変わるし、流行りも変わるし、何事も始まりがあれば終わりもある。だから今できることを全力でやろう! もし明日死んでしまっても後悔がないように働かせていただこうと心掛けています。

かしゆか 自分たちが求められている中でできる最善をずっと探していて、それはチームのみんなもそうなんです。たとえばツアーの初日に完成ではなく、もっとよりよくできるところを探して、どんどんいい方向に動いていく。最善を探し続けることを意識してお仕事をしています。

――向上心を常に持って活動されているわけですね。

かしゆか チーム全体がそうなんです。私たち3人もちょっと油断していたら置いていかれてしまうかもしれない。じゃあ自分には何ができるんだろう? とよく考えます。みんながみんな同じ角度じゃなくてもよいので、みんなでよりよくできる方法を考えています。

――幅広い層に支持を受ける理由であったり、幅広い方に届けるために意識していることはありますか。

かしゆか 幅広い世代に好かれたいという意識はしていなくて。楽曲は中田さんがテクノ、エレクトロを採り入れているので、最新の部分もありつつ若い世代には新鮮に感じられたり、昔テクノやエレクトロを聴いていた方にはどこか懐かしさを感じる。そういうところがいろいろな世代に受け入れてもらえるきっかけになっているんじゃないかなと思います。私たちはいろんな年代の方がいるとシンプルに嬉しくて楽しいです。ライブでお客さんに年代を聞いたりして、70代の方がライブに来てくださったりすると、お客さん全員で拍手をして「ありがとう」ってなったり。いろんな世代がいることで楽しい場所になっているという感覚があります。

のっち 私たちは小さい頃から一緒にいて今も仲が良くて、広島弁をしゃべったり、ちょっと近くにいそうなところ、親近感があったりするのかな。

あ〜ちゃん 多くの人たちにPerfumeを楽しんでもらえたらいいなと常に思っています。日本の素晴らしい技術者の先鋭隊が集まったチームPerfume。性別、国籍、年齢関係なく、世界のさまざまな方々に、“Perfume”を楽しんでもらえたらな、と思っています。

(おわり)

冨田味我

Perfume

作品情報

タイトル:『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』
公開:大ひっと上映中!
ナレーション:本上まなみ
主題歌:Perfume「すみっコディスコ」(Polydor Records)
原作:サンエックス
監督:作田ハズム
脚本:角田貴志(ヨーロッパ企画)
美術監督:日野香諸里
アニメーション制作:ファンワークス
配給:アスミック・エース

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冨田味我
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